命を守るホームドア急げ

本日の公明新聞に視覚障害者団体と公明党で、8月のホームからの転落事故を受け、「命を守るホームドア整備を急げ」と政府に要望を提出しました。

以下、公明新聞記事を掲載致します。

日本盲人会連合の竹下義樹会長らは16日、東京都港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅で8月、盲導犬を連れていた視覚障がい者の男性が電車にひかれ死亡した事故を受けて、国土交通省で石井啓一国交相(公明党)に鉄道駅の安全に関する要望を行った。これには、公明党障がい者福祉委員会の高木美智代委員長(衆院議員)と、都議会公明党の吉倉正美、松葉多美子、斉藤泰宏の各議員が同行した。

新たに20~30駅整備 石井国交相

席上、事故で仲間を失った竹下会長は「この事故を最後にしたいとの強い思いだ。ホームドアは全国民にとってプラスになるし、視覚障がい者の安全を確保する意味でも設置を急いでほしい」と強調。その上で、(1)全ての駅ホームの危険箇所の実態調査と対策実施(2)現在計画中の駅だけでなく、特に転落の危険性が高い駅への速やかなホームドア設置(3)全駅への安全監視員の配置―などを求めた。

また、同連合が事故後に視覚障がい者を対象に緊急実施した都内の駅ホーム実態調査の結果を示し、「回答を得た57人中22人が駅ホームからの転落を経験している」と報告した。

一方、高木委員長は、同事故直後に行った現場調査を踏まえ、「再発防止に向け、ホームドア設置などハード面に加え、障がい者への声掛けなどソフト面の対策を早急にとってほしい」と要望。また、1日に10万人以上が使う全国251駅のうち77駅にしかホームドアが設置されていないとし、整備加速を訴えた。

石井国交相は、「事故後に国交省に設置した検討会で、ハードとソフトの両面から対策強化を検討する」と回答。ホームドア設置については「今年度予算で約22億円を確保したが、今年度(第2次)補正予算案で約40億円を計上し、来年度予算案の概算要求でも約27億円を要望している。これにより、緊急性の高い駅ホームは優先的に整備するとともに、今年度当初予算では新たに整備に着手する駅数は5駅だったが、さらに20~30駅増やす」と明言した。

また、障がい者への声掛けの研究などソフト面の検討も進めるとした上で、「検討会は年内をめどに中間取りまとめを行うとしているが、要望を踏まえて議論を深める」と述べた。

要望後、竹下会長らは記者団に、「ホームドアの設置はお金がかかるが、(2014年度の)駅ホームの転落事故は視覚障がい者で80件、障がいのない人も含めると3600件超発生しており、国民全体の安全な鉄道利用に結び付く」と指摘。「私たちは駅ホームを『欄干のない橋』と言い、歩く時は腰が引けるほど危険な思いをしている」と述べ、改めて早急な対策の必要性を訴えた。

一方、竹下会長は「公明党が事故後すぐに現地調査をしてくれたことは非常に大きい」と強調。公明党が推進した視覚障がい者がホームの内側を判別できる「内方線付き点状ブロック」に触れ、「これにより安全性が増し、われわれにとってありがたい。(ホームドアが設置されるまでの間)それだけでも全部に付けてほしい」と語った。