高齢ドライバー 社会全体で安全どう支えるか

公明新聞:2017年1月30日(月)付の記事を掲載

高齢ドライバーによる事故が近年続いている。政府と自治体はさまざまな対策を進めているが、その中で「高齢ドライバーの安全を社会全体でどう支えるか」という視点に関心が集まっている。

運転免許の「自主返納」や、3月から施行される認知症と診断された人に対する「免許取り消し」など、高齢ドライバーだけに特別の制限や負担をかける方法にはどうしても限界がある。

生活の必要に迫られて自動車を手放せない人は多いし、免許更新時に行われる認知機能検査で認知症の人が全て分かるわけでもないからだ。

75歳以上の免許保有者数は増加している。2001年末の約154万人が、15年末は約478万人となり、3倍を超えた。一方で、「自主返納」は道路交通法改正もあり12年から急増したが、15年末の65歳以上の「自主返納」は約27万人で、これは65歳以上の免許保有者約1710万人の2%に満たない。

こうした実情を考えると、高齢者が利用しやすい移動手段の確保や、技術革新による安全な自動車の普及、さらに、住宅地域ではスピードを出しにくい道路を整備するといった安全な街づくりの推進までも視野に入れた総合的な対策が求められる。そのためには社会全体の理解が欠かせない。

「自主返納」をした本紙読者の投稿に「いつの日か必要性が生じた時に困らないように、という思いの運転免許は私の宝物だ」とあった。高齢ドライバーが自動車がないと生活に不安や支障を覚えるような社会をどう変えていくか。大きな課題である。

内閣府が今月公表した「交通安全に関する世論調査」によると、高齢ドライバーの事故防止に重要なことを複数回答で聞いたところ、身体機能のチェック強化(約71%)や認知症の早期診断の体制整備(約59%)に続いて、高齢者の移動手段確保に向けた地域公共交通網の整備(約53%)となった。

今月から、高齢ドライバーの事故防止を検討する警察庁の有識者会議がスタートした。効果的な安全教育の実施とともに、高齢者の移動に配慮した社会のあり方も議論してほしい