【1】はじめに医療的ケア児への支援について質問します。
医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことで、全国では推計約20,000人、都内でも約2,000人いるといわれています。
医療的ケア児に対する支援法は平成28年に児童福祉法の改正で第一歩がスタート。今年6月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定されました。
この法律は、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資すること、安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的としており、医療的ケア児の日常生活・社会生活を社会全体で支援すること、そのための国・地方公共団体の責務、保育所や学校の設置者等の責務が明確に示されました。
まず医療的ケア児の通学費支援についてです。
都立特別支援学校の医療的ケアについては、これまで都議会公明党の要望を踏まえ、人工呼吸器の管理や胃ろうからの初期食注入など、着実に取り組みが進められてきました。
また、医療的ケア児の通学は、今まではスクールバスの乗車対象外とされ、保護者が送迎しておりましたが、都議会公明党の提案を受け、新たに乗車看護師・車両を確保し、2018年度から専用通学車両の運行が開始されました。
当初8校14コースの運用開始から、今年9月には17校72コースまで拡大してきたことには高く評価いたします。
しかし、医療的ケア児の保護者からは、専用通学車両に乗車できるようになるまでの間、学校への付き添いに必要となる費用への支援について切実な要望が寄せられております。
現在、都では通学が難しく自宅等で教員の訪問により指導を受けている生徒については、スクーリング時に利用した福祉タクシーの交通費を支援しています。
Q1,そこで、この交通費への支援を、学校に通学している医療的ケア児にも広げるべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
次に医療的ケア児の災害対策についてです。
日常生活において人工呼吸器やたん吸引器などを使用されている医療的ケア児の方には、災害による停電で電源が喪失した場合は、医療機器が使用できなくなり、生命に危険が生じる大変重要な問題です。
現在東京都には「在宅人工呼吸器使用者療養支援事業」として区市町村包括補助事業で自家発電装置を都が補助する制度があります。しかし、この発電機を室内で使用した際、一酸化炭素中毒での死亡例もあったと聞いております。また屋外で稼働させる際には音がうるさいとの苦情もあり、風水害時には屋外で稼働させることは困難でもあります。
Q2,そのようなことから、在宅で人工呼吸器を使用している医療的ケア児の災害発生時の電源確保のため、蓄電池も補助の対象とすべきと考えますが、見解を求めます。
【2】次に、食品ロス対策について質問します。
国連食糧農業機関の推計によると、世界全体では、生産された1年間の食料の3分の1に当たる約13億トンもの食料が捨てられています。
食料の生産から消費に至る各段階では、CO2が大量に排出されており、食品ロス問題は、持続可能な社会を目指す上で、喫緊に取り組むべき課題です。
都議会公明党は、かねてより食品ロスを重要なテーマとして取り上げ、コロナ禍における食を取り巻く状況の変化を見据え、着実に食品ロス削減を進めるよう求めてきました。
そうした中、都は2030年の食品ロス半減に向け、多岐にわたる対策を食品ロス削減推進計画として取りまとめ、今年度から計画がスタートしています。
都内においては、年間の食品ロスは51万トンあり、内訳は各家庭から発生する食品ロスが12.5万トン。これに対し事業活動に伴って発生する食品ロスは38.5万トンと約7割を事業系食品ロスが占めています。
事業系食品ロスを削減するために、ICTやAIの活用や食品のロングライフ化など先進技術の活用も有効であると考えます。
Q1,そこで、都は、2030年の食品ロス半減に向け、事業者と連携しながら先進技術の積極的な活用を図っていくべきと考えますが、見解を求めます。
【3】次に食の支援について質問します。
こども食堂やフードパントリー等の食の支援活動は、コロナ禍において困窮する人々のセーフティネットとして極めて重要な取組であると考えます。
地域住民が始めたこども食堂は現在、子どもたちを貧困から守ることと、近隣住民のコミュニティを作る場所として全国に広がっており、東京都では約550の活動団体の登録数があり、コロナ禍での孤立を防ぐ取り組みが行われております。
