本日は、第1回定例会の最終日。
各会派から平成29年度予算に対する賛成・反対の立場から意見が述べられました。
公明党からは河村議員が賛成の立場から意見開陳をしました。
採決では、賛成多数で平成29年度予算外4件は可決されました。
以下、意見開陳の概要を掲載いたします。
【公明党意見開陳 概要】
今月の3.11で東日本大震災から6年経過しました。公明党は発災直後から現場の最前線に飛び込み、住民の要望を掌握、国会議員、地方議員のネットワーク力で被災地の再生と住民の生活支援に総力を挙げて取り組んでまいりました。
しかし、まだ12万人超の人が避難生活を余儀なくされており、約34000人の人がいまだ仮設住宅での暮らしと、復興は道半ばであります。
私どもはインフラ整備、住宅整備はもとより、被災者一人一人が「人間の復興」を成し遂げるまで、声をきめ細かく聞き、寄り添い続けて参ります。
それでは、平成29年度一般会計予算案ほか4件に賛成の立場から公明党世田谷区議団として厳しく意見を申し上げます。
はじめに平成29年度当初予算は2987億9400万円、前年度比2.8%増の過去最大規模である一方で、「多世代を支え、つなげる予算」と銘打つには程遠く、どの政策に重点を置いているのか、そのためにどの事業を見直したのか、行政経営改革の痕跡すら見えない予算編成ではないでしょうか。
なぜならば区の基礎的財政収支、いわゆるプライマリ―バランスは28年度から赤字に転落し、以降29年、30年、31年度と続く見込みで、財政の黒字化への道筋が全く見えない状況であり、大変に厳しい見通しです。
その状況を踏まえれば、当然、区のトップとして我が国を取り巻く社会経済状況をどう受け止め、世田谷区の将来像をどう描いていくのか、その姿勢や意思を区民へはっきりと示すのが予算編成ではないのでしょうか。私どもは、限られた財源の中で、真に必要な事業を的確に行っていくためには、民間活力の導入、重複事業の見直し、費用対効果の検証、組織体制と職員体制の見直しなど、行財政改革を着実に進めていくことが必要であると再三訴えてきました。
しかし、例えば図書館をはじめとする公共施設運営への民間活力導入も本格化しておらず、また、重複事業の見直しについても、象徴的な就労支援事業など未だ見直しがなされておりません。
区長は、行政経営改革の取り組みにおいて約22億2800万円の効果額を見出したとしておりますが、その内容は、学校改築の際に仮設校舎を建てない手法をとり最終的に営繕コストを抑制した等、単なる仮想金額の提示にしかすぎず、実質的な削減ではありません。今、やるべき時に改革を推進していかなければ、世田谷区の財政はいずれ立ち行かなくなります。今、そういう危機的な状況にあることを区長は強く認識すべきであると申し述べます。
さて、予算特別委員会において各所管でとりあげました個別課題は今後注視してまいりますが、わが党として最重要課題としてとらえている施策について6点にわたり申し述べます。
第一に、地域包括ケアシステムについてです。
平成29年度の地域包括ケアの地区展開では、地区アセスメントを作成し、3者で地区の課題や社会資源等を把握・共有するとともに、地区の住民や事業者等と連携して地区の課題を解決するとしております。しかし、すでに砧地区のモデル実施から3年経過しており、今さら区の目指すべき地域包括ケアシステムと地区での現場職員との認識、理解、意思疎通にかなりの温度差があるのは大きな疑問です。今一度、現場の最前線における意思疎通と地区の包括ケアの将来像を共有できるよう責任を持って推進する役目は、紛れもなくまちづくりセンター所長であり、管理職として配置できるよう地区をメインとした行政構造への転換が必要であると求めておきます。
第2に、教育総合センターと特別支援教育についてです。
平成33年に若林小学校跡地に世田谷区教育総合センターが開設をめざし、社会環境が大きく変化する中で、幼稚園・保育所・小中学校を教職員をはじめとする総合的なバックアップ機能としての中核的拠点として期待が高まります。
しかし、新たな教育センター構想として6つの機能を想定していますが、特別支援教育に関する具体的な機能が示されていません。
