予算特別委員会4日目。
今日は福祉保健領域の質問日で約20分にわたり質疑しました。
1、介護従事者の離職防止・定着支援について
2、特定健診の他自治体との相互乗り入れについて
3、高齢者肺炎球菌ワクチン接種について
以下、質問概要を掲載いたします。
【1】 介護従事者の離職防止・定着支援
介護保険制度が施行された2000年以降、介護従事者の数は年々増加しております。55万人だった介護従事者は、2016年に約189万人にまで増えました。しかし、高齢化、介護サービス利用者増加で人手不足は解消されていません。団塊の世代が75歳を超える2025年には245万人に介護人材が必要といわれ、約34万人の介護職が不足するといわれております。
介護職の離職率は平成29年度介護労働安定センターの介護労働実態調査によると現在約18%台で推移しています。近年は一部の事業所の努力もあって、離職率は少しずつ全産業の平均に近づいています。しかし労働に見合わない賃金や人間関係で揉める職場環境などを理由に、介護職を辞めてしまう人はいまだに後を絶ちません。
特に離職者の7割弱が勤続3年未満という調査もあり、これらの離職防止の取り組みが急がれております。
質問1、現在、世田谷区では特養や老健など施設整備を推進しておりますが、職員の配置が追いついていない状況であります。最初に区内の現在の人員確保の状況を伺います。
何故介護従事者が離職するのか平成29年度介護労働実態調査では
①職場の人間関係や事業所への不満(38%)
②結婚、出産、育児(18%)
③将来性が感じられない(16%)
④収入面の課題(15%)
等多岐にわたっております。
昨年夏に公明党世田谷総支部で開催しました「高齢者の地域生活支援懇話会」で、出席された事業者の方々からは多くの意見をいただきました。
「人材不足が常態化していること。地域特性に合わせた人材支援の仕組みの検討が必要。義務教育期間においては介護職が3kというイメージが先行しており払拭すべき」等の意見。
また、介護従事者のキャリアアップについては、介護職が専門性の高いプロフェッショナルの仕事として社会的評価を受けられる環境をつくること。介護の職場において着実にキャリアアップできるようにしていくことが重要である等の意見をいただきました。
私は介護従事者が研修を受けながら、スキルを磨き、しっかりとキャリアアップしていけることは、介護従事者の意識向上に繋がり、仕事に対する誇りとやりがいをもって働き続けることができるようになるものと思います。
そこから職場環境の改善につながり、最終的に離職防止につながるものと認識いたします。
他自治体での取り組みですが、例えば群馬県では、ぐんま認定介護福祉士という全国初の独自認定制度をつくっております。
介護福祉士5年以上で所属する事業者3年以上、所属する事業所から推薦を受けて、群馬認定介護福祉士という認定を与えているとのことです。
平成21年創設から平成28年まで634名認定されており。認定者の離職者は極めて少ないとのことです
群馬県にヒアリングしたところでは、介護福祉士は資格取得後、次に目指す上級の国家資格がないことから、評価・処遇に当たっての指標となる認定制度を構築していくためにこの制度をつくったとのことです。
介護従事者の意欲向上と職場定着を図るとともに職場環境の改善と県全体の介護の質の向上を目的としているとのことです。
また都内の社会福祉法人においては、介護の技能や知識を問う独自試験を実施、職員のキャリアアップを図るために6段階のケアマイスター制度を策定しているとのことです。
質問2、このように世田谷区においても世田谷版キャリアアップ制度を構築し、介護従事者が着実にキャリアアップできる体制を構築していくことを早期に検討すべきと考えますが、見解を問う。
国では今年度から通所介護事業所において、自立支援、重度化防止の観点から、要介護度を改善した区市町村に対してインセンティブ(財政支援)を行うことになりました。
また、神奈川県でも独自に、要介護度の改善など介護サービスの質向上や人材育成・待遇改善に取り組んだ介護事業所を表彰し、1事業者100万円の報奨金を交付する、神奈川介護ベストセレクト20を実施しています。
