文教領域
本日は、教育委員会所管において質問にたちました。質問項目は、
1、教育格差について
2、世田谷区の実施している補習授業について
3、不登校対策について
以下、質問概要を記載いたします。
22年度 予算委員会質問(文教領域)
【1】教育格差
ベネッセ教育研究開発センターの調査では、世帯年収400万円未満と800万円以上では学習塾にかける費用は、3倍の開きがあるとでておりました。
更に2009年の東京大学の調査によると、年収200万円以下の家庭の4年生大学進学率は、文部科学省の学校基本調査による全国平均の50.2%を大きく下回る28.2パーセントになっておりました。親の所得格差が子どもの教育格差に結びついていることが伺われます。
親 の所得格差で家庭の間で教育格差ができてはいけません。学校間や地域間の格差問題も同じです。子ども達から教育の「機会の均等」を奪う教育格差の解消に全 力をつくすのが、行政の役割であると思います。こどもたちが経済的な理由から充分な教育を受けられないことがないようにすべきであるとおもいます。
質問1、まず、お聞きいたしますが、すべての子どもが均等に教育を受けられるようにするための区の取り組みについてお聞きいたします。
【2】補習について
現在、世田谷区立の中学校では、補習として1こま2時間で年間100コマの補習を実施しております。
教育委員会に聞いたところ、出席率は各学校でまちまちであるが、かなり低いとのことであります。補習の内容についても各学校の独自の方針で行っているとの子であります。
質問1、この補習の意義、目的について教えてください。
現在のところこの補習授業は、基礎的、基本的な補充という意義付けであるようです。
質問2、予算はいくらですか。
今後、世田谷区においては、9年教育の中で補習について、区としての方向性を示していくとのことであります。特に、これからは、土曜日補習を大きな視点に入れて、展開していくとのことであります。
私 は、補習内容の見直しについて①基本コース②発展コースなどに分けることも含めて見直し必要かと思います。先ほど、最初に述べさせていただいたように、厳 しい経済状況下で親の教育にかける投資は、非常にばらつきがあるのが実態です。教育格差を是正する意味からも、単なる底上げの補習にとどまらず、発展的な 補習授業も視野に入れて進めて頂けないものかとおもいます。
質問3、具体的に補習授業のあり方をどのように考え、また、9年教育の中で展開させていくおつもりかお聞かせ願います
他の自治体では、例えば、3月4日の日経新聞の記事では広島市の記事がでておりました。この地域では小学校の空き教室で毎週1~2 回、小中学生に無料で広島大学のボランティアが教師役になり教えております。また、釧路市では自治体とNPO法人が連携して子どもたちに勉強会を実施して いるようです。釧路市が勉強会を開くのは地域経済の疲弊がある。釧路市の生活保護受給者の割合は人口1000人当たり50.2人と全国の中でも高い。釧路 市は「家庭の事情で子どもの学力向上が阻害されては、将来の地域の活力をそぐことになる」と勉強会の意義を強調する。
質問4、財政逼迫している区政状況下、世田谷区の持つ最大の資産は、人的資源であります。この世田谷の人材群、例えば、教員OBや区内大学生ボランティアなどを活用した、補習の展開も是非検討できるのではないかと思いますが、見解をお聞きいたします。
【2】不登校についてお伺いいたします。
世田谷区においては不登校児童・生徒数は平成19年度、小学生で91人・中学生で292人 、合計383人になっております。割合は小学校で0.3パーセント、中学校で2.9パーセント小中とも全国平均とさほど変わらないデータであります。
不 登校になる背景や要因はどこにあるのか。不登校は大きく3つに分けられます。(1)子どもが抱える問題(2)家庭が抱える問題(3)学校が抱える問題など に分けられますが、多くの場合は、現在の社会環境の中で、それらが複雑に絡み合い不登校という状況を生み出していると考えられます。そのため、個々の不登 校の児童・生徒の状態も多様化しております。
