令和4年度公営企業会計決算特別委員会(港湾局)で質問

公営企業会計決算特別委員会(港湾局)に出席しました。
質問概要を下記に掲載いたします。

【臨海地域開発事業会計について】

まず、決算の状況について伺う。
臨海地域開発事業会計では、東京港の港湾区域とその周辺において、埋立地の造成や都市基盤の整備等を行っており、いわば、まちづくりの基礎となる事業を担っていると認識しています。臨海部を魅力あるまちとしていくためには、事業を着実に進めていくことが重要と考えます。
まちの基盤整備等の決算状況を示す埋立事業費を見ると、約126億円の予算に対して約72億円の決算額となっています。翌年度繰越額を除くと、不用額が約53億円、執行率は57.3%にとどまっております。そこで、 
Q1 埋立事業費について不用額が発生した理由を伺う。

A1
・埋立事業費において、不用額が生じた理由であるが、
・主な内容としては、区画整理事業等、他の実施主体が行う工事等に対し負担する費用、約11億円が不用。これは、実施主体との調整により、工期の変更などが行われ、昨年度の支払い額が当初予定した額の一部にとどまったことによるもの。
・また、地中障害物撤去に伴う補償費について、約8億円が不用。これは、都が売却した埋立地において、土地所有者が建設工事を実施する際に、工事の障害となる地下埋設物が見つかった場合の撤去費用等を補償するものであるが、工期の変更などにより土地所有者からの請求が今年度に変更されたもの。
・加えて、契約に係る落札差金として約7億円が生じたほか、地元との調整に時間を要したため工期の見直しを行ったことなどにより、不用が発生。
・昨年度の不用額は、主として、既に事業に着手しているものの、工期の見直しなどにより、今年度の支出に変更となったものであり、全体の事業進捗に大きな影響を与えるものではない。引き続き、臨海地域開発事業の着実な実施に努めていく。

ただいまの答弁で、様々な要因により、不用額が生じたものの、事業は着実に実施されている、ということが確認できた。まちづくりは、多くの関係者との調整、合意が必要であるなど困難も伴うが、今後も引き続き着実に事業が実施されることを要望しておく。 

【海上公園の整備について】

海上公園の整備について伺う。
今年の夏は、記録的な暑さが続き、気象庁によると都心では、明治8年に記録を取り始めてから、最高気温が35度を超える猛暑日が最も多い夏になったとの報道がありました。
こうした酷暑では、海上公園はこれまで以上に、自然や涼しさを感じられる海辺の貴重な空間となり、都民が海と触れ合いながら、憩い、安らげる、大切な場となります。また、海上公園は、海上レクリエーションを楽しめる場としても親しまれており、今後も積極的な整備を進めていくべきと考えます。
昨年度、晴海地区においては、選手村跡地に晴海ふ頭公園が再開園したほか、新たに晴海緑道公園もオープン。また、有明地区においても、昨年8月、有明アリーナの開業にあわせて、有明親水海浜公園の一部が開園した。有明親水海浜公園については、引き続き、整備を進めていると聞いています。
Q1 まず、有明親水海浜公園の令和4年度の整備内容について伺う。

A1
・有明親水海浜公園は、東京2020大会のレガシーを継承する公園として、令和3年度に公園面積を拡張し、その区域は水域と合わせ約39.6haに及ぶ公園。
・令和4年度は、東雲運河沿いに親水性の高い園路の整備を進め、昨年8月の有明アリーナの開業に合わせて、その周辺約1.9haを開園。
・また、開園区域に続く東雲運河沿いの園路等の施設整備を進めるとともに、有明アリーナとゆりかもめの「有明テニスの森駅」の間に広がる陸域約3haを記念広場エリアと位置づけ、設計等を実施。
・今後、この記念広場や親水デッキ等の整備を進め、整備が完了したエリアから段階的に開園。

東京2020大会のレガシーとして「オリンピック・パラリンピックパーク」と位置づけられたのは、武蔵野の森エリアとこの有明北地区の2か所だけであり、大会レガシーが認識できる施設整備を進めて欲しいと思いますが、先程の答弁では、ゆりかもめの駅と有明アリーナの間に広がる空間を記念広場としていくとのことであった。記念広場というからには、東京2020大会の競技会場が集積していたエリアであることを具体的に伝えていく工夫が必要だと考えます。そこで、

