決算特別委員会(福祉保健委員会所管)で質問

決算特別委員会の4日目
今日は福祉保健所管の決算委員会で公明党からは板井委員と私が質問席に立たせていただきました。
私からは
1、養育費確保支援について
2、キッズゾーンの整備と緊急安全点検について
3、ナッジ理論を活用した健康づくりについて
それぞれ質問いたしました。

以下質問概要を掲載いたします。

【1】養育費確保支援について
全国ひとり親世帯等調査によりますと、2016年の推計では母子家庭が123万世帯、父子家庭が18万世帯なっております。
ひとり親家庭になる理由の70%以上が、離婚が原因とのことです。
ひとり親家庭が増えることは、その家庭や社会にも様々な問題が発生します。
その問題の1つとして「貧困」の問題が挙げられます。

2016年の年間収入平均値では父子家庭420万円、母子家庭243万円で,母子家庭ではかなり厳しい世帯が多いということがわかります。
2018年のデータでは、母子家庭の半数以上が貧困状態であるとされています。

現在、ひとり親家庭、特に母子家庭が増加傾向にある中で、国では様々な手当の支給や支援などを行っております。
児童扶養手当などの経済的支援や、養育費確保支援、子どもの居場所作り、子どもの学習支援、住居確保、就労支援など実施されております。

本日は、養育費確保支援について伺います。
そもそも養育費は、子どもの健やかな成長に必要不可欠なものであり、子どもが受け取るべき権利であります。諸外国では、行政が主体となり、養育費確保支援を当たり前に行っておりますが、我が国では実際に養育費を受け取っている割合はわずか25㌫に満たない状況であります。

Q1,世田谷区の養育費支払いの状況について教えてください。

私も以前、養育費がもらえず離婚して、生活に困窮している母子家庭の方からの相談を頂いたことがあります。
今の答弁からは、世田谷区では養育費をもらっていない親は6割を占めております。
養育費をもらっていない理由には、相手に支払い能力がない(42.5%)
相手方とかかわりたくない(33.9%)養育費の取り決めをしたが履行されない(26.3%)

国の養育費確保に向けた取り組みですが、平成24年4月より民法の一部が改正され、協議離婚の際には子の監護者(親権者)だけでなく、「面会交流」や「養育費」についても定めることとされ、その取り決めにあたっては、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」旨が明示されました。

民法ではこのように改正されたものの、実際には協議離婚が9割を占める日本では、養育費の取り決めがされないまま離婚が成立しているのが現状です。
海外では養育費に関しては多くの国で裁判所が関与しており、養育費を給与から天引きして強制的に徴収したり、国が立替えたりしております。
日本においても「子どもの権利」を守る観点から、合理的に養育費を確保できる仕組みを作るべきと考えます。親も責任を果たし、国も十分な手当てを保障して、公私でこどもの権利を守る体制を早急に整える必要があると思います。

Q2,その観点から、まずは、離婚を考えている人に養育費の取り決めができるようにしっかりと周知していく必要があると考えます。区の見解を伺います。

各総合支所の子ども家庭支援課では夫婦、親子、結婚、離婚、相続等の相談を行っています。
またこども家庭課ではひとり親家庭の自立促進のために、養育費確保に向けた養育費相談会を年7回実施しているとのことです。

Q3,各総合支所での家庭相談や養育相談会での養育費相談の状況、また相談を受けてどのようなところに紹介しているのかお聞きいたします。

さまざまな支援機関がありますが、その中でADR(裁判外紛争解決手続き)の活用は有効と考えます。この機関には法的専門性があり、また費用も弁護士等に依頼するよりも比較的低額であり、調停者が申立者と相手方とに入って調停に動いてくれ、最終的には、養育費や面会交流に関する取り決めを公正証書での合意書作成までたどり着くことが可能です。

Q4,港区ではこのADRの活用を積極的に行っております。さらには相談者が負担する申込料や依頼料に相当する費用を助成しているとのことでもあります。まずは区としてADRを活用できるように積極的に周知すべきと考えます。区の見解をお聞きいたします。

ひとり親家庭の中で、養育費の取り決めをしたのにも関わらず受け取ることができずにいる世帯は区内で26%です。
今年度、改正民事執行法が施行され、未払いの相手方から養育費が受け取りやすくなりました。しかし、これもあくまで公正証書など公の文書で養育費の取り決めをした人に限られます。
Q5,明石市や港区では養育費の受取人が養育費を確保する手段として、養育費保証会社と養育費保証契約を締結することを推進しております。
このような取り組みも有効かと考えます。見解を伺います。

