本日は、第三回定例会の最終日の本会議。

平成29年度一般会計歳入歳出決算認定他4件の賛否に対し、公明党を代表し賛成の立場より意見開陳を行いました。

以下意見概要を掲載いたします。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、10月8日、「1.5度の地球温暖化」と題した報告書を公表しました。報告書では、世界の平均気温の上昇が、予測を上回るペースで進んでおり、2030年には、1.5度上昇し猛暑や豪雨などの「極端気候」が増え続けると警鐘を鳴らしています。近年、日本だけでなく、世界各地においても自然災害が多発しており、IPCCは「極端気候」と言う用語をあえて用いて、その発生頻度の深刻さを強調しております。日本においては、今年7月上旬に西日本集中豪雨による各地での特別警報をはじめ、熊谷市で観測史上1位となる41.1度の最高気温を記録、さらに台風21号の影響による近畿での高潮被害、9月6日未明には、北海道胆振(いぶり)地方で最大震度7を観測した地震と、かつて経験したことのない自然災害の猛威に甚大な被害がでており、日常生活に大きな支障をきたしています。改めて私たちは災害と災害の間で生きていると自覚し、一過性の防災対策ではなく、実践的かつ継続性をもった防災減災対策、すなわち事前防災を行うことで、被害そのものを大きく縮減できると考えます。
それらを踏まえ、わが党としてこのたび「区民の命を守る」をテーマに掲げて、事前防災・気候変動の観点から1.豪雨対策、2.酷暑対策、3.震災対策の3点を、地域社会における共存の観点から認知症対策の計4点を重点政策として捉え、今後備えておくべき課題を具体的に取り上げ、推進へどう取り組むのか、議論をいたしました。
だれが見ても喫緊の課題である「巨大災害に対する危機管理の備え」「人口減少と超高齢社会に対する備え」に象徴されるよう変化が大きい社会の中、世田谷区はこれからどういう立場に立って区民生活を守っていくのか、大きな命題が私たちには課せられています。
そのためには、「如実知見」すなわち現実をありのままに見ていく姿勢が最も肝要となります。資料を集め会議や打ち合わせばかり重ねてもかえって先入観に捉われ、真実を把握できなくなります。ゆえに1か所1か所現場に足を運び、一人ひとりとの対話を貫くことで、生活現場の衆望に応える政治を一段と進めることが必要ろ考えます。
それでは公明党世田谷区議団を代表して、平成29年度世田谷区一般会計歳入歳出決算認定他4件に賛成の立場から意見を申し述べます。
平成29年度の日本の経済は雇用・所得環境の改善が続き、景気の緩やかな回復傾向により、世田谷区の平成29年度の決算状況では特別区民税がふるさと納税による大きな影響を受けたものの、納税者増などにより微増にはなりました。しかし一方、歳出では私立保育園運営経費等のこども関連経費や庁舎等建設基金への積み立て、玉川総合支所・区民会館や小学校改築経費が増額となり、前年度比で2.6%の増加、その結果として特別区債残高も593億円と28年度比で64億円の増加となりました。
今後も本庁舎整備等の投資的経費や社会保障費などの民生費の歳出増が見込まれることを踏まえれば、私どもは全公共事業を直営で行うべきなのか、官民連携による民間委託で委ねるのか、民営化に踏み切るのか、その基準線を定めるべきだと主張してまいりましたが、未だ具体的に示されていません。
今後公共で担うべき地域包括ケアや児童相談行政、さらに障害者支援策など重点的に人材を効果的に適所へ配置していくべきと強く求めておきます。
さて、決算特別委員会において、各所管で取り上げました課題につきましては、引き続き議論してまいりますが、以下、わが党が最重要課題と認識している5項目について改めて申し述べます。
第一に、未来への投資・教育負担の軽減について申し述べます。
