第4回定例会 代表質問

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11月28日より第4回世田谷区議会定例会が始まりました。

11月28日の公明党の代表質問の概要を掲載いたします。

大接戦となったアメリカ大統領選は、共和党のトランプ氏が勝利しました。アメリカの政治は内政、外交ともに大きく変化すると見られ、日本をはじめ世界各国は今後、次期大統領の言動を注意深く見守ることになるでありましょう。
トランプ氏が「既成勢力」との対決を打ち出し、移民や格差の問題で強硬姿勢を示して勝利したことは、アメリカの有権者が現状に対して根深い不満を抱いていることを浮き彫りにしました。
その上で深刻に受け止めるべきは、選挙戦を通じて指摘されてきた、アメリカ社会の分断であります。富裕層や移民、イスラム教徒などを敵視して批判することでは、アメリカが抱える問題の本質的な解決にはならないばかりか、不満や憎悪を煽りかねず、社会の分断を一層深めてしまう恐れがあります。
日常的利益や生活を維持しようとする保護主義が、世界的に蔓延する要因は様々ありますが、国境に壁を創れば、人々の心にも壁が生じかねません。
そうしたなか、先月末私は、区議会アジア諸国等親善交流議員連盟の一員として、フィンランドを訪問させて頂き、「ネウボラ」の現場を視察させて頂くことができました。
日本でも子どもや家族を取り巻く様々な社会問題がありますが、フィンランドにおいても様々な社会問題が多く存在しています。高い離婚率や失業率、うつ病やアルコール中毒、薬物依存問題などを家族問題に抱える子どもたちも多く存在しています。しかし、ネウボラの存在や活動により、家族に潜むこのような社会問題を早期に発見し、早期に支援できるように活動しています。即ち、ネウボラは単なる育児支援機関ではなく、家族サポート機関として、多方面から問題を早期発見しアプローチしていくことで、社会の改善につながる仕組みだと強く実感しました。
保護主義に至る前に、人々の心の壁を取り払うことが、国策となっているのであります。当区においても7月より世田谷版ネウボラが開始していますが、区民に支持されるネウボラになるよう、更なる制度の改善を求めます。

それでは公明党世田谷区議団を代表して、質問並びに提案をいたします。
はじめに、「本庁舎等整備について」伺います。
10月、鳥取県中部を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、鳥取市では最大震度6弱を観測しました。これまで、地震が少ないとされてきた地域で発生したことは、国内どこでも、大規模地震が発生してもおかしくない、状況下にあると言えます。改めて、災害対策本部機能の強化としての本庁舎整備が急がれます。
さて、基本構想の素案に対する区民説明・意見交換会及びパブリックコメントが実施され、多くの区民からご意見が寄せられました。これらの結果を踏まえ、先般「本庁舎等整備基本構想(案)」が策定されました。
同時に、設計業者選定準備支援業務委託事業者の募集も行われ、いよいよ設計者選定へ向けて準備段階に入った感があります。そこで2点質問します。
1点目は、先の定例会でわが党は、全面改築を前提とし、そのうえで、工期とコストを削減するには仮設庁舎の確保が最優先課題であると申し上げました。確保できれば、効率的な工事の手法が広がり、工期短縮などが見込まれます。あらゆる、可能性を排除せず検討すべきであります。見解を求めます。
2点目は、区民会館ホールについてです。わが党はこれまで、音楽ホールの新設を求めてまいりました。区民からの意見を踏まえ、音響効果を充分に考慮したホール建設へ、一定の可能性を見出すことが明記されましたが、この点について具体的な見解を求めます。

