予算委員会(福祉保健領域)で質問

3月15日は予算委員会で公明党を代表し、質問の席にたちました。質問概要を下記に掲載いたします。
【1】不育症について
私は昨年、6月の定例会の一般質問で、この不育症について取り上げさせていただきました。
 不育症とは妊娠しない不妊症とは異なり妊娠は成立するが、出産までは至らず流産や死産を2回以上繰り返す病気のことを言います。おなかの中で胎児が育たない病気です。しかし、原因を突き止めることで適切な治療が出来、元気な赤ちゃんを出産できる病気でもあります。国の実態調査では不育症の患者は、妊婦の16人に一人に及ぶものの、専門外来で検査、適切な治療を受ければ85%は出産できるとされております。妊娠した女性の4割が流産の経験があり、流産を繰り返す患者数は年間4万人になるともいわれております。しかし、不育症の認知度は低く、病気を知らないまま、流産や死産を繰り返し、子どもをあきらめる患者も少なくありません。
不育症の原因は人によって異なりますが、原因の大半は、自然現象として一定割合で発生する胎児の染色体異常。これ以外は免疫異常で胎盤などに血栓が出来やすい抗リン脂質抗体症候群、あるいは夫婦もしくは一方の染色体異常、あるいは子宮の形の異常の三つがあり、診断には血液検査や夫婦の染色体検査、子宮奇形などの検査が必要となる。検査を網羅的に行う場合、保険適用外となるため、自己負担額が15万円前後に上るケースもあります。治療費も保険適用されず、胎盤などの血栓治療に効果があると言われているヘパリン注射の治療費は月10万円程度かかると言われています。不育症患者は多額の負担を強いられています。少子化対策と若い夫婦の負担軽減に助成制度の創設が求められているところです。
こうした患者の悩みを聞いた公明党荒木きよひろ参議院議員は一昨年11月国会の場で初めて不育症の問題を取り上げ、公的助成の必要性を提案しました。当時の長妻厚生労働大臣からは検査・治療について有効性や安全性が確認されれば速やかに保険適応したいとのことでもありました。
質問1、まず、不育症についての区の認識についてお聞きいたします。
さて、昨年12月に私は、全国で始めて不育症治療支援事業に取り組み、公費助成制度を創設した岡山県真庭市へ視察に行ってきました。真庭市では、当初、不育症の当事者が相談に見えられて、そこから、経済的、精神的、身体的負担が大きいことをあらためて知ったようでした。色々と研究も進めながら最終的には市長の英断で不育症治療支援の公費助成を予算に組み入れたものでありました。
 岡山県真庭市では昨年4月より公費助成制度がスタートしました。一人目の出産に限り30万円を上限として助成するものです。治療期間終了後、3ヶ月以内に申請すると、助成金が支給される。市は昨年度予算に300万円計上しました。対象者は専門医から不育症の診断を受け治療している人で、(1)婚姻後1年以上経過(2)妻が真庭市に1年以上居住している(3)現在の婚姻においてこどもがいないことが条件としておりました。現在、二人に助成を行っているとのことでした。
その他、石川県の能美市、茨城県日立市などでも不育症治療費の一部助成を23年度に実施予定とのことです。
質問2、治療により85%の人が出産に結びつくこのデータもでており、少子化社会の現在、この不育症の治療で特殊出生率を上げることもできます。少子化対策の観点からも私は不育症の公費助成は極めて重要な施策と思いますが、この観点からの区の見解をお聞きいたします。
質問3、改めて世田谷区での公費助成についての研究状況についてお聞きいたします。
【2】介護家族支援の強化
高齢者や障害者、病気や怪我で療養中の人を介護する家族などの無償の介護者の総称であるケアラーの連盟が昨年6月に設立されました。ケアラー連盟では介護心中や自殺、離職が後を絶たない中、在宅で家族を介護する人たちの権利を守ろうとしております。連盟では、「介護する人も介護される人も人として共に尊重される社会」の実現をめざしており、病気や障害ごとの家族会の枠を超え、家族や支援者、専門家がつながる初の全国組織で、さまざまな支援を実現するための法整備を目指しております。
総務省によると、介護のために仕事をやめる人は年間約14万5千人に上り、高齢者や障害者を抱え生活苦に陥る人があとを立ちません。また、警視庁のデータでは介護看病疲れによる自殺者は09年に285人で過去最多になりました。欧米では所得補償やカウンセリングなど幅広い支援策が進んでいるが日本は実態把握すら不十分であるといわれております。
在宅介護が肉体的、精神的に介護者を追い詰めている状況は一刻も改善させなければなりません。
高齢者虐待についてでありますが、高齢者虐待の防止と高齢者保護のために世田谷区は、あんしんすこやかセンター、民生委員、介護サービス事業者、施設職員、医師会、警察などをメンバーとする高齢者虐待対策地域連絡会を開催し、虐待防止の連携強化を行うようにしております。
質問1、ここでお聞きいたしますが、世田谷区で高齢者虐待の報告は入っておりますか。また、世田谷区での高齢者虐待防止に対する取り組みはいかがですか
次に認知症の方やその家族を支える施策についてですが、
認知症の家族会など、その介護者の負担軽減のため、家族に対する認知症講座や認知症家族交流会を実施する。新たに、介護する家族の精神的負担を軽減するため、臨床心理士による「家族のための心理相談」を地域単位で開始する。また、認知症となった方への適切な対応のために、認知症に関する知識の普及啓発のための認知症講演会を実施する。さらに、認知症サポーター養成講座を実施し、認知症への理解を促進し、これを支援する人を増やしていく。
質問2、認知症の方やその家族を支える施策についておきかせください。
介護支援者は、精神的、経済的、身体的に大きな負担を中長期にわたり負わなければならない場合があり、当事者の視点を生かした支援策が重要な役割を果たしております。
世田谷区では第4期世田谷区高齢者福祉計画・介護保険事業計画において、家族介護者の支援として、交流機会や相談の場つくりなどに取組んでおります。
質問3、あんしんすこやかセンターでは認知症家族会の支援をしております。今後、在宅で家族介護支援者を支えるための取り組みはどのようなことを考えておりますか
高齢者や障害者などが自分らしく地域生活を送るためには、各種保健福祉サービスの活用とともに、家族、友人や地域の人々による支えあいが欠かせない。家族をはじめとする身近な人たちによる介護などは、公的なサービスを補完するだけでなく、真に生活の質を豊かにするために必要なものと理解する。
20年度より国に先駆けて開催した「世田谷介護の日」事業を充実し、高齢者介護について広く区民に情報提供を行いながら啓発に努める。更に認知症高齢者の家族への心理相談事業や社会福祉協議会における介護者支援事業等との連携を図りながら、家族介護者のサポートを行う。
質問4、介護家族のケアするネットワークの創設について、世田谷区において、大きな枠組みで創出できないものかお聞きいたします。梅ヶ丘病院跡地計画の中で、介護をしている家族をケアするネットワーク機能を入れられないかお聞きいたします。