予算特別委員会で質疑(3/13)

予算特別委員会で40分にわたり質疑を行いました。

質疑概要は下記の通りです。

① 木密地域の不燃化の促進(2)
② 駅のホームドアの設置(2)
③ 道路のバリアフリー化(1)
④ 感染症パンデミックや大規模災害時の臨時医療施設の設置 (3)
⑤ 子育て世帯訪問支援事業(3)
⑥ 医療的ケア児者への支援(3)
⑦ 多摩川の排水樋門(2)
⑧ トイレ防災マスタープラン(5)

【➀最初に順番を変更して、木密地域の不燃化の促進について】伺います。

昨年起きた能登半島地震では、輪島市の朝市通り周辺において、1か所の出火場所から発生した火災が14時間にわたって燃え広がり、約5万平方メートル、240棟が焼失する被害が発生しました。
国がまとめた報告書では、火災拡大の要因として、道路が狭隘であり、火災が発生すると延焼拡大しやすい木造住宅が密集した市街地であったことなどが挙げられております。
都内には、木造住宅が密集するいわゆる木密地域が、広範囲にわたって存在しており、切迫する首都直下地震に備え、市街地の不燃化などの対策が急務であります。

Q1,そこで、能登半島の地震の教訓を踏まえ、木密地域の解消に向けた新たな施策を展開すべきと考えます。知事の見解を伺います。

今、ご答弁いただいた通り、新たに防災環境向上地区を指定して、地元自治体への支援を開始するとのことで、木密地域の解消に向けての重要な一歩と思います。
私の地元の世田谷区でも祖師谷1丁目で17.7haが防災環境向上地区に指定されました。
地元との連携強化を図り、取り組みを促進していくことを要望させて頂きます。

都はすべての整備地域において不燃領域率70%の達成を目指すとしており、不燃化特区制度を活用しながら2021年時点で約66%まで向上してきたとのことです。
世田谷区でも5地区で不燃化特区制度を活用しながら、木密地域の不燃化を積極的に進めていますが、例えば北沢地域などはいまだ不燃領域率が59%となっており、まだ目標とする70%には到達しておりません。地元区による更なる取り組みの促進も必要と認識いたします。

 私は区議会議員の時、2016年に大火災に遭われた糸魚川市(いといがわし)に調査に行ってきました。
 火災現場は、木造密集地域で147棟が焼失したとのことでした。
住民からのお話では、最初の火災発生時には数件の延焼で済むかと思われていましたが、火の粉がどんどん強風であおられて飛び火して、しまいにはもう消せないような状況になったとのことでした。
現地に消防車が来て、消火栓から取水をしていましたが、大量に消火栓にホースを突っ込んだため、水圧が下がって水が全然出てこなかったという話をお聞きしました。
その意味では、防火水槽などの水利を公園や空地に整備することは極めて重要と考えます。

Q2,そこで、この度の改訂により、整備地域において強化する具体的な取組について伺います。

今回、来年度終了予定の不燃化特区制度が我が党の推進によって継続されることは評価するものであります。
今後、防災機能を備えた公園の整備などへの支援を拡充するとのことです。
更なる木密地域の不燃化促進を求めて次の質問に移ります。

【②駅のホームドアの設置について】質問します。

東京都のホームドアの整備率は2023年度で35パーセントでありました。
都はJR及び私鉄駅で2030年度に約6割の駅にホームドアを設置することを目指して、事業者に整備計画の拡充を求めてきました。
今回、ホームドアの早期拡充を粘り強く訴えてきた都議会公明党の主張を受けて、達成を2年前倒しで2028年度に約6割達成を目標にしたことについては評価いたします。

また、先月の第一回定例会の代表質問で、都議会公明党は、「整備加速には、国と連携した技術的な対応の強化や、補助制度の拡充による、より踏み込んだ実効性のある支援をすべき」と取り上げました。
都からは「来年度から事業者に直接補助を行う制度を創設する」との答弁がありました。

Q1,最初に、来年度予算案におけるホームドアの整備に係る予算総額と今後の見通しについて伺います。

昨年、官民が連携した協議会を立ち上げ、加速策の検討を進め、新たな補助制度を導入したことにより、今後、事業者がその制度を活用し整備が進んでいくことを大きく期待いたします。

さて、世田谷区内には、東急電鉄、小田急電鉄、京王電鉄が乗り入れております。
東急電鉄は世田谷線を除くすべての駅にいち早くホームドアの整備を実施しました。
今年1月には京王電鉄が井の頭線を含む、全路線の整備スケジュールを表明しました。井の頭線を利用されている区民の方から喜びの声を頂きました。