都は2018年度より、区市町村が行うフードバンクと連携して困窮者へ食料を提供し、必要に応じて、来所者を相談機関へつなぐ地域の支援拠点となるフードパントリー設置事業をスタートさせております。
この事業はフードバンクとこどもや生活困窮者等をつなぎ、食の支援を通した地域での支援ネットワークづくりを推進するうえで有効な事業と考えます。
しかし、この事業は、冷蔵庫や運搬車両など、事業立ち上げ時の初期経費を補助するもので、運営費などは含まれておらず、昨年度まで事業を実施しているのは6区市にとどまっております。実施済、また未実施の区市にヒアリングしてみましたが、初期経費は勿論、運営費も都が支援してほしいとの切実な声をいただきました。
Q1,フードパントリー事業に、コーディネートに係る人件費や諸経費などの運営費も新たにメニューに追加し、さらなる事業拡大につなげるべきと考えます。フードパントリー事業の現在の取り組み状況を明らかにするとともに、今後の展開について都の見解を求めます。
【4】次に、循環器病対策について質問します。
東京都では、今年7月に健康寿命の延伸等を図るために脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法に基づき、東京都循環器病対策推進計画を定めました。
死亡原因における心疾患の割合は癌についで二番目であり、心不全で亡くなる方が多くなっております。
近年、心疾患は毎年約1万人の患者数が増加しており、心不全の患者数や死亡者数が急増することにより、医療費の増大や病床、医療体制の逼迫などが懸念されます。
心不全は、心筋梗塞・心筋症・弁膜症・不整脈などが原因となっております。とりわけ加齢に伴う心臓弁膜症が増加しており、大きな課題となっています。
生活習慣に注意するだけでなく、しっかりとした検査と診断により心臓弁膜症に対する適切な治療を行う体制づくりが重要です。
ある調査では約8割が検査を受けていないとの報告もあり、都民の命を守るために、循環器病についての知識と普及、啓発を図り、確実な検査・診断につなげていく必要があります。
Q1,そこで、東京都循環器病対策推進計画の策定の意義について改めて伺うとともに、循環器病に関する知識の普及啓発を進めるべきと考えます。都知事の見解を求めます。
【5】最後に世田谷区内の豪雨対策について質問します。
近年、気候変動の影響により豪雨災害が激甚化・頻発化しています。
河川氾濫を防ぎ水害から都民の命と暮らしを守るため、都議会公明党は今回の都議選で、東京の未来を拓く政策「チャレンジ8」の中に、豪雨に備えるための地下調節池の設置推進を掲げ、2025年度までに国内最大級の「環状七号線地下広域調節池」の整備をはじめ、都内10カ所に新たな調節池などの防災施設の整備を目指していくことを表明しました。
さて、私の地元である世田谷区では2019年の台風19号で、多摩川の溢水や内水氾濫等甚大な被害が発生しました。その時区議会議員だった私は、浸水被害が発生したと聞き、急いで多摩川の被災現場に駆けつけました。
その状況を見て、風水害対策には今までも取り組んできましたが、更なる水害対策の必要性を痛感いたしました。
それ以前にも、区内では浸水被害が繰り返されております。
2005年度の集中豪雨では世田谷区においても野川沿いなどで多くの住宅が浸水する被害が発生しました。こうした被害を受け、水害に対する安全性を早期に向上させるため調節池を整備してほしいとの要望を以前からいただいております。
Q1,都は目黒川流域及び野川流域を対策強化流域に指定し、新たな目標整備水準に対応した調節池の整備をすすめることとしております。
「未来の東京戦略」においては、2030年までに150万㎥の新たな調節池を事業化するとしておりますが、近年の豪雨の状況を踏まえると、目黒川流域及び野川おいても新たな調節池を早期に事業化していくことが重要と考えます。都の見解を求めます。
また、下水道についてですが、2013年の集中豪雨では、世田谷区内で弦巻地区や深沢地区を中心に甚大な被害が発生。また2018年にも、区内で床上浸水、床下浸水が多数発生しました。
これまでにも、都では世田谷区立小泉公園の地下に雨水を一時的に貯める下水道の貯留施設を整備、また、弦巻地区や深沢地区を時間75ミリ降雨に対応する施設整備を行う重点地区に位置付け整備を進めています。
さらに、2019年東日本台風の浸水被害等を踏まえ、関係局とともに策定した「東京都豪雨対策アクションプラン」において、下水道整備による浸水対策を強化する地区を拡大することを示し、本年3月に策定した経営計画2021において、世田谷区野毛地区などを含む3地区が重点化されております。
Q2,地域住民の不安を払拭するため、新たに追加した3地区の浸水対策を早急に推進していくべきと考えます。都の見解を求めます。
以上で質問を終わります。