次に、「がん対策について」伺います。
本年6月、厚労省が開催した「がんサミット」では、2030年前後に「がん多死社会が到来する」と、警鐘を鳴らすと同時に、がん対策の一層の強化を図るため「がん対策加速化プラン」を、年内に策定し、ガン対策を国家戦略とすることが発表されました。
ガンは1981年に、わが国の死因第1位となって以降、2人に1人が、何らかのガンになる時代を迎えています。医学の進歩によってガンによる死亡率が下がってきた反面、罹患率は上がっており、世田谷区においても「がん対策推進条例」を基にした、着実な取り組みが不可欠であります。具体的には、予防の充実、検診・受診率の向上、医療のさらなる充実、緩和ケアの推進、がん教育の普及、相談機能の強化、ガンになっても働き続けられる社会の構築などが喫緊の課題であります。
わが党は今後、ガンに関する区民意識調査を実施し、より生活に密着した提案・提言を行ってまいりますが、そのうえで、がん拠点病院が存在しない当区において、最も重要な在宅療養について、区の認識を3点伺います。
1点目は、訪問診療を行う病院や診療所、24時間対応してくれる在宅療養支援診療所など、在宅療養を支える基盤整備についてです。住み慣れた地域で在宅医療を可能とするためには、積極的に支援することが必要不可欠です。見解を求めます。
2点目は、緩和ケアについてです。国は来年度予算に「地域緩和ケアネットワーク構築事業」や、がん医療に携わる看護師に対する「地域緩和ケア研修事業」に予算を求めていくと聞いています。区における地域緩和ケアへの体制整備について、認識を伺います。
3点目は、梅ヶ丘拠点整備事業における、総合的ながん対策のセンター機能をいかに考え、がんに悩む区民に寄り添う相談体制を構築するのか、所見を伺います。

次に、「異文化交流の促進について」伺います。
冒頭述べた、議員連盟における諸活動を通じて、多くの議員は、訪問した国々の独自の伝統や風俗・文化や習慣の違いなどを肌で感じて参りました。
世田谷の子ども達が、グローバル化した今の時代を生きると共に、海外の様々な国の文化交流を通じて、各国・各民族が互いの文化を理解し、尊重し、多様な文化を認め合うことで、異文化間の新たな対話の条件が整い,それによって、国境や言語、民族を越えて人々の心を結び、世界平和の礎を築く「未来の架け橋」となることを期待しています。
その意味で、2020東京大会の「ホストタウン」に登録された当区には約1万8千人の外国人が在住し、多くの大学等を有しています。姉妹都市のみならず、友好・親善など多角的な観点で異文化交流の機会を小中学生に創出すべきと考えますが、見解を伺います。

次に、「地域包括ケアシステムの実効性について」伺います。
国は、地域包括ケアシステムを推進する為に、介護保険法に基づく「生活支援体制整備事業」として「生活支援コーディネーターの配置と協議体の立ち上げ及び運営」を義務付けています。地域の「互助力」を強化するために、「新たな区民の連携」を求めているのです。
それに対して世田谷区では、この取り組みを「地域資源開発事業委託」として、社会福祉協議会に委託しています。しかしわが党は、2年前より先行実施したモデル事業を含め、遅々として進んでいない現状を鑑み、その最大の要因は、社協にそのマンパワーが伴っていないことにあると指摘し、早急な改善を求めて参りました。
生活支援体制整備事業は、全地区において10年計画で進められる地域包括ケアシステム構築のまさに「根幹」をなす基盤整備であります。その基盤が疎かになってしまえば、地域包括ケアシステムそのものが、脆弱なモノになり、迫りくる2025年の大介護時代を乗り切れません。
さらに問題なのは、各地区におけるケアシステムの推進にあたって、責任者の所在が曖昧な点です。三者連携という言葉に隠された、区の責任回避の姿勢がうかがえます。地域包括ケアシステムにおける生活支援体制整備事業を着実に実行する為に、全地区のまちづくりセンターが、その推進役として機能するように、人材配置と併せて位置付けを明確にすべきことを改めて求めます。

 次に、「保育待機児対策について」伺います。
区は今年度、2,211名の定員拡大に向けた整備を進めていますが、受け入れ年齢を考えると、0~2歳児の枠は依然として厳しい状況にあると言えます。即ち、0~2歳児枠の拡充こそが待機児童ゼロにつながると認識するものでありますが、そのためにわが党は、小規模保育室や認証保育所の開園を誘導するほか、接続園として、3歳児以上に特化した区立保育園の創設の必要性を訴えて参りました。
区は、就学前人口の動向などを踏まえ、保育整備目標を上方修正しましたが、認可保育園の来年度以降の整備状況を鑑みた時、芦花公園内での土壌汚染問題や地権者との協議不調による事業者辞退など、待機児童解消に向け一層緊張感を持って取り組まなければなりません。また、先に示された、認証保育所の保育料負担軽減策や人材確保策が、効果を発揮するのか、今後の推移を予断なく見守るべきであります。そこで2点質問します。
1点目は、保育の基本である認可保育園の来年度に向けた整備目標に対する達成度を、どのように見極めているのか、認識を伺います。
2点目は、無認可保育施設の利用者に対する保育料補助の更なる検証と拡充を求めますが、見解を伺います。

