(高倉良生君) 都議会公明党を代表して質問します。
昨年来の新型コロナウイルスの感染は、医療従事者、都民、事業者など幅広い皆様の感染防止への多大なるご協力や、世界でも群を抜くワクチン接種の進展により、しっかりと抑えられた状況が続いています。
しかしながら、現在、オミクロン株が世界的に拡大の様相を見せています。今後、感染第六波から都民を守る万全の対策が急務であり、都議会公明党は十一月二十四日、知事宛てに緊急要望を行ったところです。
知事は、これらの要望を反映した補正予算案を提出しました。これまで措置した予算と今回の補正予算で、万一、オミクロン株による感染が急拡大しても、監視体制の強化を含め、どう迅速に対応できるのか、知事の見解を求めます。
新型コロナの恐ろしさは、感染拡大の波を重ねるごとに感染力が増し、医療提供体制を逼迫させてきたことです。とりわけ、災害級の第五波では、都の最大病床確保数は六千三百十九床であり、最大稼働率は七一・二%でしたが、患者、家族、医療現場に計り知れない大きなダメージを与えました。この経験を重要な教訓として、世界的な脅威が迫るオミクロン株も見据えて、感染再拡大期に備えなければなりません。
そこで、都は医療機関と密に連携し、感染拡大状況や患者の病状に応じて、転退院も含め、病床を確実に確保、稼働するよう取り組むべきです。また、医療機関の協力を得て、受入れ可能な病床を一元化するシステムを活用し、効率的に入院調整すべきと考えます。あわせて見解を求めます。
第五波では、宿泊療養者、自宅療養者も過去最多となり、医療機関で受入れ切れない状況の中、残念ながら亡くなられる方も出ました。都は、宿泊、自宅療養者が安心して療養に専念できるよう、寄り添った支援策と体制の強化を一層図るべきです。見解を求めます。
また、軽症者であっても症状が急激に悪化する場合があるため、都議会公明党は、宿泊、自宅療養者の容体変化の察知に有効なパルスオキシメーターの配備を求め、大幅に拡充されてきました。さらに、容体が急変したとき、自分で連絡することができないケースがあることから、身につけるウエアラブル機器で自動的に数値を送信し、異常を知らせるシステムを活用すべきと求めてきました。
これに応え、都は、十月から宿泊療養施設でウエアラブル機器を活用した健康観察を試行していますが、その結果を踏まえ、早期に実用化を図り、宿泊療養者の容体急変に備える体制を構築すべきです。また、自宅療養における活用も図るべきです。見解を求めます。
都議会公明党は、コロナ患者の重症化を防ぐ抗体カクテル療法を積極的に推進するよう求め、都は現在、入院患者はもとより、臨時の医療施設に加え、外来や往診でも投与が始まっています。
今後、感染再拡大時には、高齢者など重症化リスクの高い方など、想定されるあらゆる面で抗体カクテル療法を速やかに投与できる体制を整備すべきと考えます。見解を求めます。
次いで、コロナの飲み薬についてです。
懸念される第六波の脅威を大幅に緩和させるものとして期待されているのが、経口治療薬、飲み薬であり、公明党はその早期実用化を政府に求めてきました。また、開発が先行する海外から十分な量を調達できない事態も想定し、我が党は、国産薬の開発を支援して、国内自給を目指すことも提案しています。
飲み薬の実用化により、患者の治療が自宅で、より簡単にできるようになり、医療従事者の負担も軽減されます。また、アレルギーや持病等で、ワクチンを接種したくてもできない人のためにも急がれる新たな切り札です。
現在、都の宿泊療養施設では、複数の製薬会社が進める治験に協力していると聞いていますが、治験への参加を希望する患者への周知、説明を丁寧に進めるべきです。現在の取組状況について見解を求めます。
三回目のワクチン接種が今月の一日から医療従事者を対象に開始され、接種券も区市町村から住民に順次発送されています。また、国は来年三月から職域接種を行うとしています。
そこで、都は、一、二回目のワクチン接種の際の課題をしっかりと捉えた上で、三回目の接種を着実に進めていくべきです。
そのために、都は、区市町村のワクチン追加接種を後押しするとともに、医療従事者への接種、大規模接種会場の設置、職域接種の推進など円滑な接種体制を構築すべきです。見解を求めます。
