20年度 決算特別委員会

企画総務領域で質問(要旨掲載)

 

【1】自動販売機

2007年の地方自治法の改正に伴い、行政財産である土地の貸付等に関する規制緩和が行われました。行政財産とは地方自治体において公共用に供し、あるいは供することと決定した不動産のことで、今までは、原則として行政内部における一定の手続きを経て普通財産に変更しない限り、原則として他人への貸付ができないとされておりました。しかし、今回の改正により行政財産を賃貸できるようになりました。それによって例えば、駐車場用地の貸付、事業用定期借地により建物用地としての貸付、また、野立て看板用地としての貸付等、新たな利用用途がうまれ、財産活用が図られるようになりました。

先日の第三回定例会で一般質問させていただきました、自動販売機の公募入札もその一環でありまして、今日はまず、この自動販売機から質問させていただきます。

川崎市では今までの施設内の自動販売機については年間2万円程度の目的外使用料をとり、年間600万円の収入であったものが、これを貸付契約に切り替え、一般競争入札を実施し、結果年間収入は1億5596万円になったとのであります。

 世田谷区の庁舎や区民利用施設、公園で利用している自動販売機は143台あるとのことでありました。世田谷区はこれらの自販機を社会福祉協議会、福祉団体、一般飲料企業、スポーツ財団、NPO法人に行政財産の使用許可、また、設置管理許可をだして、設置を認めております。これに伴う施設使用料は福祉団体が設置する場合は免除しており、それ以外の団体についても減免しているところもあります。

本日はもう少し、これまでの経緯を含めてお聞きしたいと思います。

 

Q1,まず、143台のうち、世田谷区が直接事業者と契約して設置している自働販売機はどれくらいあるのでしょうか。具体的にどのようなところに設置し、その場合に事業者からはどのような料金を取っているのでしょうか。

 

先日の答弁では、その使用料は年間14万円に過ぎないということであります。一方、社会福祉協議会は平成20年度の自販機の収入は32台で年間収入は426万円と決算書にでておりました。聞くところによりますと、社会福祉協議会では、各飲料メーカーを選定するに当たり、プロポーザル方式をとっているときいております。売り上げの一定のパーセントを収益としているようであります。

社会福祉協議会でもこのように工夫しているのですから、せっかくの法改正のメリットを使って、区としても行政財産の使用許可から貸付契約に切り替えて公募入札を実施し財源を生み出す検討をすべきであります。

一方、福祉団体が設置者になっているところに関しては、その団体にとっては大切な自主財源になりますので、今までの設置を取り上げてしまうのは、いかがかと思います。川崎市においても川崎市母子寡婦福祉協議会の扱っている物件にかんしては、同協議会に一定数の設置を継続して認めているとのことであり、慎重に対応すべきであろうか思います。

自販機を貸付契約に切り替え公募入札するといっても、設置場所のいいところでは入札に入ってくる業者もありますが、設置場所が悪く、自販機の入札メリットのないところでは入札不調になるかも知れません。川崎市では自販機の場所のいいところとそうでないところとを数箇所まとめてファンドにして入札にかけているようです。

 

Q2,一般質問では、東京厚生年金スポーツセンターの世田谷区へ移るときに新たにこの公募入札方式を使ってはどうかと提案しましたが、今後の進め方について区の考えを伺います。

 

Q3,大阪府では府営住宅に新規に自販機を設置して財源を生み出しているとのことではあります。このように、新たな設置場所を確保することも検討できると思います。さらに自販機についてもAED設置の自販機や地球温暖化対応の省電力対応、ノンフロン対応の自販機など設置していくこともも考えられるのではないかと思いますが、見解をお聞きいたします。

 

我が会派では、自働販売機の売り上げをこども基金に活用することを提案し、実施しております。今後も、このこども基金を推進していくことを要望いたします。

世田谷区の財政は世界的な景気後退により、平成22年度は、大幅減収になることが予測されます。今回の自動販売機の手法などを利用し、財源確保を推進することを要望いたします。

 

それから、世田谷区の公有地の有効活用についてもお聞きいたします。

世田谷区では平成18年に公有財産有効利用指針を作成しております。それをもとに土地バンク運営委員会を中心に、未活用の公有財産有効活用に向けた取り組みを進めております。まずは、保育園の用地、介護、福祉関係に用地ではどうかの検討が必要でありますし、それが、できなければこういった土地の中で現状のままで遊ばせているよりも、今回の有償での貸付制度を利用するような不動産もあるのではないかと思います。