Q2 有明親水海浜公園の記念広場について、大会レガシーを伝えるため、どのような工夫を行うのか伺う。

A2
・ 有明親水海浜公園の中央に位置する記念広場は、有明アリーナや整備が進むアーバンスポーツパークを来訪する人たちが気軽に立ち寄り憩える場になるとともに、地域の核として、様々な交流イベントや軽スポーツ等の場となり、多くの方で賑わうスペースとなることを想定。
・ そのため、訪れた方に大会レガシーをわかりやすく伝えらるよう、東西の入り口に、オリンピックとパラリンピックのシンボルモニュメントを設置。
・ このほか、インクルーシブ遊具をはじめとする様々な遊具や芝生広場などを整備し、多様な人々が集い憩える空間の形成に努めていく。

記念広場にふさわしいオリンピックとパラリンピックのシンボルモニュメントになることを期待いたします。
さて、海上公園は、陸域のみならず、隣接する水域の保全・活用も行うことが大きな特徴です。特に、前面に水域が広がる有明親水海浜公園は、水域の積極的な活用が大いに期待されるところである。
海上公園施設の整備に当たっては、近年、民間活力の導入を進め、大きな賑わいを創出しているとのことですが、有明親水海浜公園においても官民連携事業を導入していくと聞いている。そこで、

Q3 有明親水海浜公園における官民連携事業の具体的内容と今後の予定を伺う。

A3
・ 都は海上公園の魅力向上と新たな賑わい創出に向け、官民連携事業の導入を進めており、その第1弾として、昨年10月、晴海ふ頭公園にコワーキングスペースを併設したカフェを設置し、多くの方から好評。
・ この実績を踏まえ、有明親水海浜公園においても、大きな特徴である前面の静謐な水域の魅力を最大限に引き出すことなどを目指し、官民連携事業を導入。
・ 導入にあたっては、賑わいの拠点となるカフェ等の設置に加え、前面の水域を活用したマリンスポーツの提案が必須要件。
・ 本年7月に事業者の公募を開始したところであり、今後、提案内容等について外部識者による審査を行い、年度内には事業者を決定。

有明親水海浜公園が、マリンスポーツの拠点となるなど、「親水公園」という名に相応しい魅力ある公園となるとともに、臨海部に広がる水と緑のネットワークの一大拠点となるよう、今後も創意工夫を続けて欲しい。

【臨海副都心の魅力向上について】

臨海副都心は、東京2020大会のレガシーや集積した先端技術拠点など、多岐に渡る魅力的なまちづくりの資源を有しており、快適でにぎわい豊かなまちとなる十分なポテンシャルがあるエリアであります。
この臨海副都心に更なる賑わいをもたらし、エリアの魅力を一層向上させるためには、訪れる人々に楽しんでいただける取組を継続的に行うことも有効な取組の一つであると考えます。
都では、この臨海副都心において、アートによるまちづくりを進めていると聞いています。そこで、まず、

Q1 アートによるまちづくりに取り組む意義とこれまでの経緯について、伺う。

A1
・ 都は、臨海副都心において、アートにより新たなまちの魅力を創出し、来訪者の満足度や臨海副都心のブランド力を向上させることを目的として、令和元年度からアートプロジェクトに取り組んでいる。
・ 令和三年度までは、シンボルプロムナード公園内に期間を限定して設置したARTBAY HOUSEを拠点として、ハウスの白い壁に投影するプロジェクションアートなど、多彩で魅力的なアートを発信。
・ 昨年度は、臨海副都心全体を対象とする、より広がりがある取組とするため、9月にアートフェスティバル、12月にアートイルミネーションを実施。

アートの取組の目的は、臨海副都心の新たな魅力を作り出し、地域のブランド力を引き上げることにあるとのことである。私の地元の世田谷区でも、休日などにおいて、アーティスト等が路上で様々なパフォーマンスを行うイベントが開催され、多くの人々で賑わっている。都が臨海副都心で行っているアートによるまちづくりは、賑わいの創出という点では非常に有効であると考える。
昨年度は、秋にまち全体でアートフェスティバルを開催し、冬期にもアートイルミネーションを展開したと聞いておりますが、

Q2 昨年度のアートプロジェクトの具体的な取組状況について、伺う。

A2
・都は、昨年の9月16日から25日にかけてアートフェスティバルを開催し、民間事業者等の協力も得ながら、エリア内の多くの箇所で、アート展示や、体験プログラム等を実施。
・具体的には、有名海外アーティストによる巨大迷路をモチーフとした展示物をはじめ、スマートフォンをかざすと空中にオブジェが浮かぶARアート、子供たちと一緒に紙芝居を作るワークショップ等、年齢を問わず多くの方々に楽しんでいただける様々な作品やプログラムを展開し、約5万人の方々が来場。
・また、12月1日から25日にかけて、臨海副都心の進出事業者が例年行っているイルミネーション等と連携し、アートイルミネーションを実施。具体的には、シンボルプロムナード公園内の3か所の広場にミラーボールやステンドグラス等を用いた大型のイルミネーションを展開し、ファミリーや近隣のオフィスワーカーなど約3万5千人の幅広い年齢層の方々にご覧いただいた。

