第2回定例会 公明党代表質問

昨日より平成26年第2回定例会がスタートしました。本日は公明党世田谷区議団の代表質問で佐藤議員が30分の代表質問で登壇しました。

1.今期の総仕上げについて
2.本庁舎整備について
3.地域包括ケアシステムについて
4.教育都市せたがやの構築について
5.子ども・子育て新制度への移行について
6.低所得高齢者の住まいの確保について
7.外かく環状道路の東名以南について
8.世田谷ナンバーについて
9.環境エネルギー政策について
10.公会計制度への取り組みについて
11.がん対策推進条例について
12.不燃化特区について
13.公契約条例制定について

以下、質問概要を掲載いたします。

教育者福澤諭吉の箴言に「学者は国の奴雁なり」との言葉があります。奴雁とは雁の群れが、一心に餌をついばんでいる時に、一羽だけ首を高く揚げて難に備える役をするものを言うそうです。時代の移り変わりの時に社会の人々が目先の利益に汲々し、先々まで考える余地がない時、学者は冷静に現状分析し、将来のために何がいいのか、考えるものでなくてはならない、という意味です。
例えば、人間が生きていく上で不可欠な水資源を破壊することは、人間自身を破壊することに通じます。従って水環境を保全することは、すべての生命を育むことに通じます。
高齢者の知恵と経験は、現在と未来を豊かにするかけがいのない宝です。高齢化社会とは、高齢者を真に尊ぶ気風をつくることが、社会の持続的な繁栄の基礎となります。
農業の振興は、社会の文化や伝統、生命の尊厳や環境問題をはじめ、人類の未来のあり方を考えることに通じますし、教育の質を高めることは未来を担う子どもの幸福の礎となります。
ゆえに、「奴雁」という視点で、「我が地域の未来をどういう考え方に委ねるのか」といった議論に力を注ぎ、きちっとした価値観をもち、投げかけながら、住民のニーズを汲み取っていくことが最も重要であることを訴えておきます。

それでは公明党世田谷区議団を代表して、質問並びに提案をいたします。
はじめに「今期の総仕上げについて」区長の考えをお伺いします。
現在、住民本位の行政を進める地方自治法改正案が国会で審議されており、人口減少社会の到来を踏まえた福祉や医療、雇用や地域防災など、新たな行政サービスのあり方を探る気運が高まっています。まさにこの機を逃さず、自治体の努力で地方自治の新たな展望を開くステップにしなくてはなりません。世田谷区においては新たな基本構想の策定のもと、基本計画、実施計画と区政運営の骨格が形成されたことを踏まえ、地域の発展に尽くすためへの自治権拡充など、基盤強化につなげるべきです。区長として任期最終年である今期の総仕上げをどのように考えているのか、その構想をお伺いします。

