今日は総務委員会が開催され出席しました。
選挙管理委員会事務局・監査事務局・デジタルサービス局の事務事業についての質疑が行われ、私からはデジタルサービス局関係で
①サイバーセキュリティ対策
②デジタルデバイド対策
③こども向けデジタル体験向上プロジェクト
④デジタル共通基盤(TTP)
について約25分の質疑を行いました。
質問概要と答弁
➊(サイバーセキュリティ対策について)
サイバーセキュリティ対策について伺う。
サイバー攻撃は、デジタル技術の進化を逆手に取って高度化、巧妙化しており、日々、新たな脅威が発生している。
生成AIを悪用し不正プログラムを製造した事案や、ランサムウエア攻撃による被害事案等が日々報道されており、サイバーセキュリティ対策が重要であることを実感している。
Q1
まず、都のサイバーセキュリティ対策の取組について、伺う。
A1(情報セキュリティ担当部長)
○ 都ではサイバー攻撃に備えるため、システム所管部署やシステムを利用する職員が遵守すべき基準である東京都サイバーセキュリティポリシーを策定し、全庁的なセキュリティ対策の推進に取組
〇 全庁のセキュリティ対策を継続的に改善するため、デジタルサービス局にセキュリティ対策を統括する東京都CSIRTを設置し、サイバー攻撃の実情を踏まえセキュリティポリシーを定期的に見直すとともに、各局システムの技術的対策の支援、職員の研修、教育などを各局と連携しながら実施
○ サイバー攻撃は日々進化していることから、GovTech東京のセキュリティエンジニアと連携し、最新の脅威情報や技術動向を踏まえた対策の強化に取組
デジタルサービス局が、サイバーセキュリティポリシーに基づき、全庁の対策の強化に努めていることが分かった。
サイバーセキュリティ対策は高い専門性が求められることから、GovTech東京のエンジニアとの連携は重要となる。
Q2
都はGovTech東京のエンジニアと具体的にどのように連携し、セキュリティ対策に取り組んでいるのか、伺う。
A2(情報セキュリティ担当部長)
〇 セキュリティインシデントが発生した際には、GovTech東京のエンジニアと速やかに事案を共有し、システムのログ等の解析により原因を特定するとともに、事象に応じて即時に実施すべき対策を指示することで、被害の拡大防止
〇 また、再発防止に向け、システム所管部署が実施すべきシステムの設定変更や、運用ルールの見直し等について、エンジニアが専門的な立場から技術的支援を実施
〇 さらに、海外の先進的な技術や、サイバー攻撃の最新の動向等を収集分析するともに、都庁全体のセキュリティ対策を俯瞰的に点検し、必要な対策も提案している。全庁のセキュリティ対策の高度化に向け、GovTech東京と協働
サイバー脅威は高まっており、引き続きGovTech東京のエンジニアとしっかり連携して対応してほしい。
しかしながら、サイバー攻撃の被害は、経済社会生活に重大な影響を及ぼす事例が少なくない。
令和4年に発生した大阪の総合病院におけるサイバー攻撃では、電子カルテシステムが攻撃を受け、新たな患者が受け入れられなくなるなど、通常診療が困難な事態となった。
私は昨年所属した厚生委員会において、都立病院機構を所管する保健医療局に対し、サイバー攻撃の未然防止の対策に留まらず、被害発生後の迅速な復旧のため、バックアップ対策の強化を指摘したところである。
今年度、都では、全庁システムのバックアップ対策の更なる強化に取り組んでいると聞いている。
Q3
そこで、バックアップ対策の強化に関する取組の状況について、伺う。
A3(情報セキュリティ担当部長)
○ サイバー攻撃から都の重要なデータを保護し、サービスの継続性を確保するためには、被害があっても速やかに復旧できるよう、システムやデータのバックアップ対策を確実に行うことが必要
○ 都では今年度、重要インフラの運用や防災に関するシステム等、各局の事業継続に不可欠なシステムにおけるバックアップ対策の緊急点検を実施
○ 点検の結果、対策が必要となる52システムについて、外部からの攻撃を想定したバックアップデータの安全な保存や、ランサムウエアの潜伏期間を踏まえたデータ保管期間の延長など、GovTech東京のエンジニアの技術力を活かした具体的な対応策を策定し、技術的に支援
○ さらに、デジタルサービス局が主導して、各局の対策の進捗状況を確認するとともに、速やかに必要なシステム改修等を完了できるよう、対策を推進
サイバー攻撃はいつなんどき発生するかわからない。各局の重要システムのバックアップ対策の強化が速やかに完了するよう、デジタルサービス局には引き続きの支援をお願いしたい。