次いで、検査体制の強化についてです。
国内では、オミクロン株が発生しており、市中感染を防ぐため、これまで以上に動向等を注視していく必要があります。また、季節性インフルエンザの流行期に伴い、検査件数が増大することが懸念されます。第五波では感染が急拡大し、行政検査が追いつかず、検査処理能力を十分発揮できない状況がありました。
そこで、感染再拡大に備え、今後、検査体制を一層強化すべきです。見解を求めます。
一方、国は、感染拡大防止と経済社会活動との両立を図るため、ワクチン・検査パッケージを活用するとしています。公明党は、健康上の理由や十二歳未満でワクチン接種を受けられない人がいることから、無料で検査ができるようにすべきと国に要請してきました。そして、このほど、都道府県が来年三月まで予約不要で無料検査を行うほか、感染拡大の傾向があるときには、都道府県の判断で感染に不安のある無症状者が無料で検査できるように国が支援するとしています。
そこで、都は、この検査を促進するため、体制確保を急ぎ、具体的にすべきです。また、都民に丁寧に周知すべきです。見解を求めます。
次いで、脱コロナ戦略の一環として、観光業界への支援についてです。
国のGO TO事業については一定の評価があり、早期の再開を望む声があります。
一方、都内の中小旅行事業者は、地元の企業から受注する団体旅行を主な取引内容としていますが、これまでのGO TO事業では、法人が実施主体となる旅行での法人負担分が支援対象から外されてしまい、加えて、社員の福利厚生の旅行までもが対象外とされ、キャンセルや企画の断念が相次ぎました。
しかし、都内中小旅行事業者が抱える地元の関連事業者の裾野は広く、中小事業者が再び利益を上げられるようになれば、幅広い経済効果が期待できます。
そこで、都は、今後支援事業を組む際には、都内中小旅行事業者にも効果が行き渡るよう支援を強化すべきと考えます。見解を求めます。
新規感染者数が急激に減少してきたとはいえ、大きな打撃を受けている事業者や仕事を失った都民にとって、この年末をどう迎え、年を越していくのか、厳しい状況は続いています。都は、事業者や厳しい生活の渦中にある都民に対して、適切な年末年始の支援策を講じていく必要があると考えますが、知事の見解を求めます。
なお、年末年始の補正予算での対応に続き、その先の都民生活の安心、安定の確保をするため、来年度予算でもしっかりと対応していただくよう要望しておきます。
次いで、雇用対策についてです。
新型コロナは都民の雇用にも大きな影響を与えており、とりわけ非正規雇用として働いていた方々の解雇や雇い止めが顕著になっています。また、仕事を継続している方の中にも、これまでの営業時間の短縮やシフト勤務の減少により、生活が厳しい状況に直面している方々もおり、都議会公明党には、こうした方々から相談の声が数多く寄せられています。
一方で、IT業界や介護、医療業界などでは、コロナ禍においても積極的に採用活動を展開しており、こうした業種への再就職支援が有効な対策となります。しかし、求職者にとっては、これまで働いた経験のない業種への再就職は、心理的な抵抗感があることに加え、雇い入れる企業からは、一定のスキルの取得を求められることが多いと思います。
そこで、都は、雇用不安を抱える非正規雇用の方などに対して、新たな業界で働くためのスキルの取得を支援するなど、再就職支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
コロナ禍では、とりわけ飲食、宿泊など、サービス業に従事する非正規雇用の女性の方が深刻な影響を受けています。実際、国の調査によると、女性の非正規雇用者数は全国で五十万人も減少しています。
都は、コロナ禍で厳しい雇用環境にある女性の早期の再就職に向けて、就業支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
次いで、自殺対策についてです。
全国で去年一年間に自殺した人は、前の年より増加し、二万一千人を超えています。自殺対策白書は、新型コロナの感染拡大による労働環境の変化が関連した可能性があると指摘しています。