 次に、「地域包括ケアシステムの構築に向けて」と題し、3つの観点から質問します。
第1に、現行の行政の構造・枠組みについてです。
世田谷区地域保健医療福祉総合計画によると平成26年~35年度までの取り組みとして、地域包括ケアシステムの推進が掲げられ、高齢者だけでなく、障害者や子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者などの生活上の困りごとや悩みに対し、本年10月より総合相談体制を行うモデル実施を砧地区で予定しています。
先の予算特別委員会でも、指摘しましたが、地域包括ケアシステムの構築には、定期に個別ケア会議などを実施しながら情報の共有、対応の協議など様々な観点から接続させていく仕組みが不可欠です。それには区が地区に福祉の専門職を地域包括支援担当として配置した上で、あんしんすこやかセンターなどをその元に位置付けるべきと考えますが、区の見解を伺います。
第2に、地域における高齢者個別の課題をどう把握するか、についてです。
先日、会派として、埼玉県和光市の地域包括ケアシステムの取り組みを研鑽して参りました。特に、目を見張ったのは、調査シート未回収者への全戸訪問など徹底したニーズ調査によって的確に抽出された課題を、種類・量及び取り組むべき優先度を明確化し、その課題解決に資する施策検討を行い、的確なサービス体制及び供給量を計画的かつ速やかに進める基盤が作られていることでした。
その成果は、要介護認定率に表れており、年率で国の平均より7ポイント、県平均より3ポイント以上も低い認定率で、また、75歳以上においては5~8ポイントの低い認定率でそれぞれ推移しています。
区においては、地域包括ケアシステムをモデル実施するにあたり、地区ごとの偏在する高齢者の実態をどう把握し、ニーズをどう的確に捉え、サービスの提供へとつなげるのかが大きな課題です。区では現状どのような形で実態把握をしているのか、さらに、世田谷区が考える地域包括ケアシステムの目指す構図を具体的に示しすべきと考えますが、見解をお伺いします。
第3に、認知症高齢者を地域で支える仕組みづくりについてです。
先日NHKで「認知症800万人時代。行方不明者年間1万人、知られざる徘徊の実態」と題した特別番組が放映され、認知症行方不明者の実態が取材を通して明らかにされました。昨年1年間で警察に届け出のあった不明者が1万人を超えたという、非常に衝撃的な事実に私も強いショックを覚えました。我が党は昨年暮れ、大牟田市の介護事業「まちで、みんなで認知症をつつむ」と題し、積極的に展開している認知症ケアコミュニティ推進事業を視察してまいりました。
特徴的なことは、ほっと安心(徘徊)ネットワークという徘徊高齢者を地域ぐるみ、多職種協働により、声掛け、見守り、保護していく実効性の高い「徘徊=ノー」ではなく、「安心して徘徊できる街を」目指し、警察、消防をはじめとしたあらゆる団体がネットワークに参加しています。
さらに特筆すべきこととして、小学校区の22校区において、徘徊模擬訓練の実施や、小中学校において認知症に関する絵本教室を開きながら、子供たちの理解を広げ、認知症の人を地域全体で支え見守る意識醸成へ役立てるとともに、より一層、大人の自覚へと促していく全体教育として展開されており、まさに大牟田市全体で「認知症をつつむ」明確な意志が伝わってくるのであります。
そこで、2点質問いたします。
1点目に、地域ぐるみの大牟田市の先進事例は、当区においても大変に参考になると考えます。行政機関ばかりでなく民間も含めあらゆる団体が、認知症を見守る意識醸成を率先して図っていくべきと考えますが、改めて区長の見解を求めます。
2点目に、教育的見地から認知症に対する理解を深めていくためにも、区立小中学校での取り組みは非常に有効と考えますがいかがでしょうか。

次に教育都市せたがや構築に向けてと題し、3つの観点から質問いたします。
第1に、新教育センターの整備についてです。区立校の質を高めるために何より重要なのが、教員の資質・能力の向上です。その中核機能を担うのが教育センターであると考えています。まさに子どもたちの成長に教師はかけがえのない存在であり、教師こそ最大の教育環境である、と言うのが我々の思いです。
さて、現在の教育センターが設置された昭和63年当時から、教員の育成環境は大きく変遷し、現在の学校は、ベテラン教員大量退職の時代を迎え、特に空洞化時代と言われた50代の教職員が最も少ない状況です。そこへ、毎年100名以上が新規採用されており、公務多忙など、学校内での指導育成が十分に行き届かない現状があります。これからの時代は、子どもたちの成長のカギを握る教員育成へ区は本腰を入れて担うべきであると申し上げておきます。そこで2点質問いたします。
1点目に、新教育センターの整備については、教員研修を中心軸に据えつつ、保護者への教育相談や、不登校対応としてのセンター機能など、学校をバックアップする機能も充実すべきと考えますが、区の考えを伺います。
2点目に、幼児教育センター機能についてです。わが党が再三申し上げている幼児教育の充実こそが世田谷9年教育の基礎となると考えております。我が党は、就学前3年プログラムを策定し、区が目指すべき就学前教育の基軸をまずは公立の幼稚園・こども園・保育園から発信していくべきと考えますが、区の見解を求めます。
第2に、制度的な問題である教員の人事権についてです。人事権の移譲については、これまで再三議論を交わしてきました。責任ある教員を育成する世田谷区としては、人事権の確保には公教育復権への威信をかけて取り組むべきであります。その覚悟をお伺いいたします。
第3に、新たな公立図書館についてです。
わが党は、武雄市立図書館での視察をもとに、図書館が街のにぎわいと市民の活力につながることを実感し、世田谷の図書館改革の道筋を提案してきました。先日も、同じ方式を採用した海老名市を訪れ、市が決断した経緯と今後の進め方について話を伺ってまいりました。海老名市の中央図書館は現在、併設していた教育センターを移設した上で、今年4月より既に民間への指定管理制度を導入しており、27年1月から全館を図書館としてリニュアールする改修工事も含めて、地域館の運営や学校図書室との連携、移動図書館のあり方なども民間活力へ委ねる決断をしています。世田谷区も図書館改革へ踏み出す図書館ビジョンの策定へ向け、問われるのは自治体の経営手腕であり、すべての公立図書館の立地や環境、利用状況など調査・検証の段階から民間活力の導入へ着手すべきと考えます。区の見解を求めます。