教育的、また、経済的な意味合いから、不登校生徒がそのまま進学もできずに自宅に閉じこもっているような状況は社会的大きな損失以外なにものでもありません。現状、中学校で不登校になっている生徒の進路は一体どうなっているのか調査していく必要があろうかと思います。
質問1、平成20年度の不登校生の中学校三年生の卒業の進路はどのようになっておりますか。お聞きいたします。
今のお話ですと、世田谷区全体の不登校生の中学生卒業後のデータは持ち合わせていないとのことです。
民 間の調査機関のデータではありますが、不登校生の進路は、65%が進学、進学。といってもほとんどが通信制・定時制です。フリーターその他が35%とでて おりました。高校進学した65%の生徒のうち、3人に一人の38%は退学しており、不登校生の高校退学率は一般平均の19倍とでておりました。更に、中学 不登校生が20歳になったらとの調査では77%がフリーターやニートになってしまっているとの結果でした。
私が、思うには、義務教育を終えると、不登校生をケアするシステムが、非常に弱くなり、途切れてしまうことであります。特に、卒業後、未就学の場合は、行政の手が入りきれないことであります。
昨年12月の第三回定例会の公明党の代表質問でも、青少年の課題を取りまとめ、解決し、支援する体制が世田谷区として、弱い点が問題であり、就学、未就学ともに、十代の青少年問題に真正面から向き合う部署が必要であると訴えさせていただきました。
子ども部がこのことについては、中心的な所管になると思いますが、世田谷区の大切な人材がニートやひきこもりという状態になっているということは、大きな損失であります。区として、青少年対策本をしっかりと構築していくべきと思います。
質問3、不登校生の中学校卒業後の対応について、教育委員会としてどのように考えていらっしゃいますか。
さて、世田谷区では不登校への取り組みは他自治体に先駆けて実施していることについては評価されるものであります。①スクールカウンセラーの配置は平成15年度にすべての区立小中学校に設置して区立小学校は週2日、区立中学校は週1日程度おこなっております。
②また、昭和49 年度から山崎中学校で情緒障害通級学級「ひなぎく学級」において、不登校の生徒への指導を行っています。③教育相談室は区内5箇所で設置し、臨床心理士な どによる来室相談や電話相談を行っております。④ほっとスクールでは、不登校の児童・生徒の居場所として、従来の学校の枠組みにとらわれずに、小集団を中 心とした様々な活動などを通じて集団生活への適応力を高めるための取り組みを行っております。⑤メンタルフレンドの派遣⑥不登校保護者の集いを平成15年 度から実施しております。
質 問4、ほっとスクールですが、私どもは、再三、新たなほっとスクールの整備の推進を訴えて参りました。このほっとスクールは不登校生徒にとって大切な役割 を担っている施設であります。世田谷区教育委員会では、新たな不登校生徒の居場所の整備への課題の整理、施設機能の在り方、施設の整備手法など、その具体 化に向けた検討を進めているとのことでありますが、新たな不登校生徒の居場所の整備は、どう進んでいるのかお聞かせください。
「世 田谷区における不登校対策のあり方」の中でもほっとスクールやひなぎく学級は、年度後半は入室の待機状況が続いている。また、ほっとスクールへの相談で は、遠方からの通室負担を敬遠し体験のみで入室に至らない事例も見られる。そのため、区域の広い世田谷区ではほっとスクールなどの不登校の児童・生徒のた めの居場所をさらに整備する必要があるとコメントされております。
教育相談室の相談は年々増加しております。また、相談終結まで長期化しているところであります。そうしたことからソフト・ハード両面からの充実が求められるところであります。
質問5、不登校の子ども及び保護者の身近な相談体制の整備や教育相談事業の充実に向けて、21年度12月の区長召集挨拶で、不登校のこどもの状況に応じて総合的に対応する窓口機能を整備するとのことでありますが、具体的な検討はどのようになっておりますか。
質問6、スクールソーシャルワーカーの導入を早期にすべきとおもいますが、これは141カ国で導入されております。スクールソーシャルワーカーは福祉の観点からこどもを見ていくものであります。実現の予定はいかがでしょうか