サイバー攻撃を受けた際、バックアップと合わせて職員一人一人の対応も重要となる。セキュリティインシデントが発生した際には、現場の職員が即時適切に対応できるよう、日頃から研修・訓練を重ねる必要がある。
Q4
そこで、都におけるセキュリティ教育や訓練の取組状況について、伺う。
A4(情報セキュリティ担当部長)
○ 都では、職員のインシデント対応力を高めるため、スキルや担当業務に応じたメニューを用意し、年間を通じて計画的に研修を実施
〇 具体的には、全職員を対象とした基礎研修、各局のセキュリティ対策を担う職員向けのインシデント対応研修、ICT職を対象としたシステム開発時の技術的対策研修等を実施
〇 さらに、サイバー攻撃を受けた際に職員が適切に行動できるよう、全職員を対象とした標的型攻撃メール訓練や、システム運用担当者を対象としたロールプレイング形式の訓練等、セキュリティの専門家の知見を取り入れた訓練を実施
〇 最新の動向を踏まえた研修や実践的な訓練を継続的に実施することで、職員のサイバー攻撃への対処能力を向上し、都庁全体のセキュリティレベルを強化
都民に安全で快適なデジタルサービスを安定的に提供するためには、サイバーセキュリティ対策が重要である。
引き続き、全庁のセキュリティ対策の更なる向上に向け、対策を推進していただきたい。
➋デジタルデバイドについて伺います。
行政手続などのデジタル化が進められている。私の周りの高齢者の方もスマホを持つ方が多くなっているが、電話として使うくらいで、なかなか使いこなせていないという声もよく耳にする。
デジタルデバイドとは、インターネットやコンピューターといった情報技術へのアクセスや利用の程度によって生じる社会的な格差のことです。
これまで我が党は本委員会でその解消に向けた提案を行い、都は、それに応えて取組を進めてきたと承知している。
都は、高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業でデジタル機器に不慣れな高齢者が、スマートフォンを利用することができるよう推進する取組を実施していますが、
はじめに
Q1
都のデジタルデバイド対策は、どのような目的で何を根拠に実施しているのか、伺う。
A1(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 都は、都民サービスの質の向上に向け、行政のデジタル化を強力に推進しており、その恩恵を全ての都民が享受できるよう、高齢者をはじめデジタルに不慣れな方のデジタルデバイドを解消するべく取組を推進
○ 令和3年4月に施行した東京デジタルファースト条例には、デジタルデバイドの是正に関する規定を設けるとともに、東京デジタルファースト推進計画に取組方針を盛り込んでいる
○ 計画に基づき、高齢者や障害者を対象としたスマートフォンの基本操作やアプリの使い方を学ぶ体験会、個別の相談に応じる相談会の開催などの施策を実施
デジタルデバイド対策を条例に基づき計画的に実施していることを確認しました。
こうしたスマホの基本操作やアプリの使い方を学べる体験会や相談会は、デジタルデバイドの解消には重要だと思う。
そこで、
Q2
高齢者を対象とする体験会や相談会の取組状況について、伺う。
A2(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 都は、区市町村と連携し、高齢者向けスマートフォン体験会及び相談会を開催しており、昨年度は、公民館や高齢者施設といった地域の身近な施設で約2600回実施し、約1万3200人の方に参加
○ 今年度は、参加者のニーズを踏まえ、体験会のうちじっくりと学べる4回コースの実施回数を1.5倍に拡充するとともに、相談会を倍増し、体験会と相談会合わせて約3100回の実施を予定
○ 体験会及び相談会の参加者の満足度は、10段階で8を大きく超えており、高い評価をいただいている
高齢者向け体験会・相談会については今年度拡充し、参加者から好評であるとのことであり、今後とも、しっかりと進めていただきたい。
体験会、相談会は、生活文化スポーツ局で行っている地域の底力発展事業などと連携し、町会・自治会等でも実施していると伺っている。
高齢者にスマホを活用してもらうためには、こうした関係各局の事業と連携することも重要だ。
Q3
高齢者向けのスマホ体験会、相談会における各局との連携の状況について伺う。
A3(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 高齢者向けスマートフォン体験会や相談会については、生活文化スポーツ局や住宅政策本部等と連携し、町会・自治会や都営住宅、シルバー人材センターなど高齢者の参加しやすい場所で開催