次に、「子ども・子育て新制度への移行について」お伺いします。
先月1日、わが党の主催による「第2回子ども・子育て制度懇話会」を開催しました。当日は、新制度の所管となる内閣府をはじめ、厚生労働省、文部科学省、さらに東京都福祉保健局と生活文化局及び世田谷区から、それぞれ各所管の担当者に出席頂き、平成27年4月に本格施行の新制度への移行における諸課題について、事業者の方も交えて意見交換を行いました。
 言うまでもなく、新制度は幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図ることが目的ですが、そうした動きの中、新制度施行に伴う量的拡充と質の改善が果たして、地域の実情とニーズに沿った整備へと進めることができるのかが、大きなカギとなります。特に待機児解消へ向け、新制度施行までの集中期間と、新制度後に弾みをつける加速期間で、それぞれ実効性を図るべきだと考えます。そこで2点質問いたします。
 1点目は、待機児解消について、我が党は従前より公有地における認可園整備だけでなく、あらゆる手法を図るべきだと訴えていますが、未だその手立てが示されません。地域においては、0歳児に対する新たな受け皿による拡充策など具体的に検討すべきと考えますが、区の見解を求めます。
 2点目は、新制度への移行において、実施主体となる世田谷区として定めるべき事項を計画に示し、どのように下地を整え、速やかな移行に備えるのか、また現行の保育施設・保育事業の想定できる諸課題について、どのように向き合うのか、道筋をお伺いします。

 次に、「低所得高齢者の住まいの確保に向けて」と題し、2つの観点から質問いたします。
第1に、シルバーピアについてです。
東京都が1987年から開始した高齢者向け住宅「シルバーピア」事業については、区はこれまで必要に応じて整備に取り組んできましたが、今後の高齢者の住まいとしての役割や維持、運営管理など課題に直面しています。世田谷区第3次住宅整備方針では、住宅に困窮している65 歳以上の所得の低い単身者や2人世帯の高齢者を対象に、国等の補助を受けて建設された民間住宅を世田谷トラストまちづくりが借り上げて、高齢者向け住宅として提供しているせたがやの家、及び、区が借り上げた民間賃貸住宅を提供している双方併せて、今後も引き続き供給すると明記しています。借り上げ後、20年経過以降の継続問題も含め、どのような手法で担保されるのか、区の見解をお伺いします。
 第2に、空き家、空き室の活用についてです。
都市部を中心に築後30年以上のマンションの急増を背景に、老朽化に伴う空き室の増加や、居住者の高齢化による管理機能の低下などが問題視されています。
 そうした中、UR都市機構では、全国的に築年数が40年以上経過した団地で借り手がつかない現状を打破すべく、使えるものは残し上手に生かす、という発想の取組みとして民間事業者とのリノベーションプロジェクトを立ち上げ、新たな住まいへの供給へ乗り出しています。その一環として先日、首都圏第一号となった板橋区高島平団地における(株)ムジハウスと連携したプロジェクトを視察してきました。同プロジェクトは優れた団地の良さを生かし、新たな手法や知恵との積み重ねによる賃貸住宅を提供されており、高齢者が安心して住み続けられる住まいやまちづくりの実現への可能性を秘めている手法だと実感いたしました。またURでは地域の医療福祉拠点の形成に向けても取り組んでおり、特に、空き家を利用した分散型サービス付高齢者向け住宅の導入等を検討しているとのことです。そこで、当区においても区内におけるUR等との連携を図り、低所得高齢者の住まいの確保への新たな手法として、実質的な検討をすべきと考えますが、区の見解をお伺いします。