今春に、公明党が取り組んだ十代から四十代の男女を対象にした都内でのアンケート調査では、これまでの人生で自殺を考えたことがあると回答した人が約四〇%に上り、このうち四人に一人が、過去一年以内で自殺を考えたことがあると回答しています。一方で、自殺者を減らす対策があれば協力したいと答えた人は九割を超えています。
自殺対策支援に取り組むNPOによると、自ら命を絶つ人は、日常の様々な問題をきっかけに別の問題が連鎖し、平均四つの要因を抱えているとのことです。
こうした実態を踏まえ、自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞き、必要な支援につなげ、見守るなど、適切な支援をするゲートキーパーの存在も重要です。
そこで、悩みを抱える相談者が全般的なサポートを受けられるよう、相談窓口と専門機関が連携して対応することが重要と考えますが、見解を求めます。
次いで、子供たちの心をケアする体制についてです。
コロナ禍で、多くの児童生徒が問題を抱え込んでいる可能性が専門家により指摘されています。都議会公明党は、潜在的なリスクを抱える児童生徒を教員が見過ごすことがないよう、支援する必要性を訴えてきました。
これに対し、都教育委員会は今年度、生徒の心情やプライバシーに配慮して、都立高校生が日常生活の中での心身の状況を、デジタル機器に、手軽に、かつ継続的に入力して、学校がその変化を把握できる仕組みの検討に着手するとしています。
そこで、全校への配備に向けた現在の取組状況を明らかにすべきです。都教育委員会の見解を求めます。
次に、公立学校での換気や湿度管理の取組について質問します。
気温も湿度も共に低くなりがちな冬場においては、夏場以上に細やかな気配りが必要であり、そうした調整を自動では行えない機器を使用している場合には、都が明確な方針を示して対策を図る必要があります。
換気や湿度の管理は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、略してビル管法で定められており、湿度管理は、商業施設では三千平方メートル以上、学校では八千平方メートル以上の床面積の建物で必須とされています。法基準以下の学校においても、法の趣旨に沿った積極的な対応が必要と考えます。東京都設備設計事務所協会も、この点で強い警鐘を鳴らしています。
換気や湿度の自動調整機能を備えた機器整備には一定の費用を要するため、都は、中長期的な課題と捉え、計画的に取り組むべきです。
加えて、室内面積に応じて適切に台数を配置する必要もあります。また、二週間に一度程度のフィルター清掃を推奨する専門家の声もあり、都はこうした留意点が確実に励行されるよう支援すべきです。望ましい換気と湿度を各学校で具現化すべく、併せて二点、都教育委員会の見解を求めます。
緊急事態宣言が繰り返される中、フィットネス施設などの利用自粛が長引き、都民が健康増進に汗を流す機会が減っています。都内のあるクリニックの調査で、二年連続で同クリニックを受診した約十五万人を対象に、コロナの前後でのメタボリックシンドロームの変化を比較したところ、一九年から二〇年の増加率は、それまでの約二倍に増えたと報道され、話題となりました。
働き盛りの世代の方々は、コロナ禍でのテレワークなど働き方の変化やフィットネス施設の休業などにより、一層運動の機会が減っています。職場の近くや通勤途中のターミナル駅など、アプローチしやすい場所を活用し、広くスポーツの支援を行うことが重要です。
東京二〇二〇大会が無事に成功し、都民のスポーツに対する機運の高まりをスポーツを通じた健康増進につなげていくべきと考えますが、見解を求めます。
都議会公明党は、コロナ禍で活動の機会を失った芸術文化活動の関係者の切実な声に応え、様々な提案を行い、実現させてきました。
今後は、感染拡大防止対策を継続しながら、上演の機会や観客数などの点で、一日も早く従前の活況を取り戻すことが、都内の芸術文化活動を支える人材の裾野を維持し、次代の担い手の育成を図る上で大事な課題です。ネームバリューが高く、話題性に富んだ企画であれば、感染状況さえ落ち着けば自然と多くの観客動員を期待できます。