公明党でも現在不払い養育費問題対策プロジェクトチームを立ち上げ、同問題の解決に向けた緊急提言を政府に申し入れをしております。

養育費について、本来であれば国において、相手に支払い能力の有る無しに関わらず、養育費の取り決めがなされるべきと考えます。
Q6,母子家庭等の貧困防止、さらには、子供の貧困の連鎖をストップさせていくうえでも養育費確保の問題は極めて重要です。
養育費の問題を単なる夫婦間の問題とせず、子どもの未来のために区において養育費確保に向けて積極的に取り組むことを求めます。見解を求めます。

養育費確保が一歩でも二歩でも前進することを求め次の質問に移ります。

【2】キッズゾーンの整備と緊急安全点検について

2019年5月に滋賀県大津市で保育園外の移動中に多くの園児が交通事故で死傷する事故が発生しました。その後もこどもが被害者となる事故が相次いでいるのを受けて、国は2019年6月に「未就学児等および高齢者運転の交通緊急対策」を決定しました。
この施策として、小学校などの通学路に設けられているスクールゾーンに準ずる「キッズゾーン」を創設しました。
キッズゾーンは、保育施設を中心に、原則半径500メートル以内を対象範囲とし、国の通知では、キッズゾーンで行う安全対策の例として、園児が通行する可能性を知らせる路面塗装やガードレールの設置、園外活動を見守る「キッズガード」の配置などを提示。実施に向けて、自治体の保育担当部局などが中心となり、道路管理者や警察と検討するよう要請しております。

それを受けて例えば、群馬県渋川市では保育所や幼稚園など21施設それぞれ半径500m程度をキッズゾーンに設定し、周囲の道路にキッズゾーンの標識看板を先行して設置したほか、交差点の歩道部分には車止めのポールなどを整備しています。

Q1,最初に区の「キッズゾーン」の設定の考え方についてお聞きいたします。

Q2,区としてキッズゾーンの具体的な設置をどのように考えているか教えてください。

大津市の事故を受けて、全国では保育施設等の散歩経路の緊急点検が実施されました。
国では昨年12月に緊急点検結果を公表。それによりますと、幼稚園や保育所を含む全国約62000施設の通園路や散歩道などのうち、安全対策が必要なのは約36000か所に及ぶとのことでした。

Q3、世田谷区でも令和元年8月から11月末にかけて、277施設の自主点検及び合同点検実施し全地域点検を実施したとのことです。具体の点検はどうであったのかお聞きいたします。

Q4、合同点検を受けて対策の必要な点検個所約500件はどのように進めてきたのかお聞きいたします。また今後キッズゾーンの設置を含めてどのように安全対策を進めていくのかお聞きいたします。

【3】ナッジ理論を活用した健康づくり
ナッジとはそもそも英語で「そっと後押しする」の意味。行動経済学では個人の選択の自由を残しつつ、ちょっとした伝え方などの工夫などにより、人々に賢い選択を促す手法と定義しております。
現在、手間や費用を抑えながら高い効果をあげられる手法として、欧米の公共政策で広がっております。
 茨城県つくば市は2019年12月、市庁舎内に「ナッジ勉強会」を設置。新型コロナ対策でも、さまざまアイデアを出しあっているとのことです

これまで私は議会でナッジ理論を活用しての取り組みを提案してきました。
例えば、がん検診の受診率向上のためにオプトアウト方式というものを提案、また犬のふん害対策としてイエローチョーク作戦についても提案させていただきました。

Q1,現在世田谷区で取り組んでいるナッジの施策があればお聞かせください。

千葉市では特定健診の受診勧奨案内を送付する際に、平成29年度から申込書の内容を変更しました。
受診の最初のステップに「どこで受けるか」に焦点を絞り申込書をリニューアルしましたところ、平成28年の受診率36.2%から39.9%に3.7%アップしました。
これはナッジ理論を活用した「明確な行動指示」を示すことの成功例と言われております。
また、立川市の乳がん検診の再受診勧奨では「受診計画カード」というものを作成しました。
このカードの特徴はまず、受診予定日を書き込むようにしております。このようなカードは従来の一般的なカードの3倍の受診率になったとのことです。
これもナッジ理論で行動を起こすにはきっかけが大切という人間の行動原理に着目して作ったカードとのことです。

Q2,歩く歩数に応じてポイントや景品がもらえる取り組みもナッジ理論といわれております。
ウォーキングポイント制度を行っている横浜市などはその例と思います。このような取り組みは現在全国で行われており、区民の健康寿命延伸に繋がる施策として有効な手法と考えます。区としての見解を伺います。