 次に、「本庁舎整備について」質問いたします。
世田谷区では、本年3月に策定した「本庁舎整備方針」の中で、現本庁舎の課題として、施設や設備の老朽化、狭あい化、分散化、災害対策等の課題があげられています。大きな災害等の経験により、本庁舎に求められる危機管理機能は以前より一層高まっており、猶予はなく、結論を急ぐべきと考えます。そこで2点質問いたします。
1点目は、88万人の区民を守る災害対策の中枢管理機能を果たすには現本庁舎では不十分でありながら、整備方針では、10年後を目途に改築に取り組むとしております。いつ来るかわからない災害対策等への対応を考えれば、あまりにも長いと言わざるを得ません。2年間で策定の予定である基本構想も含め、早期計画で改築へ着手することを求めますが、区長の姿勢を問います。
 2点目に、世田谷区民会館の整備についてです。本庁舎と同一の場所で整備するか否かについては、今後の本庁舎整備の経費や工事期間、仮庁舎のあり方などに大きく影響を及ぼすと考えられます。特に、区民利用に支障なきよう最優先するとともに、区民会館を別地域に移転するのか否か、速やかに比較検討し、結論を導き出すべきです。区の決断を求めます。

 次に、外かく環状道路の東名以南についてお伺いします。
国土交通省は3月28日付で、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づく使用認可及び都市計画法に基づく都市計画事業の認可をいたしました。外環の本格着工に向けて、新たな一歩が踏み出された一方、東名高速から湾岸道路までの区間、いわゆる東名以南については、具体的なルートや構造形式ばかりでなく、関連団体などとの協議体すら未だ示されていません。外環道がこのまま東名で止まってしまえば、環八通りの用賀や瀬田付近の交通渋滞はより深刻となり、加えて環八通りに接続する生活主要道路にも多くの車両が流入するなど、生活環境の悪化が懸念されます。
東名以南については、これまで、都が国との協議会の設置を強く求めてきた経緯があります。また、2012年9月の外環着工式で、当時の国土交通相が、「環状道路としての機能を最大限に発揮するために、湾岸部までをつなぐ東名高速道路以南の計画を、具体化させていくべく関係者との検討の場を立ち上げたい」との考えを示して以来、まもなく2年が経過いたします。何れにせよ「検討の場」を早期に開催するよう、区長自らが先頭に立ち、国や東京都に強く求めるべきと考えますが、改めてその決意を伺います。

 次に、「世田谷ナンバーについて」お伺いします。
このたび、国土交通省より11月17日に世田谷ナンバーが導入される日程がプレス発表されました。しかし我が党はこれまでも再三、ナンバー導入は、単なる地名の変更だけではなく、地域振興や区内産業活性化を図る絶好の機会にしなくてはならないと申し上げてきましたが、未だその付加価値が明らかにされません。
先の第1回定例会での我が党の代表質問に対し、区長は世田谷ナンバー導入をきっかけにして、地域振興、区内産業の活性化にもつなげていきたいと答弁されましたが、なぜ区はこうした工夫や知恵は見いだせないのでしょうか。どんな機会も逃さず世田谷の地域振興につなげていく、という気概に立てないのであれば、産業振興の旗印を降ろすべきです。改めて付加価値について、このまま交付日を迎えるつもりなのか、決断を求めます。