一方、あまり知られていない分野や出演者による企画などでは、すぐには観客動員の回復を期待できないと思われます。
そこで、取組の内容を観客に歩み寄って分かりやすく展開しようとする企画や、担い手の拡大やリピーターの育成に向け工夫を凝らす企画に対しては、手厚い支援策を講じ、芸術文化活動への参画体験や鑑賞の機会の促進などの取組を進めることが重要であると考えますが、見解を求めます。
公明党は、二十一世紀の我が国のあるべき姿として、文化芸術立国・日本をめざしてと題する政策提言を二〇〇一年に行い、基本法の策定をリードし、文化芸術振興に全力で取り組んでまいりました。
都においても、二〇一五年に東京文化ビジョンを策定し、東京二〇二〇大会に向けた文化プログラムの取組を進めてきました。さきの第三回定例会では、文化プログラムの成果とコロナ禍で得た経験を基に、新たな文化戦略を策定すると表明があったところです。
文化は、人間を豊かにし、生きる力を与えてくれる。芸術は、人々の魂を鼓舞する。心を豊かにし、前進への力をみなぎらせることは間違いありません。
新たな文化戦略の策定に当たり、都議会公明党は、人間を豊かにし、魂を鼓舞する、文化芸術立都東京を実現する戦略としていくべきと考えます。知事の見解を求めます。
今後策定される文化戦略は、都の文化政策の方向性を示す重要な取組であり、明確なメッセージを発信する観点から、以下、提案します。
一点目は、新進芸術家、芸術団体への支援の拡充です。
都では、本年度よりスタートアップ助成を新設し、新たな芸術活動へのチャレンジを支援していますが、さらに多くの新進芸術家を応援するために、支援を拡充するとともに、稽古や制作、発表等の場を確保し、提供していく支援が必要です。見解を求めます。
二点目は、情報発信の充実です。
コロナ禍では、文化芸術に携わる方々にどのような支援策があるのか、必要な情報にたどり着けなかったとの声も聞いています。助成制度等の支援情報やアーティストが必要とする情報を分かりやすく手軽に入手できるようにするために、ポータルサイトを設置するなど、一元的な窓口を整備していくべきと考えます。見解を求めます。
次に、政策目標として掲げているチャレンジエイトから三つのテーマについて質問します。
まず、高校生までの医療費無償化です。
都議会公明党は、さきの都議選で三つの無償化を高く掲げ、さきの第三回定例会でも、都に見解を求めたところです。厚労省の調査によると、全国全ての区市町村が子供医療費助成を実施し、通院費については、半数の自治体が中学三年生まで、四割が高校三年生まで助成しています。
国は、独自助成している区市町村に対し補助金を減額してきましたが、二〇一八年度から未就学児分のペナルティーが廃止され、その財源確保を追い風として、通院費助成を高校三年生までとする区市町村は、昨年四月時点で廃止前より二百五十九増加しています。
助成対象を高校三年生まで広げつつある全国自治体の動きも踏まえ、都は、都内の各自治体とも必要な協議を行いながら、高校三年生までの医療費無償化を早期に実現し、全国をさらに牽引すべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、重粒子線治療施設の導入についてです。
先月、都議会公明党は、最新の設備が導入されている山形大学医学部東日本重粒子センターを視察しました。同施設は、超電導技術を用いた回転ガントリーにより、様々な角度からの照射が可能な回転ガントリー室と固定照射室があり、標的とする腫瘍の形状に合わせて塗り潰すようにビームを照射する最先端技術を結集して作られたものです。また、施設の建築面積は約二千平方メートルであり、一九九四年に日本で最初に作られた施設の約四分の一に縮小されています。
前立腺がんの患者の場合、入室から退室まで十二分程度、一日当たり二十七回照射し、年間六百人の治療が可能との説明がありました。二人に一人ががんになる時代に、患者の負担を極力減らし、仕事をしながら、がん治療できるようにしていくことが重要です。