 次に、「地域行政制度・三層構造の在り方について」中でも総合支所の根本的な在り方について伺います。
平成3年、世田谷区は「打てば響く街づくり」を標榜し、全国に先駆けた地方分権となる地域行政制度を創設致しました。「都市としての一体性を保ちながら、住民自治の実をあげるため、地域の行政拠点を設置し、地域の実態に即したまちづくりを展開するとともに、区政への区民参加の促進を図り、住民自治の確立を目指す」という、基本理念を掲げてスタートして以来20数年の間、様々な改革を進めつつ、地域行政制度進展の努力をされてきたことに一定の評価をするものであります。
しかしながらこの間、三層構造のキイポイントとも言える、総合支所の役割、またその権限の付与が、本来の目的に沿ったものであったのか、非常に疑問であります。とりわけ現行における総合支所長は、本庁と地区との狭間で中間管理職的な立ち位置に陥っているとしか思えません。本来であれば、行政地域の区長的存在として、人事・財源等の権限が付与され、五つの地域のそれぞれの地域特性を最大限に発現しつつ、お互いが競い合い、個性豊かな街づくりを構築するトップリーダーとしての存在でなければならないにも拘わらず、それが見えてこないのは残念でなりません。
また、26年3月に「今後の地域行政の推進について」と、まとめられた報告書の記述においても、総合支所の方向性が明確に示されたとは言えません。
さらに申し上げれば、現状認識として住民に一番身近な行政単位である地区の比重が、いや増して高まっている事実を重く受け止めなくてはなりません。27の地区・まちづくりセンターに求められている役割が、その将来像として、地域包括ケアシステムの深化、防災力の進展、さらには世田谷版ネウボラがいずれ中核的事業として、確固たる地位を占めるようになれば、そうした地区との係わりにおいて、自ずと地域、すなわち総合支所の役割を位置づけることになるでありましょう。そうした点を踏まえ、3点質問します。
1点目に、児童相談所の区移管を見据え、こども家庭支援センターを福祉4課目へ格上げすべきことを提言します。
2点目に、支所長、副支所長の役割の明確化であります。以前の保健福祉センターと総合支所の分担は明確でありました。とりわけ副支所長には地域包括ケアのバックアップ体制のトップに据えるべきと考えますが、その役職名称も含めて検討を求めます。
3点目に、地域振興課と街づくり課の役割も中途半端であります。現行の組織構造で職員の力が発揮できるのか。地域振興における支所と地区の関係性、同様に土木における本庁と支所との関係など、整理すべきと考えますが見解を求めます。

次に、「東京2020大会の機運を生かす産業政策について」伺います。
観光庁が1,742市町村を対象に実施した観光実態調査では、60%の自治体が持っているデータのほとんどが「入り込み客」のみであり、消費額については18.6%、満足度、リピーター率に至っては4,5%という結果でありました。この数字からみても、観光振興によって、地域経済を活性化させることへの取り組みは「緒についたばかり」と言えましょう。遅れている背景には、「景勝地や温泉、娯楽施設などの観光資源を持たない地域への集客は一般に困難」という固定観念があります。しかし近年、①観光客の嗜好が団体旅行から個人旅行へシフト、②ユニークな地域資源の活用、③ICTの活用、という三つの要因によって、全国的に集客の可能性は高まりつつあります。
わが党は、インバウンドの増加や東京2020大会を好機とらえ、観光を軸とした地域の幅広い関係者が連携した地域づくり、「観光地域づくり」の取り組みを推進する立場から、再三、自立した観光協会設立を訴えてまいりました。
しかし、平成23年より発足した「まちなか観光協議会」が、その総括すらなされないまま看板をかけ替えようとしています。そこで2点質問します。
1点目に、今申し上げた「観光地域づくり」を進めるにあたり、「まちなか観光交流協会」にその要素や機能は備えられているのか、明確にお答え下さい。
2点目に、地域における消費額や満足度、リピーター率など観光実態を把握せずして、交流人口の拡大や地域力を向上させることはできません。こうしたニーズや動向などをつかむマーケティングやマネージメント機能はどこが担うのか、答弁を求めます。