 

Q4,現在は、国から補助金が入っている不動産については有償貸付ができないようでありますが、有償で貸し付けしている不動産はどのくらいあるのか教えてください。

 

Q5,それから、駐車場などの利用もできない物件については、野立て看板という手法も検討できるとおもいますが、見解をお聞きいたします。

 

【2】外部評価委員会と事業仕分け

日本経済は昨年の世界同時不況の影響を受け、厳しい経済状況が続いております。22年度は特別区民税、特別区交付金も大幅に減収になる見込みです。区の予想では70億円もの減収になるとのことであります。短期間の減収であれば、区債の発行や基金の取り崩しで一時的に賄うことは充分可能であるでしょうが、この経済不況が何年も続くことになれば区としての財政は逼迫し今まで実施してきたサービスを根底から見直さざる終えない状況になります。

 

そういった中で世田谷区では外部評価委員会で意見・提案を受け、新たな行政経営改革計画の見直しに取組んでいるところであります。

 

第3回定例会区長招集挨拶では、「22年度の実施計画事業を始め、各種計画事業については、施策の進行状況や社会状況の変化等を見据え、各事業の内容や手法を再点検し、優先順位を一層明確にすることによって、重点施策の取り組みをより効果的、効率的に進めて参ります。なを、見直しにあたっては、今年度に設置した「外部評価委員会」でのご意見やご提案なども踏まえながら、とりくんでまいります。」と述べております。

 

 外部評価委員会は、学識経験者3名、区民委員3名の合計6名で構成しており、21年度は10回程度開催する予定であります。

事業の対象項目は時代に合った特定課題に対して外部評価を実施しております。21年、22年の特定課題は、第1期区の主要な事業の点検 第2期 民間事業者による公共サービス提供の成果と評価としております。視点は(1)ねらいと成果が一致しているか。(2)サービスが充分な成果を挙げているか(3)区民満足度向上がはかられているか(4)実施方法は適切かなどであります。

外部評価委員会の中では、今後の区政の施策に対し、意見・提案がでております。

ここで何点かお聞きしたいのですが、

Q1,例えば重複事業の見直しとでておりますが、具体的にどの事業を見直しとまで踏み込んでいるのでしょうか。

 

Q2,また、民間事業者活用の拡大とのことでは、具体的な事業を民間活用とまで提案しているのでしょうか。

 

Q3,行政範囲の適正化、公共財産の有効利用など意見がでておりますが、具体的な取り組みについてお聞きいたします。

 

Q4,これらの評価を受けて明年の予算にどのように具体化していきますか。

 

公明党では以前より事業仕分けの手法を提案しております。

2005年の衆議院選挙のマニュフェストでは公明党・民主党がそれぞれ事業仕分けを掲げまして、その後の小泉政権では国レベルでの事業仕分けの実施に向け、具体案の検討を与党に指示し、「与党財政改革・事業仕分けに関するプロジェクトチームを発足」させました。2006年5月には「行政改革推進法」に明記され、骨太の方針2006に規定され、2007年11月からは「経済財政諮問会議」で事業仕分けについての議論が開始されております。

昨日の他会派の質問の中でも事業仕分けの手法を提案されておりました。国の事業仕分けは、省庁の部局・課ごとに、国・自治体の担当者、民間の専門家が同じテーブルについて、すべての事業を(1)廃止・または統合する。(2)民間に委託する(3)地方に移管する(4)国の事業として残す。というやり方で仕分けていくことにより、大幅な歳出削減を実現していく手法です。

地方自治体でも現在、事業仕分けに取り組んでいる自治体が増えております。

特に、政策シンクタンク「構想日本」がリードしている事業仕分けの手法は横浜市や町田市など近隣自治体を含め多くの自治体で実施されております。

 

Q5,政策シンクタンク「構想日本」の事業仕分けの手法についてどう認識されておりますか。

 