アートフェスティバルについては、今年も9月に、昨年に引き続き、臨海副都心エリア全体で開催し、盛況を博したと聞いている。
また、昨年12月のアートイルミネーションは商業施設等のイルミネーションと相まって、エリア全体を盛り上げるコンテンツであったことが確認できた。
フェスティバルとイルミネーションというアートプロジェクトの取組は、多くの来場者を呼び込み、賑わいの創出に大きな効果があったものと考えます。
今後もアートによるまちづくりの継続的な実施や、様々なイベントの開催など、臨海副都心の魅力向上に引き続き取り組まれることを要望して最後の質問に移ります。

【南海橋の耐震化事業について】

今年は関東大震災から100年という節目の年であります。また、首都直下地震は、いつ起こってもおかしくないと言われており、都としてその被害を最小限に抑える取組の重要性が増していることから、震災対策について伺います。
東京の臨海部には埋立地の間を結ぶ多くの橋梁が存在します。これらの橋梁は、地域の方々の生活はもとより、首都圏四千万人の生活と産業を支える重要なインフラであるとともに、震災時の緊急物資の円滑な輸送等を確保する役割も担っています。
他方、現在の橋梁の多くは高度経済成長期までに集中的に整備され、長い年月が経っていることから、被災によって機能不全とならないよう十分な対策が必要と認識いたします。

Q1 そこで、橋梁の耐震化について、令和4年度の主な実施内容を伺う。

A1
・臨海地域において、震災時に被災者や緊急物資の円滑な輸送を確保するためには、埋立地と埋立地を結ぶ橋梁の耐震強化の取組が重要。
・このため、都は、健全度調査等に基づき、橋脚部分の補強や橋の落下を防止する装置の設置など、耐震化を順次推進。
・令和4年度の主な実施内容としては、南海橋や新曙橋など4橋で取り組んでいる。

 大規模震災に備え、臨海地域での橋梁の耐震化を進めていることがわかりました。橋梁の耐震化にあたっては、通常、橋脚の補強などにより、既存の橋の強度を高める手法が取られることが多いと聞いておりますが、大田区の平和島と昭和島を結ぶ南海橋については、そうした耐震補強では対応できなかったと聞いています。
 
Q2 そこで、南海橋の耐震化の具体的な内容について伺う。

A2
・南海橋は、大田区の平和島と昭和島を結ぶ延長約180メートルの橋梁であり、周辺には物流施設等が多数隣接していることから、京浜地区等の道路ネットワークを支える重要な橋梁。
・一方で、昭和41年の架橋から50年以上が経過し、老朽化が進んでいたことから、橋梁の健全度調査等を踏まえ、既設橋梁を補強するか、架け替えるかについて、維持管理等を含めた全体経費を総合的に比較したうえで、架け替えに決定。

南海橋の耐震化の工法については、総合的な比較検討に基づき、架け替えを選択することとしたとの答弁でありましたが、架け替え工事は、周辺交通への影響を最小限に抑えるため、仮橋(かりばし)の設置や施工段階に応じて通行車両等を迂回させる、いわゆる交通切り替えが必要となり、完成までの工期が長くなると考えられます。
しかしながら、首都直下型地震の恐れが高まる中にあっては、創意工夫を図って、着実かつ早期に工事を進める必要があります。

Q3 そこで、南海橋の工事の取組状況について伺う。

A3
・南海橋の架け替え工事については、平成28年度から仮橋の設置に着手しており、交通切り替えを行った後、令和4年度には、新しい橋梁と取付道路を完成させ、速やかに交通開放を図った。
・施工に当たっては、首都高速道路等に隣接するなど限られた区域での施工となるため、レーザーによる3D計測データをもとに、施工状況を立体的に再現し、緻密で高度な施工計画を導入するなど、安全かつ着実な施工を図った。
・今後は、仮橋の撤去や周辺道路の整備など、残された工事を着実に進め、臨海部の交通ネットワークのさらなる安全性を確保。

南海橋本体の耐震化については、様々な制約がある中、工夫して施工を進めることで橋梁本体の耐震化が完了していることが確認できた。
震災時の交通ネットワークの確保は多くの人々の命と暮らしを守る根幹に関わる問題であり、臨海地域における橋梁の耐震化は非常に重要な事業である。
引き続き、安全・安心なまち東京の実現に向けて、着実に事業を進めていただきたいことを求めて質問を終わります。