さらに、建設業の位置付けと産業政策のあり方についても伺います。
ご承知のように、建設産業界における目下の課題は、担い手の確保と育成であります。国はその対策として、昨年度から、公共工事の品質確保の促進に関する法律を始めとする、いわゆる担い手三法の運用が本格的に始まました。この取り組みにより、官民で技能労働者の処遇を改善する方策や、企業が適正な利潤の確保につながれば、建設業界が将来に向けて再生する、大きな布石となることが期待されています。
 一方、世田谷区に目を向けてみると、産業ビジョンの中で区内産業と据えられているのは、農業・工業・商業であり建設業は除外されています。当然、庁内には所管もなく、明確な位置づけもありません。建設業を区内産業の四本目の柱に据えるべきと訴えます。
またこの度、三軒茶屋新分庁舎への一体的整備(案)において、産業振興公社がそこに移転することが示されています。しかし、地域活性化の中核を担う産業政策部あり方、まちづくりの基盤となる産業振興公社の役割の明確化、さらには雇用や就労関連分野における類似事業の統合など、産業政策の根幹を明らかにせずして一体的整備などはありません。再考を求めます。

 次に、「今後の教育政策について」伺います。
平成26年6月、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が成立しました。改正法では、①首長による大綱の策定、②総合教育会議の設置、③教育長と教育委員長を一本化した新たな責任者・新教育長の設置、④教育委員会のチェック機能の強化などが盛り込まれました。
教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、責任の明確化、民意の反映という教育委員会制度の課題を解決する方策として、教育委員会を執行機関として残した上で、教育長を教育委員会の構成員とし、その代表者とすること。また民意を代表する首長との連携を強化するため、「総合教育会議」を設置すること等が、改正法のポイントとして挙げられます。
したがって、新教育長はこれまでの教育委員長の立場も兼ねることなり、その責任の重大さはこれまで以上になります。時として自分を任命した首長とも対峙する場面も想像されるわけです。今後、当区の教育行政を全国に先んじた範を示せる、まさに教育立区世田谷を構築するその指導者としての役割・責任が新教育長には課せられることとなります。そこで3点教育長に伺います。
1点目に、教育長任命の同意の審議が予定されていることを踏まえ、これまでの4年間の総括と今後3年間のビジョンをどう描いているのか、お聞かせ下さい。
2点目に、図書館改革への民間活力の導入と幼児教育センター機能の先行実施についてであります。図書館については民営化への加速をどう定めるのか、そのロードマップを示すべきであり、幼児教育センター機能の先行実施については、新教育センター構想の具現化に当たって、どのような機能を、どのような目的で、いつから先行実施するのか。先日文教委員会での中間報告では、全く説得力に欠ける内容であります。                                     
3点目に、教科「日本語」の検証・検討の経過についてであります。平成19年度から区独自で進めている教科「日本語」について、次期教育指導要領の改訂に併せて、どのように取り組むのか、大変関心のあるところであります。
人間は、たった一言の言葉で、悩むこともあれば、傷つくこともあります。また安らぎを感じれば、勇気を奮い起こしもするのです。重要なのは言葉に込める心、気持ちをどう表すことができるのか、人間としての配慮の深さにつなげることこそ、日本語を学ぶ意義があると考えます。見解を求めます。

