公営企業会計決算特別委員会が開催(水道事業会計・工業用水事業会計)
私は公明党を代表して、質疑を行いました。
質問概要を掲載いたします。
令和2年度公営企業会計決算特別委員会 分科会質疑
令和2年度東京都水道事業会計決算並びに令和2年度東京都工業用水道事業会計決算に関連し、順次質問いたします。
東京都での人口推計では2025年をピークに都の人口も減少に転じ、2060年にはピーク時から約16%減少するといわれております。
人口減少は水道料金の収入減少にも直結し、老朽化対策に向けての施設整備などの水道事業に不可欠な経費の不足につながります。
この人口減少に加え、環境危機やテクノロジーの急激な進展など東京の水道をめぐる状況はかつて経験したことのない局面を迎えることになります。
【東京都水道環境5か年計画】
さて近年、気候変動がもたらす影響が深刻化し、豪雨による河川の氾濫や、土砂崩壊など、自然災害の脅威が高まっています。
2015年のSDGs採択から6年が経過し、パリ協定が本格的に動き始めた今、持続可能な世界の実現に向け、自治体や事業者レベルでの自律的な取組が一層求められつつあります。
こうした中、都も令和元年、2050年に世界のCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を発表するとともに、気候変動に対する緩和策と適応策の総合的な展開や、資源利用に伴う都内外のCO2削減等、あらゆる分野における施策を進化・加速させることを盛り込んだ新たな戦略を策定しました。
水道局では、こうした大きな変化を踏まえ、長期的な視点で将来像を描きつつ、5年間の環境対策の基本的な考え方と取組及び目標を明らかにした東京都水道局環境5か年計画2020-2024を令和2年3月に策定しました。
Q1,最初に、東京水道環境5か年計画の進捗状況についてお聞きいたします。
A1
・東京都水道局環境5か年計画2020-2024では、「CO2排出量の削減」「健全な水循環と豊かな緑の保全」「持続可能な資源利用」「多様な主体との環境コミュニケーション」の4つの環境基本方針の下、37の具体的な取組事項を設定し、取組を進めている。
・CO2排出量の削減については、省エネルギー化の推進や再生可能エネルギーの導入拡大を図っており、本計画初年度である令和2年度には、玉川給水所に省エネ型ポンプ設備2台を導入するとともに、金町浄水場及び上北台給水所に計189キロワットの太陽光発電設備を設置し、目標を達成した。
・また、水源林の保全についても、間伐、枝打ちなどの保全作業を602ヘクタール実施し、目標を達成している。
・このほか、「持続可能な資源利用」と「多様な主体との環境コミュニケーション」についても、計画の達成に向けて取り組んでいる。
水道局は、首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定して供給し続けていくとともに、豊かな地球環境を次世代に引き継いでいくため、全力で取り組んでいくことを求めます。
【空気弁の耐震化について】
10月7日に最大震度5強の地震が東京都で発生しました。
東京23区で震度5強の揺れを観測したのは、10年前に発生した東日本大震災以来です。
先日の地震では断水被害はなかったものの、23か所で漏水が発生し、道路上に水が流れる事態が発生しました。
主な原因は水道管付属施設である空気弁等の不具合によるものとのことです。
水道局では、東日本大震災でも空気弁の損傷を原因とする漏水が発生したことを踏まえて、対策を行ってきたと聞いています。
Q2, そこで、東日本大震災後、水道局がその対策及び点検をどのように行ってきたのか伺う。
A2
- 空気弁は水道管の中に溜まる空気を排出するなど、管路を維持管理する上で重要な設備であり、都内に約16,000か所設置している。
- 東日本大震災では、80か所の大型空気弁に地震動による不具合が生じ、漏水被害が発生したため、約9,000か所の大型空気弁について、平成25年度から、小型・軽量化された地震動に強い空気弁への取替を行い、令和元年度に完了している。
- また、空気弁の点検は、全ての設置箇所を対象に、7年から10年をかけて行っており、令和2年度は約2,300か所の点検を行った。
- 点検結果は概ね良好であり、不具合等があった箇所については、適切な補修を行っている。
東日本大震災を踏まえた対策を実施してきたことは理解しましたが、今回も空気弁の不具合が原因とみられる漏水が発生してしまいました。
何故そういう事態が発生したのか、今後、検証をしっかり行って頂きたいことを要望いたします。
【震災時の水の確保について】
幸い、今回の地震では断水などは生じませんでしたが、もしも首都直下地震が発生し、震災時に甚大な被害が生じれば、多くの被災者が避難所での生活を余儀なくされます。
避難所への水の供給が途絶えた場合には、被災者の生活はもとより衛生上の問題が生じる等、都民の生命に関わる事態が想定されます。
こうした事態を防ぐため、我が党では、避難所での水の確保に向けて、供給ルートの配水管の耐震継手化や給水管の耐震化を迅速に進めるよう提言してまいりました。