○ 防災アプリや水道局アプリなど、都が提供している便利なアプリの使い方を盛り込むとともに、キャッシュレス納税や電子申請などスマホを活用した各局事業の紹介も実施
○ また、スマホを通じた詐欺や悪質な消費者被害を防止するため、警視庁等と連携して、被害事例や被害防止対策を体験会教材に盛り込むとともに、啓発チラシの配布等を実施
高齢者のスマホ体験会や相談会について各局と連携し、効果的に実施していることが分かった。
Q4
スマートフォンの便利さを学ぶばかりではなく、スマートフォンを通じた仲間づくりや、ゲームや健康アプリなども活用して地域のコミュニティづくりの機会もできることが可能かと思う。見解を伺う。
A4(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 今年度、高齢者に身近な施設で気軽にデジタルについて相談・交流できる場を設置する区市町村の取組を支援する補助制度を新設し、現在6区市で事業を実施
○ 具体的には、予約不要で自由な時間に来場でき、スマホの基本操作や健康アプリ、地域通貨の使い方などが学べる交流の場や、介護予防施設等で他の参加者と楽しく会話しながら学ぶ座談会など、それぞれの自治体が工夫をこらした取組を実施
○ 今後も、高齢者が楽しみながらスマホの使い方を身に付けられ、参加者同士の交流もできるよう、区市町村と連携し取り組んでいく
デジタルデバイド対策については、高齢者だけでなく、障害者に対する取組も重要だ。
令和5年度から開始した障害者向けの体験会ですが、今年度、スマートフォンを活用した障害者向けアクセシビリティ向上支援事業として、本格的に実施されることになった。
Q5
障害者向けデジタルデバイド対策については、スマホの活用方法や操作方法の習得など、障害に応じたきめ細かな支援を行うことが必要であるが、取組状況について伺う。
A5(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 都は、視覚や聴覚など、障害の種別に応じたスマートフォンの体験会を経験豊富な講師と十分なスタッフを配置して実施
○ 視覚障害者向けの体験会では、点字や音声教材を事前配布した上で、4回コースを少人数制で実施しており、基本操作のほか、カメラで撮影したものを音声で知らせてくれるアプリなど、生活に役立つ使い方を学べるようにしている
○ また、聴覚障害者向けの体験会では、手話通訳や要約筆記などを用意し、2回コースで実施しており、音声認識技術により会話を文字化するアプリなどの使い方も学んでいただいている
○ さらに今年度からは、学んだ内容の定着を図るため、フォローアップ会を2回実施するとともに、参加後も、電話やFAXで相談できる窓口を新たに開設
○ 参加者からは、10段階評価で9を超える高い満足度の評価をいただいている
高齢者と障害者のスマホ体験会等、各局との連携、区市町村の働きかけなど、デジタルデバイド対策事業を工夫して実施していることが分かりました。
引き続き、各局や区市町村と連携しながら、都内のデジタルデバイドの解消に向けて取り組んでいっていただきたいと思う。
❸ 子供向けデジタル体験向上プロジェクト
都は昨年度から、子供向けデジタル体験向上プロジェクトを開始し、本年6月には、プロジェクト名称を「とうきょうこどもクリエイティブラボ」、愛称「くりらぼ」に決定して、区市町村と連携し、子供たちのデジタル体験事業を進めてきた。
子供たちに分け隔てなく、デジタル体験ができる機会を提供していくことは極めて重要である。
Q1
そこで、とうきょうこどもクリエイティブラボの今年度の取組状況について伺う。
A1(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 都は、デジタルを活用した創作体験を通じて子供たちの創造性を育む、とうきょうこどもクリエイティブラボ、愛称くりらぼを区市町村と連携して実施しており、今年度は、26区市町村の児童館等でゲーム制作やロボットプログラミングなどの体験会を実施
○ 10月には、予約なしで気軽にデジタル体験ができる常設拠点として、有楽町のスシテックスクエアにくりらぼベースを開設
○ さらに、多様な体験を提供するため、夏には利島村でIT企業等と連携したロボットプログラミング体験を実施するとともに、10月には子供たちのデジタル体験の普及・拡大に官民で取り組むくりらぼネットワークを立ち上げた
子供たちのデジタル体験機会をぜひ広げていただきたいと思う。
