いよいよ、明日から4月です。国会では暫定税率期限切れによるガソリン税値下げの問題で与野党が合意できないまま、4月1日を迎えることになりそうです。この混乱だけでなく、明日から例えば、ビールや醤油、牛乳など多くの商品が穀物や原油などの仕入れ単価の上昇により値上げになります。一体、国会はこのような経済状況の中で「何をやっているんだ」というのが、国民の感じていることではないかとおもいます。民主党は日銀総裁の件も、暫定税率の件もすべて政局にしているように思えてなりません。政局ではなく、きちんと、協議して、確かな将来の政策を打ち出していくのが必要であるとおもいます。

今日の公明新聞では竹中平蔵氏の正念場の日本経済についてインタビューの記事がでておりましたので紹介いたします。

--世界経済の現状について。

竹中慶應義塾大学教授 世界経済のエンジンとしてのアメリカ経済は大変大きな役割を果たしてきた。そのアメリカ経済がサブプライムローン問題で一種のタービュランス(乱気流)の中にある。「乱気流」という言葉は、今年のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)でライス国務長官が使った言葉だ。大変示唆深いと思うが、これには二つの意味がある。一つは「ベルトを締めよ。相当注意せよ。大混乱するぞ」というメッセージ。もう一つは乱気流から抜け出た時に、私たちが高度1万メートルにいるのか、高度1000メートルにいるのか、つまりマクロ経済的な効果をしっかりと見極めよ、というメッセージだと思う。

--今後のアメリカ経済は。

竹中 アメリカはこれまで高い経済成長率を維持してきたが、それがこのところ目に見えて弱くなってきている。ただ、私は中期的にはアメリカ経済のファンダメンタルズ(基盤)は強いとみている。当面アメリカ経済は厳しい時期が続くが、実体経済そのものは強いものを持っている。成長率が下がる中で株安が起きている。そしてドル安が起きている。

円高をどう見るか。

竹中 円に関して言うならば、非常に重要なポイントがある。われわれは名目の為替レートしかみないが、日本はずっとデフレだったのでこの間、本来ならば名目の為替レートが円高になっていなければいけなかったが、そうなっていなかった。実質的な円安が相当進んでいた。実質的な円安を取り戻す、修正する過程にあるので、円高圧力は相当続くと思われる。その中で日本は内需が弱く外需に頼っている。そこに円高がくるので、日本経済は特に今年前半、少し厳しい目で見なければいけないと思う。

景気の失速懸念が強まる中、優先すべき経済政策は。

竹中 短期的な金融政策の運営の話と中長期的な構造改革の運営の話と両方ある。金融政策に関しては、まさに日銀総裁が決まらないという異常な状況になっているが、本来は2006年までにデフレを克服していなければいけなかった。それができなかったのが、金融政策に問題があったということだ。一方で、原油高などでインフレ圧力が高まっている。デフレを早急に克服する。しかし、インフレには絶対にしない。そういう適切な金融政策が求められている。

--今なすべき金融政策は。

竹中 マネーをきちんと増やしていくことだ。マネーが十分、増えていない。実質成長率は2%程度あるがマネーはそれほど増えていない。実質成長率を2%に保ち、物価を2%高めようと思えば、マネーは4%くらい増えないと困るのに増えていない。むしろ量的緩和をやめてから、マネー供給量が前年比20%減少といった事態が起きている。これではデフレは解消されない。マネーを安定して増やすという当たり前のことを中央銀行はするべきだ。

--経済戦略に何が求められているか。

竹中 中長期的な構造改革に関しては、一刻も早く「戦略的アジェンダ(課題)」を確立することだ。現在、経済成長戦略などのスローガンはあるが、経済を成長させるために具体的に何をすればいいかという強力な目玉が国民からもマーケットからも見えにくい。郵政民営化や不良債権処理のように、「これをやったら世の中変わるぞ」というのが戦略的アジェンダだ。それが実はこの1、2年ない。それをきちんと組み立てることがマーケットや国民から見た日本経済に対する期待、成長が高まることになる。そうなることで、消費も投資も高まる。これができるかどうかが、政府与党に求められている。

-- 「戦略的アジェンダ」としては、何が考えられるか。

竹中 意見は非常に分かれると思うが、これを実行すれば日本が変わるという一例として、まず言えるのは「東京大学の民営化」。強い大学がないと強い経済はできない。東京大学は世界の大学ランキングでは17位。東大を世界のトップ5に入れるためにどうすればいいか。東大を文部科学省の制約から解き放つことだ。また、「羽田空港を戦略的に強化すること」だ。施設も強くする、羽田空港の面積は世界の主要空港の約3分の1程度しかない。これを国際並みにすると同時に24時間オープンにして国際化する。そうなれば東京がアジア・太平洋地域のハブ(拠点)になる土台ができる。「日本が変わる」というメッセージになる。

--少子高齢化を踏まえた日本の長期的なグランドデザインをどのように描くか。

竹中 人口が減っていく時代の中で、若い世代に過度の負担を与えないような、若い世代が伸び伸びとやっていけるような社会をつくっていくことが日本のグランドデザインだと思う。それは何かといえば、小さな政府、簡素で効率的な政府だ。だから、民間でできることは民間でやってもらいましょう、地方でできることは地方でやってもらいましょう。中央政府はできるだけ小さくする。政府が小さくなるということは将来の負担が小さくなるということ。それを推し進める以外に方法はないと思う。競争を通じた力強さと真の弱者に対する手当てを両立させることが日本のグランドデザイン。特に少子化社会を考えると小さくて効率的な政府を急いでつくることの重要性は非常に大きい。

--政府与党の改革の方向性について。

竹中 今までの改革を強力に進めて緩めないことだ。構造改革の結果、地方が疲弊して国民が反発しているという議論があるが、これは全く論理が成り立っていない。分権を進めることだ。そして農業の構造改革をやることだ。地方の構造改革が不十分だから地方が元気になれず、それを皆さんが不満に思っている。

たけなか・へいぞう 慶應義塾大学教授などを経て、2001年に経済財政担当相に就任。金融担当相、郵政民営化担当相、総務相を歴任。現在、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長兼教授。