使いやすくなった生活福祉資金

活福祉資金貸付事業が10月から抜本改正されました

保証人なしでも活用可能

低所得者などに対する生活福祉資金貸付事業が、10月から抜本改正されました。その内容が公明新聞(10月20日)に掲載されておりましたので記事を掲載いたします。

解説のページ/制度創設以来、54年ぶりの抜本改正/使いやすくなった生活福祉資金/10月から/「生活支援」を主眼に/金利を引き下げ 保証人なしでも活用可能
 低所得者などに対する生活福祉資金貸付事業が、10月から抜本改正された。生活支援を主眼に、利用者にとって分かりやすく、使いやすい制度へと見直したもので、その内容を解説する。
 『改正の狙い』
 『利用者のニーズに柔軟に対応』
 今回の改正は、1955年度の生活福祉資金貸付事業の制度発足以来、54年ぶりの抜本的見直し。
 これまで、資金の種類や貸付上限額などは見直してきたが、生活支援を主眼に据えて、連帯保証人がなくても利用できるようにし、かつ、金利を原則、年3%から同1・5%に引き下げたのは初めて。連帯保証人がいれば無利子とした。
 利用者に分かりやすい事業とするため、10種類あった資金を4種類<表参照>に統合するとともに、その一つに失業などで生活に困窮する世帯に対する総合支援資金を創設したのも特徴だ。
 雇用情勢が厳しさを増すなか、生活のセーフティーネット(安全網)の一翼を担う生活福祉資金による効果的な支援が期待されるところだ。
 従来、連帯保証人の確保が利用に際してのネック(障害)になっていた。これが改善されたことで、低所得世帯などの利用促進が望まれる。
 生活福祉資金の用途は実に幅広いが、制度自体があまり知られていないのが実情。利用者のニーズに柔軟に対応できるようになった今回の改正を契機に、制度の周知を大きく進めたい。
 『貸付の対象』
 『住民税非課税程度の世帯など』
 生活福祉資金の貸し付けの対象は、低所得者世帯や障がい者世帯、高齢者世帯<イラスト参照>。低所得とは市町村民税非課税程度で、障がい者世帯とは身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人などの属する世帯、高齢者世帯とは65歳以上の高齢者の属する世帯のこと。
 事業の実施主体は都道府県の社会福祉協議会で、窓口は市区町村の社会福祉協議会。38道府県で10月1日から新制度での運用が開始されており、残る9都県も10月中には新制度で運用される見通しだ。
 障がい者世帯と高齢者世帯は厳密には、利用に際しての所得制限がない。ただし、生活福祉資金は基本的に低所得者世帯向けの事業なので、窓口である市区町村の社協で、他の借り入れ手段の有無などを踏まえつつ、生活福祉資金の必要性や貸付額が判断される。
 『資金の内容』
 『困窮者の総合的な支援も柱』
 改正後の生活福祉資金貸付事業は、<表>の通り、総合支援資金と福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類に統合された。
 総合支援資金は、失業などによる困窮世帯の生活再建を応援するもので、就労支援や家計指導などの継続的な相談支援に加えて、月20万円以内(単身世帯は月15万円以内)の生活支援費、敷金・礼金などに充てられる住宅入居費、家賃や公共料金の滞納分の一時的な立て替えや自己破産に必要な経費などに用いることができる一時生活再建費からなる。
 住居がない、あるいは住居を失う恐れのある人は、同じく10月から創設された住宅手当とセットで、総合支援資金を利用することも可能だ。
 住宅手当は家賃に充てられる現金給付で、貸し付けではない。支給額は地域ごとに上限額(生活保護の住宅扶助特別基準に準拠)が設定されている。支給期間は最長6カ月間。
 総合支援資金も住宅手当も対象者には要件がある。総合支援資金を含む生活福祉資金の詳細は市区町村の社会福祉協議会に、住宅手当は市区町村(福祉事務所のない町村は都道府県)に問い合わせてほしい。
 次に福祉資金には、福祉費と緊急小口資金がある。
 福祉費は、(1)生業を営む(2)技能習得(3)住宅の増改築や補修(4)福祉用具の購入(5)負傷または病気による療養(6)介護や障がい福祉サービスを受ける(7)災害時(8)冠婚葬祭(9)住居の移転などに必要な費用を貸し付けるもので、幅広い用途がある。ただし、用途に応じて貸付上限額の目安がある。
 福祉資金の緊急小口資金と、教育支援資金、不動産担保型生活資金は、連帯保証人と金利のあり方が個別に定められている。緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に貸し付ける緊急小口資金は、連帯保証人は不要で無利子だ。
 教育支援資金は、連帯保証人は不要(親子間で連帯借受人となる必要がある)で、かつ、金利は従来通り無利子だ。
 高齢者世帯に対し、居住用不動産を担保として生活費を貸し付ける不動産担保型生活資金は、一般の低所得者世帯向けの場合、連帯保証人が必要(推定相続人の中から選任)だが、生活保護が必要な状態にある要保護世帯向けの場合、連帯保証人は不要。金利は共通で従来通り、年3%または長期プライムレートのいずれか低い方となる。