その取組やその進捗について確認いたします。
Q3, そこで、まずは避難所での給水確保に向けた取組状況について伺います。
A3
- 当局では、災害時の避難所での給水を確保するため、避難所への供給ルートとなる配水管の耐震継手化と、配水管から分岐する水道メータまでの給水管の耐震化を実施している。
- 配水管の耐震継手化は、避難所の中でも収容人数が相対的に多いとされる中学校への供給ルートを優先的に進めており、令和2年度末で99パーセントの耐震継手化が完了した。
- また、避難所となる小学校や大学、高等学校及び公民館等への供給ルートの耐震継手化は、令和2年度末で82パーセント完了しており、中学校への供給ルートと併せて、令和4年度までに完了する予定である。
- 給水管については、令和2年度に45施設の耐震化を実施したことにより、避難所の給水管の耐震化は完了した。
配水管の耐震継手化や給水管の耐震化が進んでいることを確認しました。
しかし、避難所建物内の蛇口が被害を受けると水が使えません。
このため、水道局では避難所の敷地内の耐震化された給水管に、蛇口付きのスタンドパイプを取り付けられる応急給水栓の設置を推進してきたとお聞きしております。
Q4, そこで、応急給水栓の設置状況について伺う。
A4
- 当局では、平成29年度から、耐震化された給水管に蛇口付きのスタンドパイプを取り付けられる応急給水栓の設置に取り組んできた。
- 令和2年度は125施設に設置し、その結果、対象としている避難所2,021施設について、全て設置を完了した。
- これにより、避難所建物内の給水管に万一被害が生じたとしても、避難所におけるより迅速かつ安全な応急給水が可能となった。
避難所における水の確保が進められてきたことは評価いたします。
避難所は発災時に多くの都民が集まる場であり、そこでの水の確保は避難時の生活環境や公衆衛生を確保し、ひいては都民に安心感を与えるものになります。
非常用設備である応急給水栓は使われないに越したことはないが、いざというときにはその機能が確実に発揮されることを期待します。
さらに局では令和元年度に9台、令和2年度に7台の給水車を新たに購入して30台の体制とし、応急給水体制を拡充したと聞いています。
Q5, そこで、給水車の配備体制が拡充したことによりどのような効果があったか伺う。
A5
- 当局では、これまで杉並区にある水道緊急隊に10台、多摩地区に4台の給水車を配備し、水道緊急隊の10台は区部だけでなく、多摩地区の応急給水も担うこととしてきた。
- 令和2年度までに、新たに16台の給水車を区部の9か所に分散して配備したことで、特に水の確保が人命に直結する病院などの区内の現場に、これまで以上に迅速に駆け付けられる体制を確保した。
- また、これにより、水道緊急隊の10台による多摩地区へのバックアップ機能も拡充された。
水道局における災害時の応急給水体制が充実、強化されたことを確認しました。
給水車の出動が必要となる緊急時には、より迅速な対応を期待します。
【和田堀給水所の整備について】
今回の地震では大きな被害はなかったが、ひと度断水が起きれば、都民生活や都市活動に多大な影響を及ぼすこととなるため、災害や事故などに備えた対策が不可欠
特に、給水所は、平時はもとより非常時の応急給水拠点として、地域にとって欠くことができない重要な施設です。
これらの給水所の中には、老朽化が心配される施設もあると聞いております。
Q6, そこで、給水所の現状及び更新の考え方について伺う。
A6
- 給水所は主に昭和30年代後半から整備され、古い施設では50年以上が経過しており、順次更新が必要である。
- このため、令和3年3月に策定した「東京水道施設整備マスタープラン」において、給水所の更新の方向性を定めた。
- 具体的には、構造物の劣化予測を実施し、損傷が進行する前に補修を行う予防保全型管理による施設の長寿命化を踏まえ、適切な更新期間を設定する。
- また、更新工事に伴い低下する配水池容量は、送水管ネットワーク等の活用により確保する。
- こうした取組により、安定給水を確保しながら計画的に更新していく。
給水所の更新について、計画的に取り組んでいくとのことです。
私の地元である世田谷区においても、老朽化している和田堀給水所で工事が進められています。
Q7, 和田堀給水所の役割と整備目的、令和2年度の取組状況について伺う。
A7
- 和田堀給水所は、世田谷区や渋谷区のほか首都中枢機能が集積する都心部へも送水する重要な施設である。
- しかし、築造から90年が経過しており、老朽化により耐震性が十分ではない状況にあるため、施設の全面的な更新工事を実施している。
- 本工事では、耐震性を確保するとともに、6万立方メートルの配水池容量を11万立方メートルに拡充し、給水の安定性を向上させていく。
- また、工事期間中も給水所の機能を維持するため、既存の二つの配水池を分割して更新することとし、第1期工事として、まず2号配水池の更新工事を実施している。
- 第1期工事は、平成23年度に準備工事に着手し、令和元年度までに2号配水池の撤去工事、土留め及び掘削工事が完了した。