世田谷区内でホームドア整備が残されているのは、小田急線の豪徳寺駅以西であり、地元からは早期の整備を要望されております。
豪徳寺駅、経堂駅、千歳船橋駅、喜多見駅は整備計画が示されておりますが、祖師谷大蔵駅、成城学園前駅でのスケジュールは未だ示されておりません。

ホームドア整備加速緊急対策事業では、既存補助対象外駅でも、5駅以上連続して整備する場合には直接補助の対象になるとのことです。

Q2, 小田急線にはまだ未整備の駅が5駅以上あります。こうした補助制度を活用し、世田谷区内の小田急線においても、早期にホームドア設置を進めるべきと考えます。都の見解を伺います。

【③次に関連して道路のバリアフリー化について】お聞きいたします。
日常、視覚障碍者の方が一人で出かける際、時として踏切を横断することがあります。視覚障害者にとって、点字ブロックは命綱です。

2022年4月、奈良県で視覚障害のある全盲の女性が踏切内で列車と接触し亡くなる痛ましい事故が発生しました。
国土交通省は2024年1月、道路の移動等円滑化に関するガイドラインを改定。また、踏切道改良促進法に基づき、改良すべき踏切として都道12か所を指定しました。

世田谷区内の東急目黒線奥沢1号踏切では、2001年ごろ、視覚障害のある方が踏切道を渡る際に踏み外されたということが発生しております。
この踏切は、都道12か所のうちの一つとして指定されております。

高齢者や障害者等が安全・安心に外出するためには、改良すべき踏切道の、早急なバリアフリー対策は必要と考えます。

Q1,奥沢1号踏切を含め、踏切道のバリアフリー対策について、早急に取り組むべきと考えます。都の見解を伺います。

【④感染症パンデミックや大規模災害時の臨時医療施設の設置について】伺います。

安全・安心の街づくりには、すべての危機に対抗できる強い都市づくりが何よりも必要と考えます。
新型コロナ感染症を経験した我々は、医療面において強靭な都市を目指していくうえで、いかなる時も、どんな状況でも医療ができる限りのことを行い、持ちこたえること、それには、平時から準備し、備えることで災害有事に力を発揮できることを学びました。

新型コロナ感染症拡大時おいて、東京都ではパンデミック時の医療体制がひっ迫する中、青山の旧都民の城や旧赤羽中央総合病院内などに臨時医療施設を開設し、高齢者などの介護の必要な患者や救急患者を受入れ、コロナ病床として最大時に700床用意しました。
病院以外でこのような施設を整備することによって、ハイリスクのある高齢者の受け入れや施設や病院でクラスター発生時の早期隔離で医療逼迫を回避できたものと考えます。

東京都医師会では、令和7年度の予算要望で、感染症パンデミックや大規模災害時の臨時の医療施設の創設について要望されております。

Q1,新興感染症等の発生時に一気に増大する医療需要に対応するためには患者を速やかに収容するためのパンデミック対応の臨時の医療施設の設置が必要と考えます。見解を伺います。

都として、有事の際に臨時の医療施設を設置することの必要性を認識されていることは理解しました。
昨年9月に世田谷区医師会では、新型コロナ対応で臨時の医療施設として活用した世田谷区内の介護老人保健施設を借りて、大規模な災害や感染症のまん延に備えて、地域の医療従事者に対してトリアージ方法を学ぶ訓練を実施していました。

主催者からは、有事に臨時の医療施設を円滑に設置・運営するためには、平時からこのような訓練等を都内各地で準備することが重要と考え、訓練を実施したとお聞きしました。

Q2,感染症有事に臨時の医療施設を円滑に設置・運営するために、都として平時からの訓練等に取り組むべきと考えます。見解を問う

感染症パンデミック対応について質問しましたが、感染症だけでなく、首都直下地震などの大規模災害時の医療対応は不可欠であります。

現在、重症の負傷者を受け入れる災害拠点病院等が指定されていますが、災害時には負傷者だけでなく、避難者や施設、自宅などで避難生活を送る高齢者などへの対応も不可欠です。体調が悪化すれば生命に危険が及び、災害関連死へとつながるからです。
Q3,大規模災害時にも、負傷者や体調が悪化した避難者など膨大な傷病者を収容するため、臨時の医療施設が必要になることは必至と考えます。都の見解を問う。

【⑤子育て世帯訪問支援事業について】伺います
世田谷区では2020年に児童虐待を地域で防止する体制を強化するために区児童相談所を東京都でいち早く立ち上げました。
世田谷区児相における相談件数は2020年度の2132件から2023年度2425件と毎年増え続けております。

同様に、全国の児童相談所における虐待相談対応件数でも、増加を続け、2022年度には21万件を超えています。また、虐待によりこどもが死亡する事件は後を絶たず、かけがえのないこどもの命が失われております。