都は、第三回定例会での我が党の代表質問に対し、施設を導入した他府県の状況等を調査し検討と答弁しましたが、現在の調査検討状況と併せて採算性の検証等の調査費を計上するなど、最新のがん対策について検討すべきです。知事の見解を求めます。
次に、動物保護についてです。
都の動物愛護相談センター本所の新設に当たって、都議会公明党は、本来の動物保護つきの施設にすべきと訴えています。
保護される動物は、病気やけがをしているケースもあります。都議会公明党は、都内の獣医系大学と意見交換してきましたが、動物保護を進めるため、動物収容施設から生まれた獣医療、シェルターメディスンの重要性も確認してきました。適切に対処するには、医療を十分提供できる体制構築が不可欠です。
センターの新設について、知事の見解を求めます。
知事は、先日の所信表明で、全国各地で発生した震災を教訓に、被害想定の見直しに向けた検討に着手し、二〇二二年春を目途に取りまとめ、その成果を地域防災計画にも反映することを表明しました。これは、東日本大震災の教訓を踏まえ、十年前に公表した被害想定を見直すとのことであり、現在、有識者で構成される地震部会において、想定する地震の震源や規模などについて検討を開始していると聞いています。
今後取りまとめる被害想定は、都民の自助、共助の推進や、都の防災対策の見直しに有効に活用される必要があります。
このため、被害想定の結果を都民に分かりやすく発信するとともに、被害想定後に実施する地域防災計画の修正に当たっては、女性、高齢者、障害者の視点など多様な視点を反映させ、区市町村とも一体となって、安全・安心な東京の実現を目指すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
次いで、耐震化の促進についてです。
都はこれまで、大地震発生時の救助、復興活動の円滑化を図るべく、特に重要な路線を特定緊急輸送道路として指定し、耐震診断の義務づけなどを実施して、倒壊による道路閉塞を未然に防ぐ沿道建築物の耐震化に取り組んできました。
一方、特定以外の一般の緊急輸送道路は、警察署、消防署、備蓄倉庫など地域の防災拠点と特定緊急輸送道路との間を結ぶ路線であり、災害時には重要な役割が期待されています。
都内各地で地域ごとの防災力をより高めていくためには、一般緊急輸送道路についても、建物倒壊による道路閉塞のおそれを可能な限り取り除いておく必要があります。そのためには、特定緊急輸送道路の取組で効果を上げている区市町村との連携を一般緊急輸送道路の取組でも推進することが効果的です。
都は今後、区市町村の取組への支援を強化し、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を加速させていくべきと考えますが、見解を求めます。
公明党はこれまで、党を挙げてドクターヘリの全国配備を推進し、東京都への導入について提案を重ね続けてきました。都議会公明党の第一回定例会の代表質問に、知事は、令和三年度内のできる限り早い時期に運用が開始できるよう、具体的な取組を進めていくと答弁されました。
全国型ドクターヘリの導入に向けた進捗状況と開始時期、そして、今後の取組について、知事の見解を求めます。
次に、高校生一人一台端末の導入についてです。
新型コロナが教育環境にも影響を及ぼす中、都議会公明党は、次代を切り開く子供たちがひとしくデジタル機器を使いこなし、存分に学べる環境を整備するよう、一貫して求めてきました。また、その際には、保護者の経済的負担にならないよう十分な配慮を求めてきました。
こうした要請に応え、知事は、先日の所信表明において、高校段階の一人一台端末に係る保護者負担額を三万円とし、さらに、多子世帯にも支援すると表明されました。
そこで、改めて、一人一台端末導入の意義とその内容を明確にするとともに、低所得世帯への支援策も講じるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
次に、予防のための子供の死亡登録検証制度、いわゆるCDR、チャイルドデスレビューについて質問します。