 次に、「薬物乱用防止について」伺います。
中学生の薬物乱用の実態について、「国立精神・神経医療研究センター」が行った昨年度の調査によると、危険ドラッグの入手可能性について17.9%の生徒が入手可能と答えています。事実、26年中の検挙者の入手先割合をみても、街頭店舗が約6割、インターネットが約2割となっています。警視庁は流通ルートの潜在化が見られ引き続き警戒が必要としています。
当区においては、小学6年生と中学3年生を対象に薬物乱用防止教室を実施していますが、教員のみで担当している学校が、小学校では15校、中学校では4校あると伺っています。日本薬物対策協会の調査では、危険ドラッグについて説明できる教師は3割との結果もあります。
私は今年3月、用賀中学校の授業を見学させて頂きました。薬物使用者は、身も心も家族も人生も破壊するとの、講師のリアルな話に、身動きできない程でした。薬物が子どもたちの身近な日常生活上にある以上、薬物乱用防止教室を通じて子どもたちが、一生「薬物はやらない」と決断できるようにする必要があります。そのためには、外部講師を積極的に活用し、子ども達の命に訴えなければなりません。区は危険ドラッグ撲滅への姿勢を鮮明に打ち出すべきです。
そこで質問ですが、薬物乱用防止へ歯止めをかけるためには、意識啓発と授業へのバックアップ体制が重要と認識します。区がイニシアティブをとり、医師、薬剤師、警察などの専門機関やダルクなど民間団体との協議体を設置し、教育現場をバックアップする体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、「認知症に伴う対策について」伺います。
高齢者の重大事故が後を絶ちません。警視庁の調べによると、高齢ドライバーの事故率は全体の約2割を占め、高速道路の逆走の7割が65歳以上で、その内4割が認知症の人、もしくはその疑いのある人と発表しています。高齢者の運転による事故の原因は、老化に伴う身体機能、判断力の低下が主たる原因と考えられています。
こうしたことを背景に、平成10年より始まった、高齢者の運転免許証自主返納制度は、高齢など理由に運転を継続する意志がない方、運転に不安を感じる方の交通事故減少に効果的な方法と言えます。しかし、この制度は本人の自主性に委ねられるており、70歳以上で返納した人の割合はわずか 2.4%にすぎません。
これに対して、来年3月より道路交通法が改正され、75歳以上のドライバーが交通違反をした場合に、認知症の検査が義務づけられ、認知症を発症していると診断されれば、免許は取り消しか停止になります。
当区においても、認知症の疑いのある高齢者が約2万人おり、毎年約千人増えている現状を踏まえると、自動車運転免許の自主返納に必要な体制を整備すべきであります。そこで2点質問いたします。
1点目は、免許更新サイクルとなる3年ごとのチェックに委ねるのではなく、世田谷区として認知症に関する検査やデータに基づき、あらゆる機会を利用して、高齢者本人へのリスクを丁寧に促しながら、自主返納への誘因を講じるべきだと考えます。予防行政としての取り組みについて見解を求めます。
2点目は、その上で全国では、自主返納した方に対する優遇制度が実施されています。タクシー料金の割引券、バスの引き換え券の発行など、様々なメニューがありますが、当区においても、マイナンバーカードやシルバーパスの発行料や介護保険料の負担軽減なども検討に値するのではないでしょうか。見解を求めます。

 次に、「官民人事交流制度について」伺います。
当区においても、財政状況を背景に行政のスリム化が求められる一方で、限られた人数で、多様化・高度化する行政ニーズに的確かつ迅速に対応するためには、質の高い人材を幅広く確保することが極めて重要であります。特に、行政ニーズの多様化・高度化に伴って新たに生じた行政サービスについては、当然のことながら自治体内部にその分野の専門家は存在しない場合があります。そのような場合、官民を問わず、当該分野に精通した質の高い人材を幅広く確保することがより効果的・効率的だと考えます。
 その意味から、わが党はこれまで、災害時における自衛官や警察官など、公共における人事交流において専門性を培った人材の配置を求めて参りましたが、今後は、幅広い分野での官民連携による人事交流を活発化させることが、自治体運営において必要不可欠と考えます。特に、公会計制度やIT関係、シティプロモーションの分野においては、専門家の登用などが検討できると認識しています。
そこで伺いますが、区が人事交流を促進させるべき専門性が求められる業務・分野をどう考えているのか。また、人事交流や登用などをどのように推進していくのか、見解を伺いします。

 最後に、「狭あい道路解消に向けて」伺います。
身近にある道路は単に通行目的だけではなく、日照、通風、採光などを確保し、快適な居住環境を守り、災害時の避難路、緊急車両の乗り入れ、活動の場として機能しなければなりません。さらに、日常生活に欠かすことのできない、ゴミの収集や福祉サービスの活動のためなど、重要な役割を担っています。しかし、区内には道路の幅員が4mに満たない、いわゆる「狭あい道路」が数多く存在しており、良好な住環境を形成していく上で、これらを解消していくことが大きな課題となっています。
区は、狭あい道路拡幅整備事業として、この問題に取り組んでいますが、セットバック部分にプランターや自動販売機が設置されることにより、事実上道路として利用できない場所が多く発生しています。区は、来年度より助成対象の拡充ができるよう検討に入っていますが、建物が後退してから数年経過し、支障物が設置されている箇所の対策としては、不十分だと考えます。杉並区が支障物件の設置禁止を条例で定めたように、先ずはできる範囲から措置を講じながら、区も条例制定を目標に計画策定に着手すべきと考えますが、見解を求めます。

以上で、壇上からの質問を終わります。