区として、学校・園における特別支援教育をしっかりと充実、強化するためにも、分散している特別支援教育の機能を集約し、教育、福祉、医療の連携が円滑に図れる特別支援教育のバックアップセンターとしての機能を新たな教育総合センターに位置づけるよう体制整備に取り組むべきと申し述べます。
第3に、三軒茶屋の施設整備についてです。
三軒茶屋駅周辺の既存公共施設については、機能劣化の解消、集約化、複合化等による相乗効果の創造、経費抑制、利便性の向上を図るために再整備の方向性が示されました。平成29年度中に実施の可否を判断すると、とのことですが、わが党は公共施設の再整備をするにあたり、まず行うべきことは、駅周辺に分散している就労支援施設、さらには産業振興機能や男女参画支援機能を一元化することにより、重複事業の統合による財源の効率化や産業振興、就労支援の実現を一体的に推進できるかどうか、を判断基準として、三軒茶屋の再整備の是非を見極めていくことを宣言しておきます。
第4に、官民人事交流制度についてです。
首都直下地震が30年以内に70%の確率で発生するといわれてはや5年が経過しており、その災害に備えて一刻も早く対策を進めることが求められております。災害対策として危機管理能力のある専門職の力を活用すべきことを代表質問にて提案し、人材確保に向けて具体的な取り組みを進める、との答弁には一定の評価をいたします。今後は、災害、危機管理のみならず多様化・高度化する行政ニーズに的確に対応するためにも、質の高い人材を幅広く確保していくことは重要と考えます。例えば、法務、税務や財務の専門官を始め、産業や観光政策、こども関係施設などの人材を区組織で積極的に活用していく必要性があり、新たな組織となる官民連携課を軸により人事交流を活発化させることを求めます。
第5に、観光政策についてです。
オリンピック・パラリンピック2020年に向けて我が党は、世田谷区の観光政策を大きくすすめる上から観光協会設立の必要性を再三申し上げてきました。その理由は、法人格の観光協会は、観光をビジネスとして展開することを目的としているからであります。私たちが目指すものは、戦略的な観光施策を具現化・事業化することによって世田谷区の観光事業を展開し、地域活性化を図っていくことであります。しかし、昨年12月に設立されました「世田谷まちなか観光交流協会」は区民との交流のプラットホームの役割を果たしながらまちなか観光を推進するとしており、そもそもインバウンドに視点がなく、私たちの考えと大きく異なっております。
2020東京オリンピック・パラリンピックはもう3年後であります。これまでのように区民が区内を回遊する程度の観光施策ではなく、大きく広く魅力を発信できるビジネスモデルとして、民間の知恵と活力を結集した観光政策を推進することを強く求めます。
第6に、性的マイノリティに関わる直面する課題について、わが党の基本的な考え方を申し上げます。
性的指向・性自認の多様性が尊重され、これを理由とする差別のない社会を目指すために、法制について成案を得ることが喫緊の課題であると認識しています。それには性的マイノリティの当事者の方が社会で一人一人の多様性を尊重されるよう、偏見をなくし正しい理解を広げる第一歩として、まず啓発と取り組みが重要であると考えます。
渋谷区では、議会で議論を重ね「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を制定しましたが、世田谷区では一昨年区長の裁量だけで「パートナーシップの宣誓の取り扱いに関する要綱」がつくられだけのものでありました。
要綱はあくまで内部規約であり、首長の意思、意図によっては、いかようにでもなるものであり、議会での議論も全く深まることもなく、区民参加も極めて限定的なものであったと言わざるを得ません。
今後、正しい理解が広げられていく上からも、渋谷区の条例施行に倣い、あくまでも条例制定の方向性を示し、その策定準備に早急に着手すべきであると申し上げておきます。
最後に、今期をもちまして定年退職されます189人の職員の皆さま方におかれましては、長年にわたり世田谷区にご尽力されましたことに心より感謝申し上げ、御礼申し上げます。
どうか、健康にご留意され、これまで蓄積されましたご経験を生かして、次なる新たな立場でご活躍されますことをお祈り申し上げて
公明党世田谷区議団の意見とさせていただきます。