二〇一八年に成育基本法、二〇一九年には死因究明等推進基本法が可決され、CDRの実施が明記されました。CDRは、予防できる死から子供を守り、安全で安心な社会を構築するため、十八歳以下の子供の全死亡例を対象に詳細な死因究明をし、その結果をデータベースに登録します。このデータベースを基に、死に至った環境要因や社会背景、精神心理的要因などを検証し、個別の死因究明から共通の危険因子や予防可能要因の抽出を進め、予防できる死から子供を守る社会を構築していくものです。
実施に当たっては、多職種の専門家や市区町村との連携が大変に重要であり、都として、実施体制の整備に向けた検討に着手すべきです。都の見解を求めます。
国は今年度、障害福祉サービス報酬改定を行い、医療的ケア児など、より手厚い支援を必要とする子供に応じてきめ細かく加算をしました。これにより、放課後デイサービスの事業所では、医療的ケア児への支援が強化されるなどの効果が期待できます。
しかし一方で、長年にわたって障害児への支援を行い、地域や関係者から信頼を受けてきた事業所も含め、多くの事業所が経験を積んだ人材を確保するための加算が除外されたことなどが運営上の課題となっています。
都は、状況を把握するため実態調査を行いましたが、その結果から、こうした課題に加え、サービスの質の向上の必要性も浮き彫りとなりました。
そこで、コア人材の確保や第三者評価の審査、職員の知識、技術の向上を図るとともに、子供や保護者の満足感、安心感を高める事業運営を行うなどの質の向上に取り組む事業所に対して、都独自の支援策を講じるべきです。見解を求めます。
公明党には、たんの吸引や人工呼吸器の管理などが日常的に必要な医療的ケア児を育てる家族から、どこに相談していいか分からないとの切実な声が寄せられています。こうした課題に対し、公明党が強力に推進した医療的ケア児支援法が本年九月に施行され、家族の相談に総合的にワンストップで対応する医療的ケア児支援センターが各都道府県に設置できることになりました。
このセンターが設置されれば、家族の精神的な支えになることはもとより、医療的ケア児を医療、福祉、教育、保育などと連携したネットワークの中で共に支えていくことができるようになります。
そこでまず、東京都医療的ケア児支援センターの設置へ向けて、行政と支援者である事業所や相談支援専門員、さらには当事者家族を交え、実効性を生み出す議論を開始し、深めるべきです。また、医療的ケア児とご家族の相談に丁寧に対応するために、東西に広く人口が集中する大都市東京の特性を踏まえ、区部、多摩地域のそれぞれにセンターを設置すべきです。加えて、支援に当たる人材の確保、育成と関係機関とのネットワークの構築にも早急に着手していくべきです。併せて見解を求めます。
都立特別支援学校における医療的ケアの根幹を支えているのは学校看護師ですが、コロナ禍の人手不足もあり、十分確保できていません。こうした状況を改善するため、例えば介護の現場では、研修を受けたヘルパー等が医療的ケアを実施することもあると聞きます。
そこで、特別支援学校においても、看護師確保に一層取り組むとともに、看護師以外にも視野を広げ、人材確保に取り組むべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。
次に、都営住宅について質問します。
都営住宅に入居を希望しても、また幾度となく申込みをしても、なかなか入れないといった都民の皆様が多くいる一方で、多摩地域では、近隣の方々から、空き室がとても目立つといった声も大変数多く寄せられています。
こうした声を踏まえて、都営住宅の入居状況を調べてみると、現在、多摩地域では、常時空き室が二割という団地が増えています。多摩地域では、都営住宅を定期募集しても、入居希望のない住宅が数多く存在し、こうした状況を改善するために、都は、年四回の定期募集で応募がなかった住戸を対象に毎月募集を開始し、それでも応募のなかった住戸では随時募集を実施するなど、入居希望者の方は抽せんをすることなく入居できる状況になっています。
しかし、それでも、二DKを中心に空き室が続く原因として、二種類の二DKのうち、大きい方の住戸に入居できる対象世帯は三人世帯に限定されているという面も否めません。十年前に設けられた型別供給基準が、都民の住宅ニーズから大きくかけ離れていることが、その要因となっています。