例えば、町田市では、事業仕分けを2008年7月に実施しております。多くの市民にも傍聴することも可能であります。全部で34事業について、一事業について30分程度で事業を評価し、仕分けを行いました。当日はコーディネーター(他自治体職員)と仕分け人(他自治体職員や学識経験者など)5人で班を構成しております。評価は仕分け人5人による多数決で決定しました。34事業の仕分けを4班にわけて行いました。仕分けの基準は、(1)不要(2)民間(3)国(4)東京都(5)(要改善)(6)(現行どうり)の6つにわけました。事業仕分けの結果は不要5件、民間1件、国3件、要改善22件、現行どうり3件、となりました。そして、当日の結果や議論を踏まえ、経営会議で方針を決定した町田市の最終結果は民間1件、要改善30件、現行どうり3件でした。

 

町田市の事業仕分けを見ていると、世田谷区が行っている外部評価委員会での手法とは違っているところが多くあります。たとえば、構成員、人数、公開、非公開、また、仕分け時間、事業仕分けは一事業30分で仕分けていく(事業説明5分、質疑応答20分、評価5分)外部評価では一回の委員会では約2時間討議していくことであります。

 

Q6,この様な手法の違いがありますが、実際30分で事業を評価できるものもあれば、30分という短時間内で評価できるのかと思います。区としてどう思いますか

 

Q7,世田谷区の今後の行財政改革に対する手法についてどう展開していくおつもりかお聞かせください。

 

【3】職員の人員体制について

世田谷区では定員適正化計画の中で、すでに10年間で1000人以上の削減を図ってきました。平成16年度から20年度まで、5年間で619名削減してきております。現在、平成21年度は5150名になっております。

厳しい経済状況下で効率的、効果的な人員で行政運営をしていくことは非常に大切な視点であり、世田谷区の努力については大変評価させていただきます。しかし、今後この様に削減していくことになれば、いずれ、行政サービスが行き届かなくなる懸念が出てきます。

世田谷区においては、22年度に向けて、民間の役割分担を明確にし、重点課題及び区民サービス業務に人材を投入する一方で、限られた財源や人材を今まで以上に効率的に活用し、徹底的な事務事業見直し等を進め、少数精鋭で問題を解決できる柔軟で機動的な執行体制を構築し、さらなら定員の適正化を推進するとのことであります。集中改革プランは平成22年度を持って一応の区切りになりますが、それ以降の人員削減についてはどのようにしていくかが重要な課題となります。

 

Q1、それでは、まず、今後の人員計画、適正人員配置はどのように考えているかお聞かせください。

 

団塊の世代の退職期を迎えております。現時点で定年退職者は21年度142名、22年度148名23年度183名、今後、10年間で世田谷区の職員が約1600余名退職する予定であります。つまり、今後10年間で約3分の1近く圧の職員が圧倒的に若い職員に入れ替わることになります。今までの、行政のノウハウをどのように継承していくのかが問われます。

 

Q2,退職者の活用について、例えば、退職後も再任用、再雇用などで若手中堅者の育成にあたっていくことが必要であると思いますが、いかがでしょうか

 

次に、職員の人材育成についてであります。

世田谷区では平成20年度に区の人材育成方針が示されました。この方針では「共に育つ」「自ら育つ」「育てる」としております。

 

Q3,職員は、区民サービス向上という組織目標の達成のために、課、係といった組織の中で職務を分担しています。そこでは、上司や先輩から職員一人ひとりに対して、それぞれの職務遂行能力を高めるためのOJTをどのようにすすめているのかおきかせください。

 

次に、人材育成の上から、国、東京都などへの派遣をすることや、他自治体に先駆けて、海外研修などを充実させていくことは将来の世田谷区の行政をリードしていく中できわめて重要なことであると思います。

 

Q4,現在、他自治体や海外派遣はどのように行われているのかお聞かせください。今後の計画についておきかせください。

 

海外派遣ですが、1週間程度とのことでありますが、私は、半年間ぐらいかけて勉強することもあってもいいのではないかと思います。区民の重要な税金から拠出するわけでありますが、世界の最先端の施策を学んでくるのは、今後の世田谷区の区政運営において極めて重要であると思います。

 

Q5,それから、外部民間企業に派遣することについては民間企業の経営感覚やコスト意識を学ぶうえでは、重要な施策であると思います。今後、民間企業との人材交流の方法や有効性を検証し、交流機会の確保に向けて取り組んでいくことはいかがでしょうか。

 

Q6,最後に、民間企業などから人材を登用していくことは極めて、世田谷区の専門性や庁内活性化を図る上で有効な施策であります。現在の採用状況と今後、更なる人材獲得に向けてどのようにしていく予定でしょうか