このような子どもへの虐待リスクを未然に防ぐために、国は、養育支援が特に必要な家庭への訪問支援を行う「養育訪問支援事業」のうち、家事育児援助の支援を「子育て世帯訪問支援事業」として再構築し、今年度よりスタートしました。

この事業は、訪問支援員が家事・育児等に対して不安や負担を抱える子育て家庭、妊産婦やヤングケアラー等がいる家庭を直接訪問することにより、虐待リスク等を未然に防ぐもので、子どもの命を守るために極めて重要な事業であります。

都内では、現在47の自治体で「子育て世帯訪問事業」を実施しています。
小学校就学後のこどもも対象としてこの事業を行っている自治体では、小中学生がいる家庭に対し、訪問支援員が継続的に親のみならずこどもにもかかわりを持つことで、不登校の子どもが学校への復帰が可能になったとの事例も多く報告されております。

その意味から、本事業において、就学後の小中学生までケアできるよう東京都としても区市町村をバックアップすべきと考えます。
しかし、支援側の人材不足等により、就学後の子どもがいる家庭のケアまではなかなか至っていない状況にあります。

Q1 そこで、都として、更なる区市町村における人材の確保と育成を支援していくべきと考えます。見解を伺います。

今後都として各区市町村に研修カリキュラムを提供する際には、自治体の取組状況や効果など、把握しながら継続的に支援していくことを要望します。

次に、利用促進に向けた課題について伺います。
この事業は、区市町村が子育て家庭等に寄り添いながら不安や悩みを傾聴し、家庭や養育環境を整える必要がある場合には、利用を勧奨するなど積極的な活用が求められます。
 
 国の仕組みでは、本事業には、一定の利用者負担が必要とされています。

Q2 本事業の利用促進のため、区市町村が行う利用者負担の軽減策について、都として一層支援を行っていくべきと考えます。見解を伺います。

次に、運営上の課題について伺います。この事業は、区市町村が地域のNPO法人等に委託しているケースも多くあります。国の補助では、訪問支援員の人件費のほか、実施に係る事務費・管理費も補助対象となっており、1事業所あたり約56万円の補助基準額となっています。
しかし、この事業による対象を広げていくには、訪問支援の調整や管理などの事務管理に係る費用も増すこととなり、この補助基準額では運営が厳しいとの声も頂いております。

Q3 今後、「子育て世帯訪問支援事業」による支援の拡大を図っていくためにも、都として訪問支援の事務管理に係る課題等を把握し、事業者が安定的に運営するために必要な支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

ワーキンググループで事業者へのヒアリングを予定しているとのことです。
事業運営の実態把握を行っていただくよう要望いたします。

【⑥-1特別支援学校における医療的ケア児への支援】について伺います。

世田谷区には国立成育医療センターがあり、全国から多くの医療的ケアの必要なお子さんが入院、また通院されております。
現在、都内で医療的ケアの必要なお子さんは約2000人、私の地元世田谷区にも約190人いらっしゃると聞いております。
私は区議会議員の時より、医療的ケア児の家族の方からいろいろな相談を頂き、区内で受け入れできる保育園や学校の整備等に取り組んでまいりました。

都議会議員になってからも都立特別支援学校での看護師付き添いの専用車両での通園支援など、取組を進めてきました。

現在、都立特別支援学校に在籍する医療的ケアの必要な児童・生徒数が増加しております。

都内公立特別支援学校の児童生徒数は、平成30年度の729人から令和5年度には865人と五年間で136人の増加となっているとのことです。

Q1、この状況を踏まえ、医療的ケアの必要な児童生徒に対して、来年度にも、現在取り組んでいる医療的ケア児通学専用車両を、さらに増やしていくべきと考えるが、見解を伺う。

Q2,また、医療的ケア児専用通学車両の運行や、新たな医療的ケアの実施など、校内の医療的ケア体制を充実させるためには、看護師対応は必須です。看護師増員についての見解を伺う。

【⑥-2 医療的ケアを必要とする障害者の地域生活基盤の整備】について伺います。

医療的ケア児者に対する理解や支援策は2021年9月に施行された医療的ケア児支援法を契機に進みつつあり、以前よりも医療的ケア児を取り巻く制度や資源は充実してきている一方で、まだ課題があると認識いたします。

特別支援学校に通っているお子さんをお持ちのご家族からは、卒業後、医療的ケアに対応できる生活介護事業所は数が少なく不安があるとお聞きしています。
また、医療的ケア児者親の会の方からは、医療的ケアが必要であっても将来は自立して、自分らしく暮らしていくためのグループホーム等の整備をしてほしいとの声を頂いております。