都営住宅に入居を希望される方々に適宜適切に対応するために、多摩地域では、現在の入居基準の一つである型別供給基準を抜本的に見直すなど、早急に対応すべきです。答弁を求めます。
なお、第一回定例会の我が党の質問に対し、都は、都営住宅のオンライン申請を実施すると答弁しています。具体的な運用開始時期と、オンラインによる応募の利便性向上及び都民の円滑な利用に向けた取組について答弁を求めます。
次に、本格的なカーボンマイナス、ゼロエミッションの達成に向けた既存住宅での取組についてです。
都内全体の消費電力の削減を図るため、夏や冬の外気による室内温度への影響を抑える断熱改修の促進に期待が寄せられているところです。それには、リフォームなどの機会を捉えて断熱改修を促す誘導策が必要です。
ゼロエミッションの達成という高い目標を実現するためには強力な推進策が必要であり、既存住宅を対象に省エネ改修を支援できる新しい仕組みを構築すべきと考えますが、見解を求めます。
また、新築住宅について、都は令和元年度から、省エネ性能の高い住宅に対し、建築費用の一定額を助成していますが、温暖化対策に対する環境意識も相まって、予算の二倍近い申請があり、抽せんとなっています。都議会公明党は、より多くの都民の要望に応えられるよう、取組の継続とさらなる断熱、省エネ性能の向上につながる施策を構築すべきと考えます。
そこで、ゼロエミ住宅のさらなる普及拡大のため、都は今後、来年度に向けた取組も含め、迅速に対応すべきですが、見解を求めます。
次に、慢性的な人材不足に直面する建設、土木の業界での働き方改革についてです。
二〇二四年に労働基準法の改正法が施行され、努力義務であった時間外労働の上限規制にいよいよ罰則が適用されます。法改正を踏まえ、長時間労働の是正を進め、働き手不足の解消につなげねばなりません。
まず、建設、土木の業界で週休二日制を促進するためには、経営者による努力に合わせ、週休二日制を実施しても、日給月給で働く現場作業者の月ごとの賃金が減らないように、発注者側として取り組む必要があります。
これについて国は、労務単価を一・〇五に割増しすることによって対応するとしています。しかし、これは、週休二日制が実施されている工事全体での労務単価を調査した結果にすぎません。本来であれば、週休二日制に移行しても、日給月給の月単位の賃金に目減りが生じていない事例を抽出し、その場合での労務単価を調査すべきです。
受注者側の団体としては、一・〇五の割増しでは、作業員の月額賃金の現行水準の維持は困難であり、週五日労働でも六日労働と同じ賃金になる五分の六、すなわち一・二倍の労務単価への見直しを強く希望しています。
都は、国と連携しつつも、国任せとはせずに、働き方改革につながるような労務単価の割増しの目安を導き出すべきです。見解を求めます。
さらに、我が党は、建設、土木業界の働き手不足の改善に向け、長時間労働の要因になっている書類の削減を、判こレスやデジタル化の推進と併せて強く求めてまいりました。工事の終了確認の検査の際に、当初予定されていなかった書類の提出を求められる事例が依然続いているとの苦情も多く、こうした事態は完全に払拭すべきです。
特に、工事後に大量の現場写真の提出を求められることがありますが、警備や監視の委託業務の際にカメラを導入したことによって、大幅な人的省力化が図られたとの実例もあります。こうした工夫を公共工事での書類の削減にも生かしていくべきです。
工事関係書類の削減、簡素化に関するこれまでの取組の成果と、さらなる改善の見込みについて見解を求めます。
時間外労働の上限規制への対応で、特に課題に直面しているのが、道路の路面補修や上下水道などの路上工事です。これらの工事では、現場に器具や資材などを置き続ける常設作業帯が設置できません。工事現場と資材置場との間の往復時間も当然労働時間となります。
しかし、これまでは、工期に間に合わせるため、必要な場合には、時間外労働の時間数にかかわらず、超過勤務手当を支払うことで対応が図られてきました。しかし、二〇二四年以降は、正当な賃金の支払いの有無にかかわらず、規制違反には罰則が適用され、禁錮刑の可能性もあります。