わが党は、20代や30代の若い世代が理想の子ども数を持たない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最大の理由であり、子育てや教育にかかる費用の負担が重いことが、子育て世代への大きな負担となり、我が国の少子化問題の一因であると判断し、この1年間、幼児教育の無償化をはじめとする負担軽減 措置を講じることは、重要な少子化対策の一つであると主張し、5つの観点から議論してまいりました。この間、新BOP学童クラブの開設時間延長のモデル実施や休日・夜間の認可保育園開設へ向けたニーズ調査、新たな児童館のあり方検討の着手など一定の評価をします。しかし、負担感の強い学校給食費については今後の財政需要の拡大や税制改正による減収など不安定な財政基盤の中では段階的に完全無償化へ進めることは、否めません。その第一段階として一定の所得基準を定め、幅広く恩恵を受けられるよう無償化への道筋を早急に示すことを求めておきます。
第二に、区民の命を守る対策についてです。
先に述べたように、地球規模における極めて大きな気候変動がもたらす自然災害は改めて地域の防災力をどのように高めていくのか、重要な課題です。豪雨対策については、河川・下水道整備を着実に推進するとともに、流域対策として雨水流出抑制や貯留システムのさらなる拡充を目指すべきです。酷暑対策については、これまで区が取り組んできた施策の充実とともに、日陰・木陰創出事業の創設や学校体育館におけるエアコン化への整備を迅速におこなうことを求めます。さらに震災対策については、木造家屋の耐震化とともに家具転倒防止器具の普及を加速させるべきと考えます。と同時に事前準備の重要性が高まります。「備えあれば憂いなし」という言葉のとおり、区民自らができる範囲で備えを促進できるよう防災配慮型助成制度の創設も検討すべきです。
 第三に、認知症条例についてです。
人生100年時代を迎えた今、いくつになっても元気で、自立して住み慣れた街に暮らし続けられることが誰もが持つ希望です。一方で、認知症の症状を発症する方は毎年増え続けており、地域で共生できるきめ細やかな仕組みづくりが求められています。全国に先駆けて条例制定に踏み切った神戸市のように、地域包括ケアセンターが市内76か所設置され、1センター当たりの65歳以上の高齢者数が5496人と全国で2番目に少なく、きめ細やかな介護サービスが提供できる基盤が整備されており、条例に基づいた一元体制を一例に挙げるなら、世田谷区でも既に認知症対策事業が先行していることを踏まえると、条例制定への検討に着手すべきです。速やかな意思表明を求めます。
第四に、地域行政制度についてです。
わが党はこれまで区政の最前線である地区における強化の観点から、まちづくりセンター長を管理職として配置し、地域包括ケアシステムの主軸として力をいかんなく発揮できるよう一定の権限・財源を付与するべきと申し上げてきました。また一方では、特別区という枠組みが障壁となって自立心や向上心、創造性や独自の発想などが薄まり、現状の行政構造に甘んじていると言っても過言ではありません。世田谷区が地域行政制度を平成3年に導入してより27年を経過した現在、本庁舎整備の動きに合わせて、将来に亘って持続可能な行政を保つための本庁、総合支所、地区まちづくりセンターの役割と権限・財源を整理し、三層構造の根拠となる条例制定によって明確化することが不可欠だと考えます。
 第5に、介護人材の確保についてです。
2025年には約32万人の介護人材が不足することが見込まれている一方で、要介護認定者の将来推計は2025年では815万人まで増加し、2035年頃まで増加ペースは緩まないと経済産業省は将来の介護受給に関する報告書でまとめています。いわゆる介護分野における需要と供給のアンバランスによる制度の維持が実質的に困難に陥ります。よって、2025年に迎える大介護時代に備えるには、人材育成が急務であり、全国に約45万人いると推計される介護福祉士として登録しながらも、介護職として働いていない「潜在的介護福祉士」の活用や離職した介護人材の再就職支援に力を注ぐべきではないでしょうか。再就職準備金の貸付や介護人材の届出システムの構築、さらに地域貢献手当など区独自の支援策を打ち出すとともに、介護に携わることへの地位向上を目指すべきであると申し述べ、公明党世田谷区議団の意見といたします。