Q そこで、医療的ケアが必要な障害者の日中活動の場や生活の場の整備について、今後の都の取組を伺います。

【⑦多摩川の排水樋門について】伺います

2019年10月の台風第19号においては、多摩川の田園調布の水位観測所で国の観測記録上の最高水位を記録する大雨となり、多摩川流域の玉堤や上野毛、野毛地区などで、広範囲にわたって浸水するなど、甚大な被害が発生しました。

私はその時は消防団員として夜遅くまで地元の警備に着任、朝一で多摩川の浸水した現場に駆けつけその状況を見て、さらなる水害対策の必要性を痛感いたしました。

その後、都では、多摩川の水位が計画(けいかく)高水位(だかすいい)まで上昇しても雨水をできるだけ排水できるようにするため、大田区内の上沼部排水樋門でのポンプゲートの排水能力増強や、世田谷区内の下野毛排水樋門でのポンプゲート新設を進めております。
このポンプゲートは内水の排水で大きな効力があり,完成が期待されるところであります。

現在、世田谷区内には、排水樋管が二か所、下水道局の排水樋門が4か所あります。樋門の開閉等については区に委託されており、水防活動を行う区との連携は非常に重要と考えます。

Q1,最初に、世田谷区内の排水樋門について、下水道局と区との役割分担と、これまでの取組について伺います。

世田谷区で行われた2019年の台風19号に伴う浸水被害への区の取り組みに関する住民説明会では
〇玉堤1,2丁目、尾山台1丁目地域、
〇宇奈根1,2丁目付近、喜多見1丁目地域
〇玉川3丁目付近ではそれぞれ、排水樋門・樋管の閉鎖等によることが、浸水被害の想定要因として説明されておりました。

住民の方からのヒアリングでも、2019年の台風当時に多摩川の水位が上昇し、河川の水が住宅地側に流入にて甚大な浸水被害が発生するのを防ぐため、排水樋門を閉鎖。
その後に大量の水があふれて大規模な内水被害が発生したとの様子をお聞きしました。

世田谷区からも排水樋門・樋管へのポンプゲートの新規整備を要請しており、整備を進めている下野毛排水樋門以外の3か所の排水樋門にもポンプゲートの整備は必要と考えます。

Q2,下野毛排水樋門におけるポンプゲート新設について、新年度の取組について伺います。あわせて、多摩川沿いにおけるポンプゲートを始めとする対策について、認識を伺います。

【⑧ 東京トイレ防災マスタープラン素案について】伺います

東京都では2月に新たに「トイレ防災マスタープラン」の素案を公表。
マスタープランでは、首都直下地震の被害想定を踏まえ、災害時のトイレ確保の主体となる区市町村を支援するために策定する計画を示しました。

その中で、災害時に使用できるトイレがある施設の徒歩約5分圏外を「災害時トイレ空白エリア」と設定し、区市町村による災害用トイレ確保を促進し、2030年度までの空白エリアの解消を目指すとしております。

プランでは、区部で1週間以内最大54098基、1週間以降最大 138021基のトイレ不足が想定されております。
Q1,2025年,26年,27年で空白エリアを概ね(おおむね)解消させるとのことですが、具体的に解消するための整備主体となる区市町村への支援について、見解を伺います。

これまで都議会公明党は、能登半島地震などの過去の災害の教訓を踏まえ、災害時におけるトイレ環境の確保・整備が重要であることから、災害時のトイレ対策について質疑を重ねてきたところである。

都が、区市町村の指針ともなる、トイレ防災マスタープランを策定し、さらに補助制度を創設したことは評価いたします。 

 来年度から区市町村に対して実施される補助制度は、区市町村が避難所等の環境を整備するにあたり、大変効果がある一方で、実際に活用されることが重要と考えます。
補助の対象となる資器材については、都のトライアル発注認定制度で認定された新規性の高い優れた製品等、品質がよく、施設管理者や避難者にとって使いやすいものを的確に補助の対象とするなど、活用しやすいものにすることが不可欠です。

Q2,そこで、区市町村が、補助を活用し、資器材を適切に整備できるように支援するべきと考えますが、見解を伺います。

都や区市町村が災害時のトイレ環境を確保する体制は整ってきました。一方で衛生的なトイレ環境を維持するためには運用面が重要となります。衛生的な環境が保たれなければ、トイレが汚損し、避難者等の健康への影響も懸念されることとなるからです。
Q3,そこで、災害時におけるトイレの質を確保するため、衛生的なトイレ環境を維持する取組について、見解を伺う。

アセスメントシートを活用していくとのことで、推進を宜しくお願いいたします。