一方で、公共工事に関わる都内企業の多くは、地価の高さから、やむなく資材置場を近隣県に移しているのが実情です。これからの公共工事においては、この現実を踏まえて、日々の実作業時間や労務単価、工期設定を図る必要があり、具体的には、往復に要する時間が受注者ごとに異なるため、工事案件ごと、契約変更によっての対応となります。こうした契約変更を毎回ゼロベースから行うことは大変非効率的であり、取扱いの安定性を損なうことにもつながりかねません。
都は、二〇二四年の改正労基法の施行前に、国の方針を踏まえ、契約変更の透明性、公正性、効率性を担保するルールを自ら確立するなどして、公共工事の適正な履行を阻害する要因を除去して混乱の未然防止を図るとともに、建設、土木の業界での働き方改革に水を差さないよう、最大限の注力を図るべきです。見解を求めます。
国民健康保険制度は、平成三十年度、区市町村が個別に運営する形から、財政運営の責任主体が都道府県に移行し、都が国保財政の入りと出を管理しています。十一月二十九日に開かれた国保の運営協議会において、仮係数に基づく令和四年度の激変緩和措置後の納付金総額の算定結果が示されました。この結果、一人当たり保険料算定額は十七万二千百五十五円となり、令和三年度に比べて九・四%という大幅な伸び率になっています。
最終的には年明けの一月、国からの確定係数提示後、納付金総額及び標準保険料率が決定され、区市町村へ提示されますが、都として、都民の保険料負担を軽減するための対策を早急に検討すべきと考えます。見解を求めます。
次に、我が党が繰り返し訴えてきた同性パートナーシップ制度の創設についてです。
本年第二回定例会で、我が党議員が紹介議員になった制度創設を求める請願が全会一致で採択され、さらに、都は、性的マイノリティー当事者の方々を含めた意向調査を実施し、回答者の多くが導入に賛成と聞いています。また、有識者からの意見についても十分反映させる必要があると考えます。
都議会公明党は本年第三回定例会でも主張しましたが、当事者や有識者から寄せられた意見を踏まえて検討を加速し、来年度から制度をスタートさせるべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、スポーツを通じた被災地支援についてです。
三か月前に、多くの感動と感謝の中、閉幕した東京二〇二〇大会は、くしくも東日本大震災から十年の節目の開催となりました。復興オリンピック・パラリンピックとして、被災地での競技開催や福島県からの聖火リレースタートなど、改めて被災地に思いを寄せるとともに、手を差し伸べてくださった世界中の方々に感謝の気持ちを伝える機会になったと思います。
これまで都議会公明党は、東日本大震災の発災直後から支援策を探るべく、現地を訪れ、現場で寄せられた声を都政に届けてきました。その中で、スポーツを通じた被災地支援の重要性を指摘し、都は、被災地の方々、特に子供たちの交流を行うなど、スポーツを通じて被災地との絆を深めてきたところです。
震災から十年という節目を迎え、これまでの事業成果を踏まえ、改めて被災地に寄り添いながら、今後もスポーツを通じた被災地支援事業を推進すべきと考えますが、都の見解を求めます。
最後に、都議会公明党の提案を受けて、東日本大震災直後の二〇一一年度から開始された被災地応援ツアーについて質問します。
本事業はこれまで多くの方々に利用され、被災地の復興を後押ししてきました。被災地は復興の途上であります。福島県では、コロナ禍前の令和元年度でも、旅行者数が震災前の水準に達していない地域もありました。これに加え、昨年度は、新型コロナの影響を受け、前年度に比べて旅行者数が約四割減となるなど、復興に向けてはさらなる試練が続いています。
そこで、今年度の被災地応援ツアーの状況とともに、福島県の経済と住民生活の回復に寄与するという役割を果たしていくためにも、感染状況などを踏まえながら、令和四年度も事業を実施すべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。(拍手)