 次に「環境エネルギー政策について」2つの観点から質問いたします。
第1に、新たなエネルギー創出の可能性についてです。先日、大田区城南島にあるバイオエナジー(株)を視察してまいりました。この会社は生ごみを電気と都市ガスに変えるという画期的な事業を行っています。平成18年4月の稼働から、まだ8年目ですが、既に食品メーカーや百貨店・スーパー・コンビニ、さらにはレストランなどの飲食業からの食品廃棄物を受け入れ、メタン発酵システムによって発生するガスエネルギーによる発電と都市ガスを作り出しております。発電電力量は一日最大24000kw(2400世帯相当)、都市ガス供給量は一日2400立方メートル(2000世帯相当)となっております。むろん工業地域のない世田谷区では事業は起こせませんが、再生エネルギー、自然エネルギーの創出には無限の可能性が潜んでいることを我々は真摯に学ばねばなりません。
環境エネルギー政策は、区長にとって、まさにあらゆる政策の核となる位置づけにあると我々は認識しております。しかるに、セミナーやシンポジウムでの議論や意見交換ばかりで、「エネルギーを巧みに使う」といった言葉だけが先行し、我々が括目するエネルギー政策は一向に見えてまいりません。環境都市せたがやの実現へ区長として何をなすべきなのか、その核心をお答えいただきたい。
第2に、環境配慮型リノベーションのさらなる促進を図る立場からお尋ね致します。昨年度より一歩パワーアップした今年度の制度設計に一定の評価をするものですが、ここでその歩みを止めてはなりません。今後のさらなる施策の拡充が重要です。そこで提案致しますが、学校教育の一環として、この際思い切って、再生可能エネルギーのあらゆる要素を取り入れた「環境配慮学習館」の設置はいかがでしょうか。世田谷の次世代を担う児童生徒に対して、大変教育効果が高いと思われます。区の見解をお示し下さい。

 次に、「公会計制度への取り組みについて」質問いたします。
先般、総務省の「今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書」が取りまとめられました。その中で、今後の地方公会計の整備については、地方公共団体における財務書類等の作成に係る統一的な基準を設定することで、発生主義・複式簿記の導入、固定資産台帳の整備などを推進するとしています。まさに我が党が主張してきた「財政の見える化」への挑戦が国を上げて始まるものです。
総務省では、今後、財務書類や固定資産台帳の作成マニュアルなどを策定し、来年1月をめどに、新基準による地方公会計整備を各自治体に要請し、そのために必要なソフトウェアを開発し無償で提供するとしていますが、そこで質問いたします。
自治体経営の基盤となる固定資産台帳の整備についてです。現状の各所管に分散している公有財産台帳や道路台帳などを一元化して固定資産台帳を整備すれば全庁的な固定資産のデータベースが構築され、このことにより複式簿記の導入が可能となります。導入に不可欠な資産の一元化をどう進めるのか、目標期間も踏まえた見解をお伺いします。

 次に「がん対策推進条例について」質問いたします。
この度、世田谷区が「(仮称)世田谷区がん対策推進条例」を制定することを決定し、区民、保健医療福祉関係者、事業者と一体となって「がんを知り、がんと上手に向き合い、がんになっても安心して暮らせる地域社会」に向けて一歩を踏み出したことを、高く評価させて頂きます。
先般、福祉保健常任委員会の報告で示された条例の骨子では、信頼できる情報の提供、患者及び家族への支援、がん教育など、総合的な枠組みによる一層のがん対策への推進を図ると示されていました。今後、条例制定後、27年度にはがん対策推進計画を策定予定とのことですが、人口比における”がん”の死亡割合が世界でも突出して高い我が国において、本人はもとより家族にとっても社会や経済にとっても、がんによってその人財を失うことは、計り知れない損失である憂慮すべき問題として、いかに実効性を担保できるかが重要と考えます。そこで、質問いたします。
実効性の担保に不可欠なのが、推進計画における具体的な目標設定です。がんによる死亡者数の減少を目指し、がん検診の受診率向上や働く世代へのがん予防の意識啓発、がん患者や家族への支援とがん診療連携拠点病院とのシームレスなネットワーク化、さらには在宅医療体制など課題を抽出した上で、患者のQOLを高めることへ重点的に取り組むことが求められます。かけがえのない区民の命を守るため、次の展開にどう努めていくのか、見解を伺います。

