公明党全国県代表協議会から重要政治課題について

11月27日の公明新聞の山口代表の挨拶より抜粋

■外交

ここで重要政治課題について一言申し上げます。今月8日の米大統領選で、次期大統領にトランプ氏が選ばれ、17日には安倍首相と同氏が会談し、信頼関係構築への第一歩が踏み出されました。言うまでもなく日米同盟、日米関係は日本外交の基軸であり、アジアや世界の平和と安定を支える、最重要な2国間関係です。政府は、政権が移行する米国側と緊密に連携を取り、具体的な課題に対して日本の考え、立場を伝え、共通認識を育んでもらいたい。

TPP(環太平洋連携協定)は、人口減少社会に突入した日本にとって、世界の成長力を取り込むために極めて重要な役割を果たすものです。トランプ氏が米国の離脱を表明していることから、安易な見通しを語れる状況にはありませんが、各国が内向き志向を強め、自由貿易体制が退潮することになれば、世界経済の先行きに影を落としかねません。先日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)におけるTPP関係国首脳会議で国内手続きの推進を確認しています。わが国としては、今国会でTPPを承認し、協定の発効、さらに世界の自由貿易体制をリードしていく必要があると考えます。

12月、ロシアのプーチン大統領が訪日します。領土問題の着実な前進を図り、経済協力とともに平和条約締結に向けた歩みが進むことを期待します。同じく12月には、日中韓首脳会談が日本で行われる予定です。政府は議長国として最善の調整を進め、東アジアの安定的な発展に資する実りある会談の実現へ努力を尽くしてもらいたい。

■内政

国内においては、公明党が先の参院選で訴えた「希望が、ゆきわたる国」を実現するための取り組みに、引き続き全力を挙げてまいりたい。経済情勢は、7―9月期の国内総生産(GDP)速報値が実質成長率で年率2.2%と3期連続でプラス。来春卒業予定の大学生の就職内定率が10月に71.2%と19年ぶりの高水準を記録するなど雇用状況の改善も続いています。ただ、個人消費は微増にとどまっており、まだ景気回復の実感が伴っているとはいえません。個人消費に力強さを取り戻すためにも、「成長と分配の好循環」を進めていくことが重要です。

このため、経済界には来年も今年以上の賃上げが実現するよう一段の努力をお願いしたい。党としても、予算や税制面などで賃上げを後押しする政策を推進してまいります。さらに、長時間労働の是正など働き方改革も重要な課題です。政府が年度内を予定している働き方改革の実行計画策定を見据え、わが党としても提言の取りまとめへ議論を加速させてまいります。

今国会では、来年8月以降、年金の受給資格取得期間を25年から10年に短縮する無年金者救済法が16日に成立しました。公明党が強く求めて成立したものであり、約64万人の無年金者を救済するだけでなく、将来にわたって無年金者を減らすなど、幾重にも大きな意義があるものです。今後は、請求手続きの円滑な推進など対象者が漏れなく年金を受け取れるよう、党としても取り組んでまいりたい。

一方、現役世代の賃金に合わせて年金額を改定する新しいルールなどを盛り込んだ国民年金法改正案(年金制度改革法案)は、不測の経済状況が今後起きたとしても、将来の年金水準が低下しないよう万全の備えを講じるものです。これにより、現役世代が安心して高齢者を支え、それが結果的に高齢者の安心にもつながります。こうした「世代間の支え合い」を盤石にするため、同法案も今国会で成立させなければなりません。

22日午前、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.4の地震があり、福島、宮城両県に津波警報が出され、一時1万人超が避難しました。東日本大震災の余震とみられます。東日本大震災は「復興・創生期間」に入っていますが、油断なく復興加速化を進めたい。併せて、発生から7カ月が過ぎた熊本地震、今年相次いだ台風災害、10月の鳥取中部地震からの復旧・復興も迅速に前進させたい。公明党はどこまでも被災地、被災者に徹して寄り添い、「人間の復興」を必ず成し遂げてまいります。

年末を控え、来年度予算編成、税制改正に向けた本格的な議論が行われています。庶民目線を貫く公明党らしさを存分に発揮し、「成長と分配の好循環」や1億総活躍社会への取り組みを一層加速させてまいりたい。

中でも、わが党が強く推進してきた返済不要の「給付型奨学金」は、創設を求める声が強く、予算編成の過程で制度を具体化しなければなりません。また、配偶者控除の見直し、中小企業の設備投資や賃上げを促す税制支援などを通し、働き方改革、経済成長への足取りをより確かなものにしていく方針で臨んでまいります。