このような取り組みは、品川区や江戸川区などでも先駆的に取り組まれております。
質問3、このように介護度が改善した場合、事業所にインセンティブを付与していくことは介護従事者に対して、やりがいにもつながり定着支援にもつながるものと考えられます。
世田谷区でもこのような取り組みを積極的に検討すべきと考えるが見解を問う
介護度改善した事業所にインセンティブを付与することは、最終的に医療費、介護保険料の軽減にもつながります。国でもスタートしたわけですので今後鋭意取り組んでいただくことを求めます。
【2】 特定健診の他自治体との相互乗り入れについて伺います。
北沢5丁目の方から、「日常生活圏がほとんど笹塚が中心で、医療関係はほとんど渋谷区内の病院を利用、渋谷区でも健診を受けることのできるような体制をつくってほしい」との要望を以前から頂いており平成26年の決算特別委員会で取り上げました。
その時は、「検診項目に差があることや受診の期間が異なること、区により事務処理方法が違いがありなかなか難しいが今後検討する」とのことでした。
現在、杉並区と世田谷区では以前より協定を結んで相互に検診ができるようになっております。
平成15年度より世田谷区と杉並医師会、杉並区と世田谷医師会が基本健康診査業務委託契約を結び、世田谷区民が杉並区医師会所属の医療機関で、それぞれ検診を受診できる「相互乗り入れ方式」を開始しております。
質問1相互乗り入れができた背景は何か
どのような協定になっているのか。世田谷区との検診項目との違いなどの諸課題は整理されているのかお聞きいたします。
質問2、何名ぐらいの方が杉並区で受診してますか
区界に住む特定健診者の受診率向上には、相互乗り入れ方式は効果があると認識いたします。渋谷区ばかりではなく目黒区の医療機関でも検診を受けられるようにして欲しいとの要望もいただいております。
質問3、渋谷区、目黒区と相互に乗り入れできるよう早急に検討に着手することを求めます。見解を問う。
区境の方からの永年の要望です。早急に関係機関との調整をお願いいたします。
【3】 高齢者の肺炎球菌ワクチン接種
日本人の死因の5位が肺炎です。また死亡者の98%が65歳以上の高齢者であります。
4年前に亡くなった私の父親も肺炎が原因でした。
平成26年から平成30年度までの5年間、65歳、70歳、75歳、80歳の5年刻みで定期接種として行われていて今月終了となりますが、接種率があまりにも低く、国は定期接種を5年間延長することになりました。
現在の日本での65歳相当の接種率は38%から42%程度のことです。
質問1、世田谷区の平成26年度から平成29年度の定期接種対象者の接種率はどの程度か。接種率が低い理由は何か教えてください。
高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種制度は高齢者の肺炎予防と医療費削減効果のために国が導入したものであります。
高齢者肺炎球菌ワクチンの医療費削減効果は5115億円と厚労省が発表しております。
国での5115億円という試算を、人口比を基に世田谷区に当てはめた場合は世田谷区の医療費削減効果は約27億円になります。高齢者肺炎球菌ワクチンの接種が、区民の健康や医療費削減にもたらす効果があります。
ワクチン接種の周知についてですが、例えば、川越市では肺炎球菌ワクチン接種率が伸び悩んでいることを受けて再通知はがきを再送しました。
再通知のハガキには「希望者は3月31日までに受けてください」「あなたが定期接種の対象となって助成を受けることができるのは今年度のみ生涯1回」との再通知をだしたところ、初回通知後の5,6月に比べて翌年の2,3月の接種者は大幅に増加した。結果的には前年度(26年度)36.7%から27年度45.3%と大幅に上昇したそうです。
国でも今年1月の事務連絡で定期接種の継続にあたり、接種率向上のために周知啓発に取り組む必要があることを明確に述べております。
質問2、世田谷区でも対象者には通知を出しているとのことですが、川越市のように接種率向上に向けて再通知をだすなどして、接種率向上のために改めて周知徹底を図ることを求めます。見解をお聞きいたします。