 次に、「不燃化特区について」質問いたします。
2013年12月に中央防災会議は、今後30年以内に70%の確率で発生すると考えられる首都直下型地震について、被害想定の見直しを行いました。その被害の中心は地震火災によるもので、約7割の人が亡くなるとされております。それを受け、東京都では「木密地域不燃化10年プロジェクト」を策定し、建物の耐震・不燃化とともに、延焼を防ぎ、消火、避難、援助に必要な整備をスタートさせ、世田谷区においても、今年4月より「北沢3,4丁目地域、太子堂・三宿地区」「区役所周辺地区」の3か所が認定を受け、不燃化特区プロジェクトがスタートいたしました。延焼による消失のない街の実現をめざし、2020年までの道筋ができ、不燃領域率70%の目標実現に向け区全体の取り組みが始まり、先般、新規地区への特区申請も公表されたことは、大変評価し、期待するところであります。ここで3点お聞きいたします。
1点目は、これまでも、密集事業、地区計画、新たな防火規制区域導入などの政策により、防災まちづくりに取り組んできたところでありますが、不燃化建て替え等の実績も含めて成果をお聞きいたします。
 2点目に、今般指定された「北沢3,4丁目地域」では建物棟数1680戸、そのうち、老朽木造建築棟数率は38.69%、不燃領域率は46.2%であります。今回のプロジェクトでは、不燃化建替え棟数600件との目標が計上されておりますが、この600件は同地域の老朽木造建築物の92%にあたり、2020年までにほぼすべての建築物を建て替えするということになりますが、この目標値をどう捉えているのか、お伺いします。
3点目に、指定外地域への不燃化促進についてです。区では木造住宅密集地域でありながら、不燃化特区など整備対象にならない課題があります。今後、どのように推し進めるのか、見解を伺います。

 最後に、「公契約条例の制定へ向けて」入札制度改革を一体不二で実施する観点からお伺いします。
昨年11月に素案が提出されて以来、幾度となく議会でも論議されてきた「公契約条例」の制定に当たっては、入札制度の抜本改革なくして拙速に議論を詰めることがあってはならない事を、まず申し上げておきます。
公契約とは公共事業を適正な入札環境のもと、適正な価格で請け負って、適正に履行されることが大前提であります。公契約のあり方検討会の最終報告にも、そもそも条例をつくる意義は、基本原則や基本価値をつくり、統一的な視点で入札制度改革を考えていくことにあると述べている通りであります。
さらに言えば、適正な労働環境が確保されるとともに、地域産業の安定的維持や活性化が図られることの実現こそ条例に課せられた使命であると考えます。そこで2点質問致します。
1点目に、入札における最大のポイントである予定価格に対する絶対の信頼をどう区は担保しうるのか。内部積算チェックのみならず、客観性を担保しうる外部の積算事務所などの活用も考えるべきです。併せて、最近の単価高騰に伴う対応も含め、区の見解を求めます。
2点目に、世田谷区が総合評価入札への変革に取り組まれていることは評価致します。一方で、企業の社会に対する貢献度、姿勢についても配慮することが求められており、我が党は災害対策等を含め、区内の官公需適格組合の活用による事業者の活性化に努め、区内で地域貢献されている企業に対し、後押しすべき体制をつくっていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。以上で壇上からの質問を終わります。