- 令和2年度からは、新設する2号配水池及び配水ポンプ所の築造工事に着手している。
- 今後も、第1期工事の令和6年度完成に向けて着実に工事を推進していく。
老朽化に伴い改築工事をする際に、給水所の上部を利用しているところは多くあります。
私は、以前給水所の視察に豊住給水所等へ行ってきました。そこでは給水所上部に公園や野球場やテニスコートなどが整備されておりました。
Q8, 給水所での上部利用の具体例を聞かせください。
A8
・給水所の上部利用については、局事業への影響を十分に踏まえた上で、用地取得時や整備工事などにおける条件や経緯、地元自治体からの要望などを総合的に勘案し使用許可等を行っている。
・用途としては主に、公園のほか、テニスコートや野球場などの運動施設として地元の区市に使用を認めている。
私は、世田谷区議会で和田堀給水所の改築に合わせて、上部空間を公園等に整備することを何度も提案してきました。
この地域には公園等が極めて少ない地域でもあり、地域の方々から上部空間を活用した公園やスポーツ施設としての活用を要望されております。
区の計画や要望を十分に踏まえながら、改築に合わせての上部利用を求めて次の質問に移ります。
【工業用水道から上水道への切替えの進捗状況について】
平成30年第三回定例会で、令和4年度末に工業用水道事業が廃止されることが決定。
令和元年度より上水道への切替えを開始し、令和2年度末で廃止までの折り返し点を経過しました。
令和4年度末の事業廃止までに切替えを完了させなければならないが、令和2年度までの、切替えの進捗状況を確認したいと思います。
Q9 はじめに、工業用水利用者と一般雑用水の利用者476件について、過去2か年の切替えの進捗及び調整状況について伺う。
A9
- 令和2年度は当初計画の160件に対し170件の切替えを行っており、令和元年度の129件と合わせて、2か年で299件の切替えを行っている。
- 結果、476件の対象者のうち6割を超える切替えが完了した。
- 残りの177件の利用者に対しても、既に全ての利用者を訪問し、支援計画や切替えについての説明を行っている。
- その中で、節水設備などの設置支援を希望する利用者には、詳細な支援内容や自己負担等について説明を行っている。
- 上水道への切替えについては利用者の理解を得られており、支援を希望する利用者とは、具体的な支援内容について、引き続き丁寧に調整を続けていく。
今後2か年で残る約4割、177件の利用者の切替えが必要で
引き続き、利用者の視点に立った調整をお願いいたします。
次に、集合住宅について伺います。
実に、切替対象約35,000件という数を抱え、切替えが終わるのか最も懸念
日常生活に直結することでもあるので、確実に切替えを進めていくべき
Q10 集合住宅の過去2か年の切替えの進捗及び調整状況について伺う。
A10
- 令和2年度は当初計画の11,729件に対し、4,837件の切替えを行っており、元年度の171件と合わせて、2か年で5,008件の切替えを完了しているが、計画通りに進んでいない状況である。
- その要因は主に、令和元年度及び2年度上半期は建物管理者との調整に時間を要したこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響による工事着手の遅延や、住民説明会等の中止によるものである。
- しかし、関係各所との調整を行い、令和2年度下半期からは本格的に切替工事を進めている。
- 住民説明会等が開けない中においても、自治会役員等の意向に応じ、事前の案内ビラを全戸に配布するなど、居住者の理解を促進してきた。
- これにより、切替工事に必要な同意書を、令和2年度の未施工分に加え、3年度の早期施工分も概ね取得している。
令和4年度で工業用水道の事業を円滑に廃止するには今後2か年で残りの切替えを確実に行う必要があります。
工業用水利用者と一般雑用水の利用者については概ね計画通りに進捗
しかしながら集合住宅は、計画通りに進んでいません。
Q11 そこで、集合住宅の切替えを確実に完了させるため、どのように遅れを取り戻すのか伺う。
A11
- 集合住宅における切替工事は、建物管理者が施工を行っていることから、居住者と調整する当局と建物管理者との連携が重要となる。
- 当局では、切替工事が円滑に進むよう、同意書取得の際に居住者から寄せられた施工時期などに関する要望について、適宜、建物管理者に対して情報提供を行っている。
- また、当局と建物管理者が事前に現場におもむき、共同して工事に関する調整を行うなど、綿密な連携を図っている。
- これらの取組により、令和3年度当初から切替工事は順調に進んでおり、8月末時点で、既に約35,000件のうち約16,000件と、4割程度の切替えが完了している。
- 居住者にとって、必要不可欠な生活用水であることを念頭に置き、着実に取り組んでまいりたい。
工業用水道におけるこれまでの切替え状況について確認
我が党としても、工業用水道利用者の理解を得ながら確実に切替えを完了させることを要望して質問を終わります。
以上