今年度は26区市町村で体験事業を実施していくとのことだが、子供たちにとって良い体験にするためには、地元の区市町村との綿密な準備が欠かせないと思う。
Q2
これまで区市町村との連携をどのように進めてきたのか伺う。
今後、まだ実施していない区市町村との連携をどのように図り、実施に向けていくおつもりか、伺う。
A2(デジタルサービス推進部長答弁)
○ 都は、今年度の体験事業の開始に先立ち、区市町村に対して事業説明会を実施するとともに、個別に事前のヒアリングを行い、7種類の体験の中から区市町村の希望に合わせて体験内容を決めるなど丁寧に調整を行い実施
○ 今年度から新たに、2か月から3か月の長期にわたる体験会も実施しており、荒川区等の3区市と連携し、きめ細かなプログラムづくりや運営を区市のニーズを踏まえながら実施
○ 体験会の実施後には、良かったことや改善すべき点などのヒアリングを自治体に対して行い、その結果を随時体験事業に反映
○ 今後、未実施の区市町村に対してヒアリングを行い、個別に事業参加に向けた働きかけを実施。また、これまでの成果を踏まえ、図書館や放課後子供教室等、施設ごとの運営方法等の事例集を作成し、区市町村に紹介するなど連携を図りながら、子供たちの体験の場を広げていく
くりらぼを区市町村と連携して実施し、今後も区市町村の事業参加に向けて働きかけていくことが分かった。
子供たちに身近な区市町村と一緒に、子供たちのデジタル体験の機会を広げていっていただきたい。
❹デジタル地域通貨プラットフォームについて伺います。
都は、令和6年度予算において、民間QRコード決済の仕組みを活用した新たなデジタル共通基盤を構築する経費を計上しており、構築に向けた取組が進められていることと思う。
今般、都内においては、デジタル地域通貨を取り入れている自治体や、地域における消費喚起など様々な施策に取り組んでおり、都のデジタル共通基盤は、地域活性化などにも効果的に活用できるものとなるのか高い関心が寄せられている。
Q1
そこで、まず、都が構築するデジタル共通基盤の目的・意義について伺う。
A1(デジタル基盤部長答弁)
〇 都は、社会的意義のある活動への都民の参加促進や地域活性化につなげるため、多くの都民が利用する民間QRコード決済の仕組みを活用し、区市町村を含めたオール東京で活用できるデジタル共通基盤の構築を段階的に進めている。
〇 令和6年度は、健康づくり等の社会的意義のある活動に参加した都民にポイントを付与し、都内店舗等で利用できるようにする。
私の地元世田谷区では、世田谷ペイという、約30万人が利用するキャッシュレス決済アプリがあり、地元商店街での消費喚起など地域経済の活性化に役立っている。
七月末現在、せたがやPayの利用店舗は五千五百十二店舗。売上げも累計で約二百九十二億円となって多くの区民に利用されている。
現在、世田谷区では「めざせ元気シニア せたがやデジタルポイントラリー」というものを行っております。
この事業は、スマートフォンを持って、協力店舗や施設(区内約280箇所)をまわり、ポイントを集めて楽しむイベントです。一人でもお友達とでも、いつでも気軽にご自身のペースで参加でき、貯まったポイントはせたがやPayのコインと交換できる仕組みです。
世田谷区以外でも、同様な取組をしている都内自治体も数自治体あると聞いております。
今回、東京都は社会的意義のある活動への参加を促進する仕組みとして世田谷区と同様な仕組みを東京全体で基盤づくりを実施するとのことですが、東京都はすでに導入している自治体とどのように連携を図るのかとの質問を頂いております。
また、都が新たなデジタル地域通貨プラットフォームを構築することで、導入済の各自治体独自のQR決済の利用者への影響がどうなのか、ポイントは自治体内で還流できるのかとのお声もいただいております。
Q2
都のデジタル共通基盤は、こうしたアプリとの連携など、区市町村の意見も広く聴きながら構築していくべきであるが取組を伺う。
A2(デジタル基盤部長答弁)
○ 都は、区市町村も活用できるデジタル共通基盤としての構築を目指しており、今年度実装を予定している社会的意義ある活動への参加者に対するポイント付与・活用機能について、本年7月に区市町村向けの説明会を行い、共通基盤の機能や活用事例を紹介するとともに、個別のヒアリングを行ってきた。
〇 区市町村からは、都が構築する共通基盤を活用して、健康づくりやボランティアなど自治体の施策への住民参加や、地元商店街の活性化などにつなげたいとの意見をいただいている。
〇 今後も、区市町村との意見交換を重ねながら、多様な施策での活用を促進するとともに、独自アプリとの効果的な連携なども視野に開発に取り組んでいく。